これまでは、挫折しないジョギングコースの作り方や運動記録の取り方についてご紹介してきました。しかし、ジョギングなどの運動は達成感を味わうまでにけっこうな時間がかかるもの。今回紹介するエクササイズなら“たった1日”で大きな達成感を得られますよ。
前回、走った距離を地図上で積み上げて「バーチャルに旅行しつつモチベーションアップを図るTips」をご紹介しました。
「何十キロも走らないと達成感を味わえないのはしんどい。もっと手っ取り早く効果を感じられる方法はないのか」
確かにこの方法は、ある程度の距離を最初に走らねばならず、若干面倒なのが難点です。そこで本日ご紹介するのは、「たったの1日で大きな効果と達成感を得るエクササイズ」です。
もったいぶらずに結論から言います。それは、日帰り登山(もしくはハイキング)です。
「ぜんぜん手っ取り早くない……」「山まで出かけるのがむしろおっくう……」
そんな声が聞こえてきそうですが、少なくともその日に完了するのは間違いありません。
それにしても、なぜ唐突に登山をすすめるのか? わざわざ山まで行く理由があるのか? ――実は日帰り登山には、ジョギングにはない7つのメリットがあるのです。
大きな達成感を、その日に確実に味わえます。ジョギングやダイエットのように、ゴールが数カ月も先ではなく、1日で終わる分かりやすさがGood。たとえ小さな山でも、「登りきった」「ゴールした」という事実は大きな自信になりますし、自分を褒めたくなる充実感、満足感をもたらしてくれます。
日帰り登山に強靱(きょうじん)な脚力は不要です。健康な体があれば十分。年齢も問いません。いきなりの登山が心配なら、ハイキングでもかまいません。人と競争するものではないですから、自分の体力や経験と相談しながら、マイペースにやればいいのです。
ただし、達成感を味わいたいのなら、ゴールや数値目標は設定しておくこと(登山なら登頂、ハイキングなら5キロ先の湖まで行って戻る、とか)。ただの散策では効果が半減します。
日帰り登山は、登りと下りそれぞれ数時間はかかりますので、少なく見積もっても半日作業。その間、ひたすら歩き続ける究極の有酸素運動といえます。しかも荷物を背負った状態で、傾斜道を登り下りするわけですから、大量のカロリーを消費できます。例えば、体重70キロの30代男性が登山したときの消費カロリーは、1時間当たり約625キロカロリー。参考として、以下に登山によるカロリー計算式を載せておきます。
年齢 | 男性 | 女性 |
---|---|---|
20〜29歳 | 1.00 | 0.95 |
30〜39歳 | 0.96 | 0.87 |
40〜49歳 | 0.94 | 0.85 |
世界一おいしい弁当が味わえる場所、それは山の頂上です。空腹感こそ、最高の調味料。飽食の現代では、胃を完全に空っぽにするには断食か登山くらいしか機会がありません。コメのうまさ、シャケのしょっぱさ、だし巻き卵の甘さに感激できるのは、登頂した者のみの特権です。
登山は、様々なレクリエーションを組み合わせて楽しめます。温泉で疲れた身体を癒やしたり、その土地の食材をお土産に買ったり、道中の景色を楽しんだりと、楽しみ方はいろいろ。登山を“ちょっとしんどい日帰り旅行”くらいに考えてみましょう。ほら、積極的に山に行きたくなりますよね。
山の定義にもよりますが、国内には1万以上の山が存在するそうです(そのすべてが登山可能なわけではないですが)。登れない山を差し引いても、登りきれないほどたくさんの山々があるわけですので、「もう登る山がない」なんてことにはなりません。それに、同じ山でも季節によって風景は変化しますので、ネタは無数にあるといえます。
……え? それでも登山は趣味に合わない?
遠出せずに、できれば身近で済ませたい?
今回、やや唐突に日帰り登山をおすすめしましたが、その理由は、本格クライマーや登山家になることを強いているからではありません。本当の理由は別にあります。それが次に挙げる最後のメリットです。
運動に限りませんが、人は自分の限界を知ると、「その上を行きたい、記録を更新したい」という欲が芽生えます。己の限界点が、走り高飛びのハードルのように、自分の目標値となるのですね。それを知った上で日々のトレーニングに励むのと、たた漫然とこなすのとでは、結果に大きな違いが生まれます。
登山はそのハードさゆえ、肉体的にも精神的にも、自分の限界を赤裸々にさらけ出してくれます。登山から帰ってくると、きっと「もっと自分を鍛えねば」という気持ちになること請け合いです。
余談ですが、私は毎年の帰省にあわせて、中学校時代に遠足で登った標高1200メートルの山に、当時の同級生と登ることを10年以上続けています。目的は上記に挙げたとおり楽しむためなのですが、「そのタイミングでの自分の体力の限界値」を記憶に刻み込むことも目的の1つとしています。
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