日記の中断は極めて普通に、頻繁に起こっている。筆者も、そしてきっと、あの鬼のような編集者も、みんな中断経験者なのである。中断を打破するための方法を鬼編集者のTと考えてみた。
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日記を書くのを忘れないようにするにはどうするかを、先週書いて編集者に送ったら、「まあ、忘れないようにする。これは良いでしょうが、樋口さん。万が一、中断してしまったら、どうすれば良いのですか」と、例によって突っ込んできた。
「そ、それは」と筆者はたじたじになった。実を言えば、中断は「万が一」ではないのだ。極めて普通に、頻繁に起こっていることなのだ。「よくあるケースだが、中断したらどうする」というのが日記挫折の実情なのだ。
筆者も、そしてきっと、あの鬼のような編集者も、みんな中断経験者なのである。同じ「中断のムジナ」なのだ。中断したまま身動きできなかった。中断のくびきを外せなかった「日記中断体験者」だったのだ。そこで、中断を打破するための方法を鬼編集者のTと考えてみた。
筆者 費用度外視で中断対策をとるなら、日記を開始した時に、自分宛でハガキを投函する。「おい、おい、樋口君、まさか中断していないだろうな」と、自分で自分に尋ねるのである。
担当編集T(以下、T) 郵送費用がもったいないならGoogleカレンダーにToDoとして設定して、リマインダーメールを自分に送信するのも良さそうですね。
物事を再開する時の力は、初回の力よりもはるかに大きな力が必要だ。初回はプラスの意志力で始まるが、一端中断してしまった場合は、中断したというマイナスの状態から始まるからである。そのままでは再開することが難しい。
T 確かにマイナスの心理状態で再開するのっておっくうですよね。
筆者 そこで日頃から、「日記中断対策ワクチン」を“接種”することを提案したい。このワクチンは、自分の家族(ヨメサンや子供たち、場合によっては両親まで)をはじめ、友人や同僚、部下たちに「物事は何事も継続が大切だ。がんばってやろうよ」と宣言すること。すなわち「継続の模範生」になることである。
もうちょっとゲーム性を取り入れるなら家族(とくに辛らつなヨメサン)に、「3日坊主の場合は1万円、中断が発見された場合は、1週間ごとに1000円払います」というような、一方的な誓約書を入れておくのはどうだろうか。
T へー、面白そうですね。ただ私もそうなんですが、1人暮らしだったり、会社に親しい人がいない場合はどうしましょう?
筆者 それならこんなのはどうだろう。中断した期間別に対策を考えるのだ。
T なんか結局気持ちの問題のような……。
筆者 じゃあ、中断してしまったら中断した以降、全部に「今日は世の中書くことなし。だから書かない」と書くのはどうだろう。そうだ、「今日は書くことなし」とか、「西部戦線異状なし」というゴム印を作っておけばよい。
T あ、いいんじゃないんですか。あえて「書かなかった」と能動的な部分もいいですね。中断を前提にしている感じもしますし、いいわけじみてなくて前向きになれる感じがします。もうちょっと極端に考えて、「あえて書かない」というのはどうでしょう。そしたら書きたくてむずむずしてくるかもしれません。もちろん、本当に書かなくなってしまうリスクはありますけど……。
筆者 それはリスキーだね。中断しないようにするなら、自分のスケジュールと連動させる方がいいかもしれない。中断して数日抜けた日記を埋めるとすると、抜けた日に何をしていたか、どこに行っていたか、誰に会っていたかというような基礎データが必要となる。私の場合、ノートの予定表の中に詳しく書いているので、そのデータを書き写せば、最低基準の行動日記を書くことができるのだ。
T なるほど! 別のスケジューラーを詳しく書いていれば、中断の場合の処方せんとなるわけですね。ただ、日記も中断しちゃうような人がスケジュールを書き続けられるのでしょうか。根本的な疑問が頭をよぎります……。
筆者 そこなんだよ。スケジュールが完璧でないこともあるさ。だから私の場合は、さらに別の毎日続けていることを2種類並行させて、走らせているのだよ。1つは「アイデアマラソン」であり、これが「アイデアマラソン日記」と呼ばれるものになっており、さらに「マラソンシステム」とも組み合わせて、日記を中断しても再開せざるを得ない環境を作り上げているのだよ。
T そ、それは何ですか? 毎日のアイデアを書き留めるアイデアマラソン自体は知っているんですが……。つまり、習慣化している何かをきっかけにすることで中断しないようにしたり、中断に陥ってしまっても復活しやすくなる――ってことですかね。
筆者 だいたいは合ってる。それじゃ、アイデアマラソンとアイデアマラソン日記、マラソンシステムの関係は次回以降詳しく説明するようにしよう。だから、もう今日は寝させてくれよ。お願いだよ。
習慣化していることを探す――。
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1946年京都生まれ。大阪外大英語卒、三井物産入社。ナイジェリア(ヨルバ族名誉酋長に就任)、サウジアラビア、ベトナム駐在を経て、ネパール王国・カトマンドゥ事務所長を務め、2004年8月に三井物産を定年退職。在職中にアイデアマラソン発想法を考案。現在ノート数338冊、発想数26万3000個。現在、アイデアマラソン研究所長、大阪工業大学、筑波大学、電気通信大学、三重大学にて非常勤講師を務める。企業人材研修、全国小学校にネット利用のアイデアマラソンを提案中。著書に「金のアイデアを生む方法」(成美堂文庫)、「できる人のノート術」(PHP文庫)、「マラソンシステム」(日経BP社)、「稼ぐ人になるアイデアマラソン仕事術」(日科技連出版社)など。アイデアマラソンは、英語、タイ語、中国語、ヒンディ語、韓国語にて出版。「感動する科学体験100〜世界の不思議を楽しもう〜」(技術評論社)も監修した。「アイデアマラソン・スターター・キットfor airpen」といったグッズにも結実している。アイデアマラソンの公式サイトはこちら。アイデアマラソン研究所はこちら。
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