「生の情報」をおいしく――プランナーは情報料理人：“情報力”を磨く方法

新しいアイデアを生み出し、具現化するための企画作業は「料理」のプロセスに似ています。素材となる「情報」をおいしく料理する「情報料理人」を目指すにはどうすればいいのでしょうか。

　新しいアイデアを生み出し、具現化するための企画作業は「料理」のプロセスに似ています。このことは、プランニングをメインの業務にされている方なら、すぐにピンと来るんじゃないでしょうか。

情報料理人とは？

『PLANNING HACKS!』（原尻淳一著、東洋経済新報社）

　実際『PLANNING HACKS!』（原尻淳一著、東洋経済新報社）という本では著者の原尻さんが、このように述べています。

　企画作りと料理づくりはほとんど同じ。料理のフローを考えると、見事にプランニングのフローに対応しています。

　私もまた、素材となる「情報」をおいしく料理することが企画作業だと考えています。ですので、最近になって「情報料理人」という表現を用いています。自分自身の業務内容を見直して、一流の「情報料理人」を目指すためには「なにをどう改善すればいいのか」のヒントを得ようとしていました。

　実は、以前書いた「マーケティング情報士官」というメタファーも使えるのですが、なにしろ、情報士官（インテリジェント・オフィサー）の仕事はなじみが薄くよく分かりません。料理人のメタファーのほうが分かりやすいですよね。

　そこで、今日から何回かに分けて「情報料理人の仕事」について概要を書いてみたいと思います（なお、先ほどの原尻さんとは切り口が若干異なります）。

情報料理人の仕事

　前述したように情報料理人の目的は、「情報をおいしく料理すること」です。そして、その結果として「料理済みの情報」が注文した人のテーブルに置かれることになります。この「料理済みの情報」がおいしいかどうかは、例えば、売れる新商品や新規事業開発に役立つ「ヒント」が含まれているかどうかで判断されます。

　ここで「ヒント」とは、専門用語だと「カスタマーインサイト（顧客洞察）」と言い換えることもできます。また、「マーケティング情報士官」で述べた「インテリジェンス」のことでもあります。

　ただ、大事なことは、「使える情報になっているかどうか」です。つまり、端的には「おいしい料理済みの情報」とは、「使える情報」ということですね。従って「情報料理人」の腕は、外部から「生の情報」を食材として仕入れ、それを「使える情報」になるように料理できるかどうかで判断されることになります。

　なお「生の情報」は、多くの場合そのままではおいしくありません。実は、生で食べてもおいしい、新鮮で極上の情報も出回っているのですが、それらはごく限られた人たちの間で独占されています。

　ですので、市井の情報料理人は、一般に出回っている普通の食材を中心に仕入れ、その食材をうまく組み合わせたり、味付けを工夫することによって「おいしい情報」に変えていくのです。

　では、次回は食材としての「生の情報」の仕入れなどについて書きたいと思います。

　蛇足ながら、『PLANNING HACKS!』の原尻さんは、私と同様ISIS編集学校の師範代です。残念ながら、まだ直接お会いしたことはないんですけどね。この本は、企画における「準備の大切さ」を強調されている点にも多いに共感を覚えました。一流の情報料理人を目指す方の「基礎テキスト」という感じです。