どう入手する? 病院にないジェネリック薬現役医師がズバリ回答

ジェネリックではない薬と比べて経済的なジェネリック医薬品。もし診てもらった病院で扱っていない場合、どうしたら入手できるでしょうか?

» 2009年03月09日 09時27分 公開
[仁科桜子(企画:ソフトバンククリエイティブ),ITmedia]

 お元気ですか? 外科系女医の仁科桜子(にしな・さくらこ)です。前回は病院では本当にジェネリック薬を処方してくれるか、という患者さんのお悩みに対し、病院の薬事情を交えてお答えしました。さて今回の質問は?

質問7:希望のジェネリック薬を扱っていない場合はどうしたらいいですか?

診てもらった病院で、好みのジェネリック薬を取り扱っていなかった場合は、どうしたらいいですか?


 ご質問、ありがとうございます。患者さんがジェネリックに関して、医師に気軽に質問したり、要望を言ってもなんの問題もない、というのは前回お伝えしましたよね。テレビCMでは「勇気を持ってジェネリックにしてくださいと言ってみよう」と言っているけど、勇気なんて要らないわけです。

 ただし、ご質問にもあるように、医師の意思とは無関係に、その病院には違う会社の薬しか納入されていないことがあります。でも大丈夫。この場合には、医師に院外処方せんを書いてもらう方法があります。この処方せんを持って、患者さんがご自分でその薬が置いてある薬局に行けばいいんです。患者さんはちょっと面倒だけどね。その辺りは、患者さんのこだわりとか時間の余裕次第かな。

 最近はどんどん新しいジェネリックが出てくるので、医師がすべてのメーカーの薬や薬価を把握しているとは限りません。同じ作用の薬なら、患者さんのお好みを言ってもらった方がありがたかったりします。服用するのもお金を払うのも患者さん自身なんだから、どんどん希望は言ったほうがいいですよ。医師も可能な範囲で対応すると思います。

 後は、「かかりつけ医」の質問の時お話したように、顔なじみの患者さんだと「あー、この人はこういう薬がいいんだったわ」と医師も覚えているので、言わなくても好みの薬が出てくるというメリットもあるかも。結局のところ、やや陳腐に思われてしまうかもしれないけど、医師と患者の信頼関係が一番大切なんですね。

 とはいえ、世間はいまだに「製薬会社と医者は癒着(ゆちゃく)してる」というダークなイメージを捨てきれないみたい。『水戸黄門』じゃないんだから、「先生、ここはひとつお願いしますよ」→何か箱みたいなのを開ける→パカッ→小判がザックザク→「お主も悪やのう」――みたいな展開があるわけないじゃないか。医師は悪徳代官ではないし、そもそもそんなお金が入ってきてれば、もっといい生活しているよ! 上層部のことは知らないけど、癒着のあるなしを知る機会が持てるほど私は偉くなれるかなあ……。

 そういえば、拙著『病院はもうご臨終です』に対していただいた書評の中で、「この人、普段患者さんに余計なこと言ってそう(笑)」と分析してくださっているのを目撃しましたが(書評どうもありがとうございます!)、こういうコラムを読んでいるとそう思っちゃうだろうなあ。普段はちゃんと医師やっております、はい。

 とにかく、ジェネリック薬は患者さんのメリットになるのだから活用しなきゃ損ということは事実。かなり薬にお金がかかっている人は、さっそく飲んでいる薬の薬価を調べてみましょう。最近は薬価を詳しく教えてくれる親切な薬局も増えているみたい。家計のためにも、削減できるところはしないとね。


 次回の質問に続く――。

本日の処方せん

  • 希望の薬が病院にない場合、院外処方せんを書いてもらう手も。
  • 経済的なジェネリック薬の要望は、積極的に医師に伝えること。

仁科桜子(ドクトル・ピノコ)プロフィール

女医。 医大生時代には体育会に属しつつ、某社キャンペーンガールや大手塾講師など数々のバイトをこなす日々を過ごす。 現在は、酒と体力だけには自信アリの外科系ドクターとして病院勤務。

ドクトル・ピノコ名義で「週刊ビジスタニュース」などにコラムを執筆している。2009年1月、仁科桜子(にしな・さくらこ)名義で『病院はもうご臨終です』(ソフトバンク新書)を発売した。


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