モニタリング、遭遇、問題解決――3つの情報収集が基本“情報力”を磨く方法

「未知の問題」に対して解決方法を探るために最初に行うであろうことが情報収集。この情報収集には3つの方法があります。

» 2009年03月06日 11時00分 公開
[松尾順,ITmedia]

短期集中連載「“情報力”を磨く方法」とは

 マーケティングリサーチ、広告・販売促進のプランニング、CRMコンサルティングなどに活躍する松尾順氏(シャープマインド)。そんな松尾氏の信念は、膨大な情報があふれる今だからこそ、情報力はビジネスパーソンの必須能力であるというものです。連載を通じて、「情報力」を磨き、高めるノウハウをご紹介します。

※本記事は、INSIGHT NOW!において、2007年3月23日に掲載されたものです。松尾氏の最新記事はINSIGHT NOW!で読むことができます。


 私たちが日々直面する問題の中には、仕事であれプライベートであれ、しばしば経験したことのない、

 「未知の問題」

 がありますよね。

 ここでの「問題」というのは、なんらかの取り組むべき事柄という意味で、ネガティブな意味合いはありません。プライベートでいえば、初めての就職結婚、出産、住居探し――などは、基本的に未知の問題です。仕事でも、見込客への企画提案などは未知の問題ですね。「未知の問題」の場合、問題解決の手がかりがほとんどない状況からスタートすることになります。

 そこで私たちは、まず「情報」を集めるのです。その問題の本質や背景を理解する上で、今の私たちに欠けている「知識」を補うために情報を集める。こうして新たに獲得した情報はこれまで持っていた知識に統合され、新たな知識が生み出されます。そうして、その新たな知識を元に問題解決に向かう。

 要するに、私たちは、情報を収集することによって、自分の知識を変化させているということになるわけです。これは「学習活動」ともいえます。学習の意義は、それによって日々の中でより適切な判断や行動ができるようになる(つまりは、生き延びる)ために役立つ知識やスキルを獲得することです。

 ですから情報収集とは、人間(人間だけでなく生物全て)にとって、生きることそのものといえるのかもしれません。逆にいえば、情報収集を怠れば、オオゲサですが生存の危機に陥る可能性だってあるわけです。

生存のためにも重要な「環境モニタリング」

 さて、情報収集活動には次の3種類があります。

  • 環境モニタリング
  • 情報との遭遇
  • 情報問題解決

 「環境モニタリング」とは、危機や好機到来の兆候を読み取るために、常に周囲の状況に関心を払い、継続的に情報を集める行為。人だけでなく、生物全てに備わっている本能ともいえる情報収集活動です(草食動物の群れでは、外敵の存在を見張る役割がいますが、あれも環境モニタリングです)。

 これは、自分が好きとか嫌いとかということではなくて、自分に対して、ポジティブであれネガティブであれ、影響を与えそうな事項に対して、注意を向けることです。実は、人間の環境モニタリング本能を満たすために発達してきたのが、新聞やテレビなどのマスコミなんですね。

 現在はインターネットの役割が大きくなりつつあるますが、周囲の環境変化を継続的にモニタリングしておくことは、自分の生存のためにとても重要なことなんです。

「情報との遭遇」が突破口に

 次の「情報との遭遇」とは、特に何か情報を探すという意識はなかったのに、なんらかのきっかけで偶然、有益な情報に出会ってしまうことです。目的なき情報探しですから、明確な成果を最初からは期待できません。

 しかし、思いもしない情報との出会いが、行き詰まっていた仕事の突破口になったり、人生を変えてしまうきっかけになったりすることもありますから、意識的に仕掛けていくといいですよね。

 例えば、放送作家の小山薫堂氏の言う、

 「偶然力」

 のアプローチがオススメ。神様も予期しない行動をとることで偶然の出会いの機会を増やすやり方です。要するに、行き当たりばったり、気まぐれなことをやったりしてみる……。無駄打ちが多くなることは、覚悟しなければなりませんけど。

目先の「情報問題解決」だけにとらわれると……

 最後の「情報問題解決」は、明確な解決すべき問題、つまりはっきりした目的のための情報収集活動です。冒頭に述べたように、日々の生活では「未知の問題」として、この情報問題解決が数多くやってきます。

 情報問題解決のためには、効率的に答えや関連した情報を見つける「情報検索スキル」が求められるのですが、ネットのサーチエンジンやQ&Aサイトの登場は、この「情報問題解決」をずいぶん楽にしてくれました。

 情報収集活動は、誰もが日常的にやっていることなので、あまり意識したことがないかも知れません。でも、目先の「情報問題解決」だけにとらわれていると、環境モニタリングがおそろになり、時代に取り残される可能性がありますし、斬新な発想を生むためには、「情報との遭遇」が有効です。

 ですから、多少意識して、

  • 環境モニタリング
  • 情報との遭遇
  • 情報問題解決

 の3つの情報収集活動スタイルを使い分けたらどうでしょうか?

セミナーのお知らせ:「情報力を飛躍的に高める!実践ノウハウ講座」

 「情報」を制するものがビジネスを制す! ビジネスで高い成果を出すためには、情報をいかに的確に収集、整理、分析、解釈するかにかかっています。膨大な情報があふれる今だからこそ、情報力はビジネスパーソンの必須能力。本セミナーでは、「情報力」を磨き、高めるノウハウを提供します。

  • 講師:松尾順
  • 日時:3月12日(木) 18:30〜20:30
  • 場所:ヴィラフォンテーヌ 汐留
  • 参加費:7000円
  • 主催:クイックウィンズ株式会社(INSIGHT NOW!運営事務局)

※当日、参加者の方全員に講師松尾順氏監修本『先読みできる!情報力トレーニング』を進呈します。

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著者紹介 松尾順(まつお・じゅん)

 シャープマインド マーケティング・プロデューサー。福岡県出身、早稲田大学商学部卒。ニールセン・ジャパン、CRC総合研究所で調査・コンサルティングに従事。その後、電通ワンダーマンにて各種リサーチ、マーケティング企画、CRMプロジェクトのプロデュースを手がける。2001年シャープマインドを設立し、現在はマーケティングリサーチ、広告・販売促進のプランニング、CRMコンサルティング等を主要業務とし活躍中する一方、セミナーや執筆活動も手掛けている。


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