「やめる」ことを決めるのだシゴトハッカーズ(4/4 ページ)

» 2009年01月22日 14時30分 公開
[大橋悦夫、佐々木正悟,ITmedia]
前のページへ 1|2|3|4       

見えないものは、やらなくなる

 本来、ただ「やめる」ということはそれほど難しいことではありません。「やる」ことは「やらない」ことに比べれば、エネルギーを使うからです。

 にもかかわらず、「やめてもいいことをやり続けてしまう」とすれば、それには理由があるはずです。その最大の理由は、

 やり続けてしまっていることで犠牲になっている、もっとやりたいことが見えなくなっている

 からでしょう。

 これを買い物にたとえてみれば分かりやすくなります。

 本当はもっと欲しいものがあるにもかかわらず、さほど欲しくもないものをつい買ってしまうとすれば、その人は自分の本当に欲しい物を、忘れてしまっているのです。

 よくいわれている通り、人間の現在その場で利用できる記憶領域には、限りがあります。一時期にたくさんのことを思い出したり意識したりするのは、難しいのです。目の前に、ちょっと欲しいものや、ちょっとやりたいことが見えていると、そのとき見えないもののことは思い出せないのです。

 こういったわけで、普段からやり続けているが故に、普段から目にさらされ続けている対象のほうが、手を出しやすくなります。やめるキッカケを得るためには、本当にやりたいこと、本当に欲しいものを、絶えず目の前にさらし意識し続けられるようにする、仕組みが必要になるのです。

 そうすれば、机の上に、例えばちょっと読みたい本と、前からずっと読みたかった本とが並ぶことになり、いずれかを選ぶという選択ができます。読みかけだったからちょっと読みたい本を毎日読み続けてしまう――という習慣を見直すキッカケが得られるわけです。

 もう1つ、「やめてもいいことをやめる」メリットとして、「その代わりにも何もしない」という選択肢があります。

 これを選び取るためには、「やめてもいいこと」と「本当にやりたいこと」を比較する以外に、「何もしないこと」も比較対象とする必要があります。机の上があふれかえりそうになって不便なとき、「本当に必要なもの」を置くようにする選択もありますが、「できる限り何も置かない」ようにする方法もあるということです。

 したがって、「やめることを見つけるキッカケを得る」には、

  • 本当にやりたいことや欲しいものを絶えず目の前にさらし、意識する仕掛けを作る
  • 何もしない、何もない状態も想像する。必要ならば、本や雑誌を参考にする

 のがいいでしょう。

筆者:大橋悦夫

大橋
ks_ohashi.jpg

1974年、東京生まれ。ブログ「シゴタノ!仕事を楽しくする研究日誌」主宰。学生時代よりビジネス書を読みあさり、システム手帳の使い方やスケジュール管理の方法、情報整理のノウハウなどの仕事術を実践を通して研究。その後、ソフトウェアエンジニア、テクニカルライター、専門学校講師などを経て、現在は仕事のスピードアップ・効率アップのためのセミナーや研修を手がける。デジタルハリウッド講師。著書に『「手帳ブログ」のススメ』『スピードハックス 仕事のスピードをいきなり3倍にする技術』『チームハックス 仕事のパフォーマンスを3倍に上げる技術』『そろそろ本気で継続力をモノにする!』『Life Hacks PRESS vol.2』『LIVE HACKS! 今を大切にして成果を5倍にする「時間畑の法則」』、近著に『成功ハックス』がある。

筆者:佐々木正悟

佐々木
ks_sasaki.jpg

心理学ジャーナリスト。専門は認知心理学。1973年北海道生まれ。1997年獨協大学卒業後、ドコモサービスに派遣社員として入社。2001年アヴィラ大学心理学科に留学。同大学卒業後、2004年ネバダ州立大学リノ校・実験心理科博士課程に移籍。2005年に帰国。著書に、『スピードハックス』『チームハックス』のほか『ブレインハックス』『一瞬で「やる気」がでる脳のつくり方』『やる気ハックス』などがある。「シゴタノ!−仕事を楽しくする研究日誌」にて「心理ハック」を連載中。ブログ「ライフハックス心理学」主宰。


前のページへ 1|2|3|4       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ