「1人と愛し合いたい」「複数から思われたい」は両立する?セルフイメージで人生を変える(2/3 ページ)

» 2008年12月16日 19時00分 公開
[平本あきお(構成:房野麻子),ITmedia]

まず複数の価値観を書き出す――価値観の拮抗を修正する

 皆さんの中で、「できることなら生涯ただ1人、心から、魂レベルでつながった素敵な異性と愛を誓いたい」と思っている人はいますね。ところが、たくさんの素敵な異性が、自分に魅力を感じていても、悪い気はしませんね。これも矛盾しています。このように、色んな価値観があるから、こんがらがってギクシャクしてしまうのです。価値観は拮抗(きっこう)してしまうのです。

 価値観の拮抗には、大きく2つのタイプがあります。

 1つは本当に求めているものと価値観の順位が違うタイプです。

 例えば、スキルも身についたから独立しようという場合。独立しようとは思うけれど、大事な価値観の1番目に「安全」があったらどうでしょう。独立できませんね。また例えば、役所にいるけれど民間企業に転職しようかと思う。その時、避けたい価値観の1番目に「不安定」とか「リスク」があったらどうでしょう。なかなか民間に転職はできません。このように、やりたいと思うことや目標設定は確かに大事ですが、それと価値が矛盾していると、なかなか行動できません。

 もう1つは、大事な価値観と避けたい価値観の優先順位があるとして、それぞれの1番が相反するタイプです。

 例えば、大事な価値観の1番目に「成功」とか「拡大」がある場合。会社員として成功してもいいし、起業して成功するでもいい。しかし、避けたい価値観の1番目に「拒絶」があったらどうなるでしょうか。拒絶されることが1番怖いとなったら、まず成功できません。そもそも、独立して銀行融資を頼んで、最初からすぐ貸してもらえるなんてあり得ません。何度も断られます。それが、1回断られただけで「ああもうダメだ」みたいになったら、成功どころではありません。営業でも、1回行って断られて「もうダメだ」となっていたら成功できません。

 一方、大事な価値観の1番目に「安心・安全」があって、避けたい価値観の1番目に「リスク」があったらどうでしょう。これは落ち着きますね。たぶん、高収入にはならないでしょうし、仕事も非常にやりがいを感じるかは分かりませんが、例えば地方のお役所で5時半に仕事が終わって、大金はもらえないけど地道に穏やかに暮らすことができるでしょう。

 大事な価値観に「成功」があって、避けたい価値観に「やり残し感」があるとしたらどうでしょう。

 「やり残し感だけは避けたい、そして僕は成功したい」だったらどうなるか。すごくいいですよね。こういう人は成功します。成功する人が、何で成功するかは分かりませんが、大事な価値観と避けたい価値観は一致しています。

 大事な価値観の上位に「冒険」「拡大」「自由」「喜び」などがあって、「安心」「安全」「安定」「安らぎ」「平安」などが下位の人はどういう生活を送っていそうですか? まず、遊びはアクティブでしょう。スカイダイビングやバンジージャンプなんかをやりそうですね。その人にとっては、目の前にバンジーがあるのに、やらないなんてあり得ません。でも、大事な価値観の上位に「安心」「安全」「つながり」「くつろぎ」「穏やかさ」がある人は、バンジージャンプなんてあり得ません。

 避けたい価値観の上位が、「恥ずかしさ」「拒否されること」「失敗」だったら、どんな人になると思いますか。そういう人は、積極的にはなれません。それが20歳くらいの女性だったら、その後どうなるでしょう。大学生で、「失敗」「恥」「苦労」「貧乏」などが避けたい価値観の上位にあったとしたら、どうでしょうか。そういう人は、できるだけ大手企業に入社するか、社会的地位の高い人と結婚するか、です。ところが、避けたい価値観の上位が「退屈」とか「人並み」だったら、どうなるか。バリバリ仕事をするか、あるいはインドやネパールに行ったり、アフガニスタンに写真を撮りに行ったりして、無茶なことをしそうですね。

 こんなふうに、人生はセルフイメージ、信念、価値で決まっているのです。

 価値観の拮抗を修正するには、大事な価値観と避けたい価値観をたくさん書き出してみることです。そして書き出した後に、現状の優先順位を付けていきます。そして、理想の優先順位を付けて、今回はどこを落とし所にするか、と考えます。

 典型的な例として、「バリバリ仕事をしたい」という価値観と、「家族を大事にしたい」という価値観は拮抗します。

 バリバリ仕事をしたいから、もう一仕事、もう一仕事といいながら夜中の12時くらいまでやって、「子供のために時間を取りたい」という気持ちと拮抗するわけですね。そして最終的には自分の時間がなくなる。これは信念で「仕事とプライベートは両立しない」と思っているから無理なんです。両立できると思っている人はできます。外食事業などを展開するワタミの社長、渡邉美樹さんなんかは、あんなに忙しくても家族の時間を持っています。両立できると信じているんですね。彼ほど忙しくない会社員で、できないと思うのは信念と密接に関係しているのです。こうして自分というものは、セルフイメージ、信念、価値の3つで形成されていくのです。

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