セミナーの学びを最大化するコツ【チュートリアル編】 シゴトハッカーズ

セミナーを受講するといいよ、というのがお二人からのお勧め。でも、そこで最大限に学ぶには、どんな準備と行動をしたらいいのでしょうか?

» 2008年12月05日 16時05分 公開
[大橋悦夫、佐々木正悟,ITmedia]

 対話編ではセミナーを受講することをおすすめしましたが、チュートリアル編では、セミナーでの学びを最大化させるためのコツをいくつかのステージに分けて、ステージごとのチェックリスト形式でご紹介します。

ステージ1:セミナー申し込み前

  • セミナー参加の目的を決める(疑問点をまとめる)
  • 講師の著書があれば読んでおく(疑問点をまとめる)
  • 講師の著書がなければ関連するテーマについて予習しておく(疑問点をまとめる)

※セミナー終了後に疑問点がすべて解消されていることを目標とする


 セミナー受講には大きく分けて次の2つのゴールがあるでしょう。

  1. 未知を拓く(知らないことを新しく学ぶ)
  2. 既知を深める(知っていることをあらためて学ぶ)

 いずれにしても、「なぜ○○なのか?」とか「○○するにはどうすればいいか?」といった疑問点が出発点になるはずです。そして、この疑問点を解消することを目指すわけです。

 逆にいえば、疑問点を持たずにセミナーに臨むことはゴールのないレースに参加するようなもので、ペース配分(時間の使い方)がつかめないために、大きな成果は期待できないでしょう。

ステージ2:セミナー参加前

  • 「開場時刻(=受付開始時刻)」を調べる
  • 開場時刻5分前に到着するための段取りを組む(電車の時刻表や地図の確認など)
  • 夕食を軽く済ませておく(夜18時以降のセミナーの場合)

 セミナー参加にあたっては、まず何よりも定刻に間に合うようにすることです。といっても、セミナーの開始時刻を目指すのでは遅すぎます。理想的には、受付開始時刻を目指すことです。例えば、19:00から始まるセミナーで、18:30受付開始であれば、18:30にセミナー会場に到着できるように、乗る電車の時刻表をチェックしたり、開場までの地図を再確認したり、といった準備を入念に行います。

 セミナー開始時刻の19:00ではなく、受付開始時刻である18:30を目指すわけですから、仮に仕事が長引いたり、交通機関のトラブルに見舞われたりしても、30分間の余裕時間がありますから、焦らずに済みます。

 なお、これは生活習慣にも左右されるのですが、夜のセミナーに参加する際には、直前に夕食を軽く済ませておくことをおすすめします。空腹の状態では講義に集中しづらいからです。もちろん、食べ過ぎれば今度は眠くなってしまいますから本当に「軽く」です。筆者は、「ウイダー」などの素早く手軽に食べられる(飲める)食品を1〜2袋ほどかばんに常備しています。

ステージ3:セミナー開始前

  • 一番前の席に座る(プロジェクターの脇だと隣が広く使える)
  • トイレを済ませる(込む前に)
  • 必要なものはすべて机の上に出しておく(ノート、ペン、講師の著書)
  • そばに座っている人と名刺交換して、参加動機を交換する

 セミナー会場に足を踏み入れたら、特に理由がない限りは一番前の席を選びましょう。可能なら、スクリーンにPowerPointなどのスライドを投影するためのプロジェクターを設置してある席を選ぶようにすることです。こうすることで、隣に別の受講者が座ることがないため、席をゆったりと使えます。また、講師との距離が近いために質問をしやすい、というメリットもあります。

 一番前の席を確実に押さえるためにも、受付開始時刻に合わせて一番乗りをしたいところです。

 席を確保したら、トイレを済ませておきましょう。セミナー開始時刻が近づいてくると、トイレも込み始めるからです。

 席に戻ったら、必要な文房具をかばんから机の上に出します。セミナー中は講師の話に集中するためにも、かばんから何かを取り出す、といった注意力を奪う作業の発生を抑える必要があります。何度かセミナーに参加していれば、自分がどんなものを使うのか、あるいは使わないのかが見えてくるはずですから、これをリスト化しておいて、常にこのリストを参照しながら、そろえるといいでしょう。

 ここまで済ませても、まだ時間は残るでしょうから、あとは講師の本に目を通したり、あらかじめ準備してきた疑問点を再確認したり、といった「予習」をするほか、そばに座っている人に話しかけて(あるいは名刺交換して)、セミナーの参加動機を話し合うのもいいでしょう。どんな人が来ているのかを把握できれば、セミナー全体の輪郭も浮かび上がってくるからです。

ステージ4:セミナー受講中

  • 疑問点をまとめた紙を見ながら講師の話を聞く
  • あらかじめ持参した疑問点について質問する

 ここからは個人差の大きく出るところですが、やはり基本は所期の目的(疑問点の解消)を完遂することです。講師の話だけで足りなければ、質問をしましょう。セミナーというのは、一番前に座っても後ろに座っても、早めに行っても遅刻しても、そして、質問をしてもしなくても、料金は変わりません。もちろん、席によって料金を変えているセミナーもありますが、そういったセミナーはセミナーというより講演会でしょう。

 そうなると、

  1. 早めに会場入りして、
  2. 一番前に座り、
  3. 講師に質問をする、

 のが最もコストパフォーマンスの高い受講方法ということになります。

ステージ5:セミナー終了後

  • 講師以外の受講者と名刺交換する(講師とはしない)

 セミナーが終わると、講師のもとに名刺交換のための長蛇の列ができるものです。でも、受講生にとっては講師はたった一人ですが、講師にとっては受講者は何十人かいるうちの1人にすぎません。当然、講師は受講者一人一人のことなど覚えきれませんから、よほど目立つ名刺を使うか、インパクトのある経歴を披歴するか、といった工夫が必要になります。

 とはいえ、そこまでして講師と名刺交換しても、後に生かせない(=講師に覚えてもらえない)のであれば、する必要はないでしょう。むしろ、並ばずに名刺交換できる、自分と同じ立場にあるほかの受講者と親交を深めるのが大切です。

 講師には分からない、「できない人の気持ち」をシェアできるからです。異なる視点を知ることで、理解が深まったり、新しい解釈が得られたり、といったことが期待できます。

ステージ6:懇親会

  • セミナー終了後に懇親会があれば参加する
  • 講師に疑問点が解消されたお礼を伝える

 セミナーにもよりますが、終了後に居酒屋やレストランに場所を移して懇親会を開く場合があります。全員が参加するわけではないため、その分だけ密度が高まります。これを追い風に、ここで初めて講師にアプローチします。長蛇の列のセミナー会場と比べると、一対一で話せることが多いですし、周囲にいる人も巻き込むことで、話に厚みが出ます。

 セミナーで解消できなかった疑問はここで解決を目指すわけです。あるいは、セミナー受講中の段階で、持ち込んだ疑問点がすべて解消している、という場合は講師にお礼をする場、と位置づけてもいいでしょう。

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筆者:大橋悦夫

大橋
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1974年、東京生まれ。ブログ「シゴタノ!仕事を楽しくする研究日誌」主宰。学生時代よりビジネス書を読みあさり、システム手帳の使い方やスケジュール管理の方法、情報整理のノウハウなどの仕事術を実践を通して研究。その後、ソフトウェアエンジニア、テクニカルライター、専門学校講師などを経て、現在は仕事のスピードアップ・効率アップのためのセミナーや研修を手がける。デジタルハリウッド講師。著書に『「手帳ブログ」のススメ』『スピードハックス 仕事のスピードをいきなり3倍にする技術』『チームハックス 仕事のパフォーマンスを3倍に上げる技術』『そろそろ本気で継続力をモノにする!』『Life Hacks PRESS vol.2』『LIVE HACKS! 今を大切にして成果を5倍にする「時間畑の法則」』、近著に『成功ハックス』がある。

筆者:佐々木正悟

佐々木
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心理学ジャーナリスト。専門は認知心理学。1973年北海道生まれ。1997年獨協大学卒業後、ドコモサービスに派遣社員として入社。2001年アヴィラ大学心理学科に留学。同大学卒業後、2004年ネバダ州立大学リノ校・実験心理科博士課程に移籍。2005年に帰国。著書に、『スピードハックス』『チームハックス』のほか『ブレインハックス』『一瞬で「やる気」がでる脳のつくり方』『やる気ハックス』などがある。「シゴタノ!−仕事を楽しくする研究日誌」にて「心理ハック」を連載中。ブログ「ライフハックス心理学」主宰。


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