口先だけでOK 心はあとから付いてくる【寄り道女とゴール男の会話術】「早起きは三文の得」実行委員が行く(2/2 ページ)

» 2008年11月12日 08時20分 公開
[豊島美幸,ITmedia]
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「何かトラブルでも?」――相手を心配する

 まず「課長、どうしましたか? これは確か、早田さんの仕事ですよね?」と、やんわりと事実を確認する。そして自分の仕事ではないことが確認できたら、ほかの人の仕事をわざわざ帰り際に頼んでくるのだから、よっぽど切迫した事態なのかもしれない。そう推察して、次のように言うのだ。

 「何かトラブルでもあったんですか?」「大丈夫ですか?」

 ここでは“非常事態”であると仮定し、上司をおもんばかる言葉をかけるのである。多少大げさな物言いでも「心配してますよ」という気持ちが伝わればいい。「ムッとした時ほど相手を心配してください」と、黒川さん。

 そして、あなたが本気で心配するほど、上司も「部下に無理難題を押し付けようとしていた。悪いなあ」と罪悪感がわく。この状況まで持ち込んだ時点であなたが残業を引き受けた場合、上司はあなたに感謝の念さえ抱くという。

心配するフリでいい――心は後から付いてくる

 「……といっても、心配するフリでいいんです」(黒川さん)。気持ちがなくても優しい言葉を相手にかける行為自体が大切、というのが黒川さんの考え方だ。最初は口先だけでも、そのうち本当に優しい心が芽生えるからだというのだ。

 ある時、音楽プロデューサーの松任谷正隆さんが、妻でシンガーソングライターの松任谷由実さんに対し、「優しい気持ちになれない時にも優しい言葉をかけて、本当にいいのだろうか。嘘を付いていることにならないか」と黒川さんに疑問をぶつけてきた。その時も「いいんです。心は後から付いてきます」と答えたという。

仕事を無茶振りされたら?

 仕事を無茶振りされた時も、「できません」「いやです」はNGだ。いきなりマイナス発言をしては角が立つ。こういう時は「いついつまでなら、どこどこまでできます」「この部分は私には分かりませんが、誰々なら詳しいはずです」といった、前向きに取り組む姿勢を受け答えの中でキッチリ示すのがいいという。

 と、いうわけでまとめると次のようになる。

上司に仕事を振られた時の、デキる対処法

  • いきなり残業を振られたら、「何かあったんですか?」と心配するフリをしてみせる。
  • 仕事を無茶振りされたら、「ここまでまでならできます」と前向きな表現に置き換える。


 異性に限らず人間、誰しも他人同士。「分からない装置」(黒川さん)を分かり合おうという気持ちから会話は始まるのである。女性は、男性が沈黙しても目くじらを立てず気楽に待つ。男性は、女性の会話がゆらいでいるのを楽しむ。そんな大らかさがあれば、異性間のあらゆるすれ違いは、驚くほど減るのかもしれない。

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