「すべてのビジネスには毎回、新しい発想が必要である」――。1984年1月に最初のノートに最初の発想を書き留めたことから、筆者のアイデアマラソンは始まった。
1984年1月に最初のノートに最初の発想を書き留めた。サウジアラビア王国の砂漠の真ん中、首都リヤドに駐在していた時のことである。
当時、主に営業の作戦だったり、砂漠を楽しむことだったり、自分の発明だったりを書いていた。それが功を奏したのか、新しい発想をビジネスに応用して、連続して受注を獲得したものだ。それ以来、「すべてのビジネスには毎回、新しい発想が必要である」というのが、ビジネスの信条となった――。「アイデアマラソン発想法」の始まりである。
最初の数年は毎日、数個の発想を書き留めていたが、すぐ調子に乗り、ヨメサンとの対抗意識が高まったりして、どんどん発想ペースが上がった。1999年1月1日からは1日に最低50個の発想を書くようになって、現在に至っている。累計の発想数は、2週間前に29万個を超えた。アイデアマラソンで使ったノートも2つの書棚いっぱいである。
アイデアマラソンの準備と方法 | |
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1 | まず自分のノートを持つ。手帳は書くスペースが狭すぎ。キーワードだけを書くと、後で分からなくなる。スペースが狭いと絵も描けない。だからノート(A5判がオススメ)だ。 |
2 | 発想の内容はどんなことでも構わない。領域を限定しない。営業企画、ソフト、コンセプト、計画、夢、俳句、回文、日記、読書感想など、すべてを書き込む。 |
3 | 大切なのは書いた後。周りに発想を話すべし。周囲に話せば当然コメントをもらえるはず。こうして発想の質が向上し、発想がネットワーク化していくのだ。 |
4 | 蓄積した多数の発想から、最良のものを選択して実行していく。 |
アイデアマラソンの中心が、アイデアマラソン・ノート(A5判のマルマン製20穴ファイルノートがベース)である。何を使ってもいいのだが、筆者はこのノートにぺんてると共同開発したデジタルペン「アイデアマラソン・スターターキット for airpen」を使って書いている。一番の利点は、airpenで書いた内容をすべてPCにテキストデータとして保存できること。これならいつでも検索できる――というわけだ。
ノートには、予定表、電話帳、クリアファイル、ファスナーポケットなど30近いアイテムを追加した。もはや生活必需品。このノートがあるからこそ、筆者は生活できるといっても過言ではないだろう。
――と、ここまで深夜遅くまで書いてITmediaに送ったら、(筆者が内心“鬼のようにでかい編集者”鬼Xと名付けている)担当編集者は電話口でこともなく、
「樋口先生、アイデアマラソンとノートの重要性という言いたいことは分かります。しかし、これだけでは読者は納得しませんぞ。発想の例を示してくださいな」とカウンターを出してきた。夜中の電話で「ぐちぐち言われても」と軽く言ったら、「そうだプチプチで出してみてくださいよ。グチグチよりもプチプチですね」と挑戦的姿勢だ。そこで寝ないで考え始めた。眠らせない鬼Xと付き合うのもツラいよ!
プチプチをイメージしてまず浮かんだのが、プチっとつぶすと小容量の空気が放出されること。これは香水を入れたらいい香りがするのではないか。ただし安物の香水はやめてほしい。本当に素晴らしい香りがいいのである。
関連発想 | |
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1 | コーヒーの香り入りプチプチ |
2 | うなぎのかば焼きプチプチ |
もともとプチプチは保護のために考えられたもの。レジ袋に使ったら、卵などの割れ物や、冷凍食品などの冷たい物に便利そうだ。価格がネックになりそうだけど、最近は有料化も叫ばれているし、有料の高級レジ袋路線もありだろう。
関連発想 | |
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1 | プチプチトート(買い物バッグ) |
2 | プチプチケータイ入れ(ケータイは落とすもの。安価にケータイを守る) |
3 | 保冷剤入りプチプチ |
息子の家で家具の角に布張りしているのを見た。布を張って粘着テープで止めているのだ。これ、赤ちゃんがぶつかって怪我をしないためだが、何かを保護するためのプチプチを粘着テープにしてしまえば便利なのではないだろうか。
関連発想 | |
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1 | プチプチの粒の大きさと強さを変える |
2 | プチプチ靴のソール |
このほかにも、
など、いくらでも出てきた。もちろんすべてアイデアマラソン・ノートに書き込み済みだ。みんなも試してみてはいかがだろう。
熱中しすぎて寝られなくなっても知りません(鬼X)
1946年京都生まれ。大阪外大英語卒、三井物産入社。ナイジェリア(ヨルバ族名誉酋長に就任)、サウジアラビア、ベトナム駐在を経て、ネパール王国・カトマンドゥ事務所長を務め、2004年8月に三井物産を定年退職。在職中にアイデアマラソン発想法を考案。現在ノート数338冊、発想数26万3000個。現在、アイデアマラソン研究所長、大阪工業大学、筑波大学、電気通信大学、三重大学にて非常勤講師を務める。企業人材研修、全国小学校にネット利用のアイデアマラソンを提案中。著書に「金のアイデアを生む方法」(成美堂文庫)、「できる人のノート術」(PHP文庫)、「マラソンシステム」(日経BP社)、「稼ぐ人になるアイデアマラソン仕事術」(日科技連出版社)など。アイデアマラソンは、英語、タイ語、中国語、ヒンディ語、韓国語にて出版。「感動する科学体験100〜世界の不思議を楽しもう〜」(技術評論社)も監修した。「アイデアマラソン・スターター・キットfor airpen」といったグッズにも結実している。アイデアマラソンの公式サイトはこちら。アイデアマラソン研究所はこちら。
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