「社葬の生中継、始めました!」――プロモーションに使う手も目的別に使いこなす「遠隔会議システム」、導入と活用ポイント(1/2 ページ)

Web会議システムを使い、社葬の生中継サービスを始めた日比谷花壇。ところが目下、この新サービスで利益を上げようという考えはないという。いったいどういうことなんだ? 担当者に話を聞いた。

» 2008年10月20日 08時55分 公開
[豊島美幸,ITmedia]

 遠隔会議システムを会議だけに使うのは、もう過去の話。医療教育、企業面接、株主総会など、活用用途は広がる一方だ。ユニークな活用法では、社葬の生中継がある。日比谷花壇が2008年9月に提供開始した「社葬インターネットライブ中継サービス」という新サービスでの活用だ。

中継先のイメージ

 社葬インターネットライブ中継サービスとは、中継元の社葬の模様をビデオカメラで撮影し、その映像をWeb会議システムを使って、遠隔地や別場所に生中継するサービスである。経緯や狙いを、日比谷花壇店舗営業推進本部ライフサポート事業部の吉村孝(よしむら・たかし)さんに聞いた。

「お別れの会」でのノウハウを生かし、社葬サービス開始

 日比谷花壇では、第二次大戦直後から半世紀以上、帝国ホテルなどのバンケット(宴会)で、花の装飾に力を注いできた。その1つに、平服でも参加可能な「お別れの会」という、遺体なしで行う葬式のサービスがある。

 同社は「お別れの会」における花の装飾サービスなどを通じ、さまざまなノウハウを蓄積。2004年10月、個々のニーズに合わせた個人葬や社葬をプロデュースする「フラワリーフューネラル」という葬儀サービスを開始した。さらに2008年9月、フラワリーフューネラルのオプションとして社葬インターネットライブ中継サービスを始めたのだ。

10月20日訂正:初出時、バンケットにおける「お別れの会」のプロデュースを手がけていると記載しましたが、その後の取材で、バンケットでは花の装飾のみと判明いたしました。お詫びして訂正いたします。

 フラワリーフューネラルでは、葬儀の模様を収録したビデオを葬儀後に渡すサービスも行っている。だが「(葬儀での)同じ時間を共有できない」(吉村さん)もどかしさを感じていた。

 しかも企業のトップなどを弔う社葬は、後継者が初めて新リーダーとして意志を伝える、重要な節目の場でもある。そのため日比谷花壇では、社葬を「従業員が節目を同時共有する、大きな意味がある場」ととらえ、生中継サービス開始に踏み切ったのだ。

 2008年4月、英国のウェズリー・ミュージックが、教会に設置したカメラから葬儀の模様をネット中継する有料サービスを開始したことも、サービス開始の追い風になったという。

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