“すごい”けどオレにはできないのだシゴトハッカーズ(1/2 ページ)

仕事術の本やライフハックのサイトを見て、「これ、すごいな!」と思ったものの、「でもオレには無理だな……」とあきらめてしまっていることはありませんか。

» 2008年10月09日 14時25分 公開
[大橋悦夫、佐々木正悟,ITmedia]

大橋さん、佐々木さん、デュアルディスプレイとかバックアップ体制の構築とか、PCの環境作りによって仕事の効率が上がるって話はよく聞くのですが、実践するのが難しくて。良いのは分かるけど、難しそう。やっぱり私には無理なのでしょうか?

Biz.IDをはじめとするWebサイトやPC関連書籍などで紹介されている、「達人の技」や「プロのPC環境」というのは、見ていて「すごいな」の反面、「自分には必要ないかな」とか、「そこまでお金や手間をかけられないな」といった敷居の高さを前に、断念してしまうことが少なからずあるように思います。せっかく仕事の効率アップやクオリティアップを目指しながらも、その一歩手前であきらめてしまう、という機会損失があると思うのです。

 でも、達人やプロがやっていることが10、普通の人が1とすれば、「無理だ」と思ってあきらめてしまっては1のままです。そこで、10までは無理でも、とりあえず5を目指すとか、3までがんばってみる、といったように自分にとって無理なくできる現実的なレベルなら目指せると思いますし、目指すべきだと思っています。

 例えば、トリプルディスプレイ(3枚)とか、あるいはそれ以上のディスプレイを接続して、仕事の効率を上げる、といった記事を見かけますが、普通の人ができるのはせいぜいデュアルディスプレイ(2枚)でしょう。紹介されていることの3割減、5割減のレベルで考えてみると、「これなら自分でもできるかも!」という突破口が見つかるのではないか、と常々思っています。

究極の方法を知っておくのもいいけれど、これなら自分にもできるかも という方法を知ることが実践につながるということですね。


考え方のクセというか、何か新しい方法やツールに触れたのなら、「その方法が自分にできるか、できないか」を考えるのではなく、「その方法を自分の環境に置き換えたら、どうなるか」を考えるといいと思います。例えば、以前、Biz.IDで「覚えやすいパスワードのつくり方」というライフハックが紹介されていたかと思うのですが、僕自身も「なるほど!」と思いつつ、結局面倒になって実践するにいたっていません。

大橋さんが愛用する「パスワード総合管理」。作者は秀丸エディタで知られる斉藤秀夫氏

 でも、パスワードの重要性は変わりませんから、ツールに頼ることにしました。「パスワード総合管理」というシェアウェアがそれですが、このツールは、複数のID/パスワードを管理するもので、起動時に尋ねられるマスターパスワードに答えることで、内容を閲覧/編集できるようになります。ランダムな文字列を生成する機能もありますし、ネット銀行用に定期的にパスワードを変更したときの世代管理もできます。ここで言いたいことは、何らかの必要性を提示されたら、自分にできる方法やツールでそれを実現しようとする姿勢です。

なるほど、具体的には実際に仕事の効率が上がる環境構築で、みんなが思っているよりも実は容易に(ツールの利用などで)第一歩が踏み出せるものってどんなのがあるのでしょうか?


卑近な例ですと、スケジュールをすべてデジタルで管理することで、変更や共有が容易になる、という理想に対して、紙の手帳を使うほうが、コストも安く済み、スケジュールの共有については、共有すべき予定とそうでない予定とをすみ分けることで事足りる、ということが挙げられます。


LANを利用してイントラネットで自宅内にサーバを作る方法などが雑誌でよく紹介されています。これを読むと私はいつも「すごいな」と感心します。例えば、動画や写真を家中のPCで共有できるとか、PCに蓄積するファイルなどは、全部共有サーバに上げておけば、買い換えの時などに慌てることもないなどとあって、なるほどそうだからです。

 ただ実際に、例えば動画を家庭用サーバに上げて、それを家庭用テレビなどで見られるようにするのは、手間もかかるし、お金もかかるし、操作のやり方を、家族の者に覚えてもらえなかったりします。結局家の者などと、一番ファイルのやりとりを簡単にできるのは、メール添付で送信するといった方法になっています。あるいは、大容量のUSBメモリなどを使います。

お2人がやっている環境構築の中で、すごい!いい! と思ったけど、そのまま実現しないで、より簡易的、実践的にやっていることを、もう少し教えてもらえますか?


Dropboxはすごく良さそう! と思ったのですが、データをネット上に置く、というところに抵抗があるのと、前回ご紹介したようなローカルでシンクする体制で満足していたために、見送った――ということはあります。


私は、名刺管理ですね。以前は、ACCESSなどを使って、けっこうがんばろうとしていたのですが、その後スキャンして、画像ファイルをiPod touchで見られるようにするだけ――になりました。今では、デジカメで撮って、PCで見られるようにするだけ、です。

なるほど。やっぱり環境構築が目的ではなくて、その結果得られる成果が重要ですものね。

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