最後はメーカーの“得意ワザ”で選ぶチーム用ビジネスプリンタ選び、8つのポイント(1/4 ページ)

「どの候補にも愛着がわいて決められない」と八方美人になったり、「本当にこの1台でいいのか?」と突然“マリッジブルー”になったり。そんな時に役立つのがメーカーごとの特色。ニーズや好みに合うメーカー品を選んでしまうのも、アリなのだ。

» 2008年10月01日 22時21分 公開
[小川夏樹,ITmedia]

 素材メーカーのアラレでは、「チームで使うプリンタを購入せよ」という指令のもと、プリンタ初心者の社員、プリンちゃんとターくんが所属チームのプリンタ選びに奔走。2人は予算内に収まる候補を、必要機能印刷速度印刷時間解像度を元に絞り込み、さらに最終候補のランニングコストをシミュレーションしたが……。

 プリンタ選びのポイント解説もこれで最後。ここに来て、「ほぼ1台に絞り込めたけど、本当にこれに決めてしまっていいのかしら」と、突然“マリッジブルー”になったプリンちゃん。「どの最終候補にも愛着がわいてきて、1台だけに決められないよ〜」と八方美人なターくん。8つ目のポイントは、最後までおぼつかない2人の背中を押せるのか――。

(左)プリンちゃん:アラレ社員。新素材ACE22Xの売り込み専門の販促チームに配属。促販ツール作成用プリンタが必要。(中央)ターくん:アラレ社員。新素材ACE23Xの特許取得チームに配属。稟議(りんぎ)や契約書、提出書類用プリンタが必要。(右)ドクトルP:技術開発エンジニア。元大手OA機器メーカーにて20年商品開発に携わった後、フリーランスに転身。プリンタへの造詣が深く、プリンタ博士の異名を持つ

ターくん ああ〜、もうマジで絞れないよ〜。ドクトルP、僕、最終候補3つの全部がいい気がして、どうしても決められないんです。

プリンちゃん ったくもう、優柔なんだから。私は1つに絞り込めたけど、ホントにそれでいいのか不安になってきちゃったんです……。

ドクトルP おやおや、2人してゴール目前で平常心を失ってるね。まあ、2人とも慣れないプリンタの勉強をがんばってたことだし……最後にとっておきのポイントを教えてあげよう。じゃ行くよ!

プリンちゃん&ターくん はい、よろしくお願いします!


 とっておきのポイントとは「メーカーごとの特徴」を知っておくことだ。人それぞれに特徴があるように、その「特徴のある人」が複数集まって作るプリンタもまた、それぞれ特徴が出てくるもの。メーカーごとの特徴を知っていれば、その特徴が買い手のニーズを満たすか否かといったことはもちろん、好き嫌いといった相性まで“見えて”くるかもしれない。同条件でどうしても決められない時は、相性のよさそうなメーカーのものに決める――というのも手だ。

 プリンタの主なメーカーは、NEC、沖データ、カシオ計算機、キヤノン、京セラミタ、コニカミノルタ、セイコーエプソン、日本ヒューレット・パッカード、富士ゼロックス、ブラザー工業工業、リコーの11社(五十音順)。これに量販店などで店頭販売をしていないデル、日本IBM、理想科学工業、レックスマークインターナショナルの4社を加えれば15社になる。さっそくメーカーの特徴を見ていこう。

家庭用の2大巨頭エプソン、キヤノン――インクジェットプリンタ市場

 各社のインクジェット式プリンタが日本の市場でどう受け止められているかを見てみよう。

 まず家庭用インクジェットプリンタでは、重視される写真画質やグラフィック印刷のクオリティは、キヤノンとエプソンの2社が圧倒的に高い。そのため家庭用インクジェット式の市場では、この2社だけで95%以上を占める。3位以下は日本HP、リコー、ブラザー工業、最後にデルとなる。新製品ラッシュの年末商戦を見ていると、年末はエプソンとキヤノンがシェアの過半数争いを繰り広げ、かろうじて日本HPが食い込む構図が恒例化しているほどだ。

 そのためエプソンとキヤノン以外のメーカーは、家庭用インクジェット市場でエプソンとキヤノンの牙城を切り崩すのは難しいという認識のもと、ビジネス用インクジェットの製品開発に注力してきた。この結果、ビジネス用インクジェットでは市場の順位が大きく変動する。日本HPとリコーが上位に躍り出て、次いでブラザー工業とデル、そして最後に、キヤノンとエプソン――という順番になるのだ。つまり、家庭用インクジェットでは2大巨塔のエプソンとキヤノンだが、ビジネスインクジェットの市場シェアではほかのメーカーに遅れを取っているわけだ。

 ビジネスインクジェットプリンタの技術や機能性は、開発に注力してきた日本HPやリコーの方が、エプソンやキヤノンより高い。

 蓄積した各メーカーのノウハウや実績はメーカーの特色となる。そこで20年プリンタに携わってきた筆者は、独自の観点でメーカーを特色付ける「技術力」や「高速性」「信頼性」「印刷品質(写真)」「印刷品質(文書)」「価格」のポイント6つを抜き出し、ビジネスインクジェットのメーカー6社のレーダーチャートを作成してみた。プリンタ選びの最後の決め手で使うのも手だろう。レーダーチャートにない要素で「デザイン」や「好きだから」という理由でも立派な選択ポイントになる。

 作成したメーカーはエプソン、キヤノン、日本HP、ブラザー工業、リコー、レックスマークだ。理想科学工業もインクジェット式を製造しているが、今回の予算15万円より高いプリンタしかないため割愛した。




 このチャートからは、日本HPが最も外側の六角形に近い形をしており、次いでリコー、ブラザー工業が近い形をしている。このことから、ビジネス用インクジェットプリンタでは、現状はリコーや日本HP、ブラザー工業などを選択した方がよいことが分かる。もちろん今後は、キヤノンやエプソンのレーダーチャートが大きく変化する可能性は高いから、あくまで現状の話である。

 次にレーザープリンタを見ていこう。

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