自分の「クレド」を作るのだ シゴトハッカーズ(3/3 ページ)

» 2008年09月18日 15時20分 公開
[大橋悦夫、佐々木正悟,ITmedia]
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「クレド」とは「信条」のこと

 「人にはいつも機嫌よく接する」とか「テレビは1日30分まで」などが典型例だと思います。一覧リストを部屋のどこかに、大書して張ってある人もいるでしょう。

 ただ、部屋に張っておくのは恥ずかしいかもしれませんし、それより厄介なことに、長く張っておくとクレドが部屋の風景の一部と化してしまって、張る意味がなくなってしまう可能性があります。また、紙にして張っておいたりすると、そこに書き足したり、修正したりする手間もかかります。

 そこで、クレドをデジタル化するという方法が考えられます。

 例えば筆者は、すでに紹介したStickiesというソフトを、その目的で使用しています。

 使い方は簡単で、一枚のStickiesを用意し、そこに「守るべき心得」を書き込んでいくのです。そして、アラーム機能を利用し、毎朝9時にはこれが自分の目に飛び込んでくるようにセットしておくだけです。

 こうすれば毎朝、筆者が自分で守るべきだと思っている「心得」を確認できるとともに、記憶の底に沈み込んでいきます。不思議なことに、このように毎日「心得」を無意識の底に沈めておくと、必要なタイミングで、意識上に浮かび上がってきてくれるのです。

 例えば、最近になって筆者は、「脳科学」のことよりも「心理学」のことを集中的に勉強したいと思っていました。そこでそのことを書いておき、毎朝暗唱するようにしておくと、たまたま書店の池袋リブロを歩いていたところ、「脳のコーナーではなく、心理コーナーに行かなくてはいけない」と思い起こすことができたわけです。これはまさに、記憶の働きに救われた事例でした。

 ところで、このような「クレド」と「タスクリスト(ToDoリスト)」とはどう違うのかと疑問に思う方もいるかもしれません。最大の違いは、「must」(ToDo)か「should」(クレド)かといったところでしょう。

 筆者は基本的に、タスクリストには「絶対にやるべきこと」だけを書くようにしています。タスクリストにあるのは、仕事か義務です。しかし、「クレド」には、やった方がいいこと、忘れない方がいいことを書き記しています。毎朝暗唱するというやり方からして、絶対に忘れてはならないことについて、用いる方法ではないはずです。

 したがって「クレド」には、否定形のものも多くなります。「テレビを見過ぎない」とか「ネットをやり過ぎない」といった内容です。これらが「タスクリスト」に入っていては、むしろ邪魔になるでしょう。

筆者:大橋悦夫

大橋
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1974年、東京生まれ。ブログ「シゴタノ!仕事を楽しくする研究日誌」主宰。学生時代よりビジネス書を読みあさり、システム手帳の使い方やスケジュール管理の方法、情報整理のノウハウなどの仕事術を実践を通して研究。その後、ソフトウェアエンジニア、テクニカルライター、専門学校講師などを経て、現在は仕事のスピードアップ・効率アップのためのセミナーや研修を手がける。デジタルハリウッド講師。著書に『「手帳ブログ」のススメ』『スピードハックス 仕事のスピードをいきなり3倍にする技術』『チームハックス 仕事のパフォーマンスを3倍に上げる技術』『そろそろ本気で継続力をモノにする!』『Life Hacks PRESS vol.2』『LIVE HACKS! 今を大切にして成果を5倍にする「時間畑の法則」』、近著に『成功ハックス』がある。

筆者:佐々木正悟

佐々木
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心理学ジャーナリスト。専門は認知心理学。1973年北海道生まれ。1997年獨協大学卒業後、ドコモサービスに派遣社員として入社。2001年アヴィラ大学心理学科に留学。同大学卒業後、2004年ネバダ州立大学リノ校・実験心理科博士課程に移籍。2005年に帰国。著書に、『スピードハックス』『チームハックス』のほか『ブレインハックス』『一瞬で「やる気」がでる脳のつくり方』『やる気ハックス』などがある。「シゴタノ!−仕事を楽しくする研究日誌」にて「心理ハック」を連載中。ブログ「ライフハックス心理学」主宰。


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