やり方を教えると部下はダメになる部下をやる気にさせて育てる指導術(1/3 ページ)

世の中には、ビジネスで成功するためのたくさんのやり方が公開されています。書店ではビジネス本が所狭しと並び、企業でも多くの研修が組まれています。でも、実際にはこうしたやり方を自分のビジネスに生かせることはまれだったりします。その原因はなんでしょうか。

» 2008年09月17日 11時30分 公開
[水野浩志,ITmedia]

 前回は「部下をほめたり叱ったりする前に、まずは部下を受け入れ、認めましょう」というお話をしました。部下を育てようとする前に、部下を受け入れ認める、という人間関係の土台が作られていないと、いくらほめても叱っても、部下は成長などしません。すべては土台作りから、が基本であります。

 さて今回は、人間関係の土台ができた後、どうやって部下を育てていけばいいのかの話。これまたよくある勘違いのケースをご紹介します。

バラ色の社会になっているはずなのに……

 世の中には、ビジネスで成功するためのたくさんのやり方が公開されています。書店に入れば、仕事の課題や悩みを解決するためのいわゆるビジネス本が所狭しと並んでいますし、大手企業などでは、至れり尽くせりの研修カリキュラムが組まれていて、ビジネスに必要なスキルが学べます。ビジネスマナー、プレゼンテーション、ロジカルシンキング、コーチング――ビジネスに役立つさまざまなやり方を学べる環境が用意されているのであります。

 これだけビジネス本が出回り、それを学んでいる人たちならば、悩みもなく毎日楽しく働いていることでしょう。特に、至れり尽くせりの研修を行っている大手企業では、毎日がバラ色で、上司も部下もしっかりと深いコミュニケーションが取れていて、交渉力のある営業マン達が、お客さんもほれぼれするような提案書を提示できていて、そして顧客企業には、問題の解決を提供し、利益増大に大いに貢献したことで、たいそう感謝されているはずです。

 とはいっても「実際、そんなことはない」ことは、皆さんがよくご存じのこと。これだけの有効なやり方に囲まれながら、多くのビジネスパーソンは、自分に降りかかるビジネス上の問題に対して、日々悩み続けているのです。

 いったい、なぜこれだけ有益なやり方を教えても、うまくいかない人がこれだけ多く出てきてしまうのでしょうか。その理由は「やり方を教えてしまう」こと。これが最大の間違いではないかと、私は考えているのです。

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