予算には「最初にありき」「調整していく」の2つのアプローチがあるのが分かったら、もう一歩踏み込んでみよう。
どちらのアプローチにも共通しているのが、「印刷機能以外で、業務上必要な機能も絞り込む必要がある」こと。そして、これが予算を絞り込む上で重要だったりするのだ。
というのは、アプローチ方法は違っても、最終的には必要な機能や優先すべき機能をキチンと絞り込めないと、満足できるプリンタは選択できない。それどころか、必要ない機能まで搭載された製品を選んでしまったり、肝心の機能が搭載されていない製品を選択してしまうことになりかねないからだ。こうした失敗をしないためにも、印刷以外の機能にも目を向け、キチンと把握しておく必要がある。
とはいえ「印刷以外の機能」という言葉にピンと来ない人も多いだろう。「印刷以外の機能」は大きく2つに分類される。1つ目は「印刷するのに便利な機能」、2つ目が「印刷ではない便利な機能」だ。
「印刷するのに便利な機能」は、業務で印刷をする上で必須だったり優先される機能のことで、「印刷ではない便利な機能」は、印刷以外でもビジネスシーンで活用できる機能を持っていることを意味する。コピー、スキャナ、ファックスなどがそうだ。「印刷ではない便利な機能」を持っているプリンタは「複合機」と呼ばれている。
機能は豊富なほど本体価格は高価になる。A4カラーレーザー複合機であれば、コピー、スキャナ、ファックスといった機能もフォローすると、安価なもので10万円前後。対応用紙や印刷速度などに応じて、さらに高機能な製品も存在しており、例えばリコーの場合は安くても約90万円、高いモデルになれば400万円を超える。
上記のような高価な複合機は、おいそれと導入できるものではないし、小規模事業所や単一部署などでは、オーバークオリティだ。ただしどうしても高機能な複合機が必要ならリース契約という方法も念頭に入れておくとよいだろう。
ここで気を付けておきたいことがある。それは、印刷以外の機能を独断で絞り込まないということ。チームには、自分が考えている必要な機能を必ずしも必要ではないと思う人がいたり、むしろ別の機能を要求するようなケースも考えられるからだ。
なるべく公平に機能を絞り込むには、チームメンバーに必要機能に関するアンケートをチェックシート方式などで作成し、必要・優先する機能の意見を集めておくのが得策だ。
ドクトルP つまり予算の絞り込み方をまとめると――
プリンちゃん ふむふむ。よく分かったわ。特に予算のアプローチは何事にでも共通してそうだし。
ターくん だねー。しかし印刷以外の機能ってのは、そんなに重要なもんなんだ。機能っていっても僕が必要なのはアレにコレにソレにドレに、それから……。
プリンちゃん ……また“お花畑スイッチ”入っちゃった。
ドクトルP やれやれ……。
この後ドクトルPは、2人に印刷機能以外でどんな機能があって何が必要かを明確にして実際に予算を絞り込んでもらうため、チームメンバー用のアンケートを作成してもらうことにした。
プリンちゃんのいる販促チーム、ターくんのいる特許取得チーム。各チームが必要とする機能とは? 2人のプリンタ選びはまた一歩、コマを進めるのであった――。
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