アラブの知恵――排便プロセスの大切さを思い切って説明する樋口健夫の「笑うアイデア、動かす発想」

初めてサウジアラビアに駐在した当時、サウジ人に「紙だけ使って水で洗わないのは、すごく不潔だ」と言われた。

» 2008年09月05日 17時00分 公開
[樋口健夫,ITmedia]

 初めてサウジアラビアに駐在した1978年、当時はまだ日本でもウォッシュレットはなく、「排便後、紙だけ使って水で洗わないのは、すごく不潔だ」と、サウジ人に言われた。「手に便がついたとして、紙で拭くだけなのか?」。お尻もそれと同じだというのだ。

 ウソか本当か、「アラビア人は排便後、水で肛門を洗うから痔にならない」という。確かに、サウジの住宅では、トイレにお尻を洗うホースか、水ガメか、バケツか、ビデが必ず付いていた。筆者もサウジで初めて、排便後に肛門を洗うことを覚えた。

 この清涼感をいったん味わうと、水で洗うことなしにはいられなくなった。従って、TOTOがウォシュレットを発売した後の1985年に帰国した時は、自宅にウォシュレットを導入。また、痔主だった父親には「すぐに購入しろ」と(帰国前のサウジアラビアから)勧めたほどだった。

アラブの知恵をどこでも実現する携帯ウォシュレット

 仕事が忙しく、連日会議をして、コーヒーをガンガン飲み、食事はハンバーガーなど肉系のジャンクフードばかり。仕事後は、酒を飲み、夜中にラーメンを食べる。帰宅して、眠りにつくのがほぼ毎日12時45分ごろ――。

 1日や2日ならともかく、これを長期的に続けていれば、必ず消化器系がおかしくなる。そのため便秘になるかもしれない。アルコールでお腹がゆるくなる人もいる。消化不良を起こして下痢が加わると、最悪の状態である。特に排便時に紙で頻繁にふき取ることで、肛門がダメージを受けるのだ。場合によっては、細菌などに感染して痔の症状が悪化する恐れもある。

 最近ではウォシュレットを導入している会社も増えているが、自宅や通勤途中の駅にもないとすると要注意。そんなときにオススメなのが、「TOTO トラベルウォシュレット 携帯用おしり洗浄器」である。

「TOTO トラベルウォシュレット 携帯用おしり洗浄器」。ウォシュレット部を伸ばして使う

(左)ウォシュレット部を伸ばしたところ(右)水を入れるのはこちらから

 以前、カバンの中身を披露した時、この携帯ウォッシュレット(すでに3台目)もあった。そのはてなブックマークでは読者から、「(携帯用ウォシュレットを持っている)ということは……って余計な妄想はいけませんね……」と書かれていた。これは誤解だ。「……になるのが怖い」からこれを持っているのだ。

 明治・大正の作家のことを調べると、たいがい痔に悩んでいたようである。夏目漱石も芥川龍之介もみんな痔で苦しんだ。戦争中に行軍している日本軍の兵隊を悩ませたのも痔だった。 きつい痔になれば、仕事は営業であれ、開発であれ、任務の続行は不可能になる。

きつい痔を防ぐ樋口流ポイント
1 当然ながら、自宅をウォシュレット化。できるだけ自宅で排便するために、起床時間と食事時間を調整
2 コーヒー(特に不味い)の飲む回数を制限
3 会社や出先、あるいは自分の行動範囲の中で、ウォシュレット装備のトイレマップを作ること。どこのビルには入っている。どこのデパートにはあるなどを知っておくこと。
4 携帯式ウォッシュレットを持つこと
5 ペーパータオルを細かく畳んだものを、いつも何枚かポケットに入れて、それらを湿らせてから、排便し、最後にそのウエットタオルでよく拭くこと。使った後は便器に流さないようにしよう
6 最悪の場合、トイレットペーパーを湿らせて使う

今回の教訓

携帯ウォシュレット、ちょっと貸して――と言われたらちょっと困る。


著者紹介 樋口健夫(ひぐち・たけお)

 1946年京都生まれ。大阪外大英語卒、三井物産入社。ナイジェリア(ヨルバ族名誉酋長に就任)、サウジアラビア、ベトナム駐在を経て、ネパール王国・カトマンドゥ事務所長を務め、2004年8月に三井物産を定年退職。在職中にアイデアマラソン発想法を考案。現在ノート数338冊、発想数26万3000個。現在、アイデアマラソン研究所長、大阪工業大学、筑波大学、電気通信大学、三重大学にて非常勤講師を務める。企業人材研修、全国小学校にネット利用のアイデアマラソンを提案中。著書に「金のアイデアを生む方法」(成美堂文庫)、「できる人のノート術」(PHP文庫)、「マラソンシステム」(日経BP社)、「稼ぐ人になるアイデアマラソン仕事術」(日科技連出版社)など。アイデアマラソンは、英語、タイ語、中国語、ヒンディ語、韓国語にて出版。「感動する科学体験100〜世界の不思議を楽しもう〜」(技術評論社)も監修した。「アイデアマラソン・スターター・キットfor airpen」といったグッズにも結実している。アイデアマラソンの公式サイトはこちら


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