機会を待つことなく機械的に貯金する方法【チュートリアル編】シゴトハッカーズ

対談では、大橋さん、佐々木さんに、意識せずに貯金を行う方法の数々を披露してもらいました。チュートリアル編では、そのなかでも“複数口座活用法”を詳説します。

» 2008年09月05日 08時30分 公開
[大橋悦夫、佐々木正悟,ITmedia]

 今回取り上げる方法は、『ベンジャミン・フランクリン 富を築く100万ドルのアイデア』で紹介されていたものです。手順に沿って具体的に見ていきます。

3つの銀行口座を用意する
口座名 内容
1 マスター口座 給与はもちろん、あらゆる収入がこの口座に集まるようにします。
2 月間定例支出口座 毎月定例的に発生する支出の受け口です(水道光熱費、電話代、家賃、保険料、税金など)。
3 イレギュラー支出口座 月間定例支出以外のすべての支出の受け口です(一時的に発生する支払いや特別な買い物など)。

月末にマスター口座から2つの支出口座に、それぞれ必要な金額を移す

 月末になったら、マスター口座から2つの支出口座に必要な金額を移します。マスター口座からお金を出すのは、このタイミングだけです。月末以外にうかつに引き出してしまわないように、あえて不便な場所にある口座を選ぶことをおすすめします。

 月間定例支出口座とイレギュラー支出口座は、必要以上のお金は入れておかず、月末になって、請求額が確定したところで初めてマスター口座から必要な金額を移すようにします。わざわざ毎月このような資金移動をすることは煩わしく思われるかもしれません。でも、「今月は、月間定例支出が8万円、イレギュラー支出が11万円」といった具合に、自分がひと月にどれぐらいのお金を使っているのかを確認できるため、「今月は電気代が足を引っ張ったな」とか「来月は結婚式があるからイレギュラーがいつもより多めだな」といった反省ができます。

 貯金をするには、まずどれだけのお金が出ていっているのかを把握する必要があるのです。

 こうして、毎月必要な金額だけをマスター口座から引き出していくと、収支が赤字になっていない限りはマスター口座にお金が残るようになるはずです。つまり、貯金をしようとしなくても、必要な金額だけを2つの支出口座に振り分けていくことによって、結果として貯金ができるのです。

 マスター口座はダムのようなものです。出ていく水を減らさない限りは、ダムに注ぎ込む水をどんなに増やしても追いつかないのです。支出を増やすのは簡単ですが、収入を増やすのは困難だからです。このダムには最初から2つの穴が空いていて、絶えず水が漏れています。ダムに水を残そうと思えば、この2つの穴を可能な限り小さくするほかないわけです。

 なお、毎月発生する水道光熱費や電話代などは、月間定例支出口座から自動引き落としされるようにしておくようにします。また、冷蔵庫を買ったり、旅行に行ったりなど、特別な出費がある場合はイレギュラー口座からの支出になりますから、この口座にひもづいたクレジットカードを使うようにするといいでしょう。

お金を使いにくくして貯金に誘導する方法

月末に手持ちの1万円をピン札に換えて封筒に入れておく

 冠婚葬祭に備える(銀行に行く手間を省ける)ほか、いざというときの「タンス貯金」になります。手元にあるため簡単に使ってしまいそうですが、額面は同じ1万円にもかかわらず「ピン札」という付加価値があるために使うのがはばかられるわけです。

本の衝動買いを防ぐ

 基本は、その場で決定しなくても、あとで確実に再検討できるような仕組みをつくることです。筆者の場合は、MediaMarkerを使ってこの仕組みを実現しています。

  1. 欲しい本が見つかったら、MediaMarkerに「ウィッシュ」カテゴリーとして登録
  2. 毎週金曜日にMediaMarkerで「ウィッシュ」カテゴリーのリストを確認
  3. リストの中で「欲しい」と思える順番に並び替える
  4. リストの1番目から3番目まで、合計3冊を購入する(冊数は財布と相談)

 リストを並び替えるには、リストの並び順を「更新日順」にして、一番上に持ってきたい本を一度「編集」し、何もせずに「更新」します。この過程で、自分が「欲しい」と思っている本を繰り返し目にすることになるため、そのたびに「本当に欲しいのだろうか?」という再検討が行われます。

 この仕組みがきちんと回っている限りは、欲しい本が見つかっても「今買わなくても、金曜日にあらためて検討することになっている」という安心感をもって、その場は忘れることができるようになります。GTDの「週次レビュー」を実践している方は、その一環としてこの「ウィッシュリストの見直し」も行うようにするといいでしょう。

筆者:大橋悦夫

大橋
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1974年、東京生まれ。ブログ「シゴタノ!仕事を楽しくする研究日誌」主宰。学生時代よりビジネス書を読みあさり、システム手帳の使い方やスケジュール管理の方法、情報整理のノウハウなどの仕事術を実践を通して研究。その後、ソフトウェアエンジニア、テクニカルライター、専門学校講師などを経て、現在は仕事のスピードアップ・効率アップのためのセミナーや研修を手がける。デジタルハリウッド講師。著書に『「手帳ブログ」のススメ』『スピードハックス 仕事のスピードをいきなり3倍にする技術』『チームハックス 仕事のパフォーマンスを3倍に上げる技術』『そろそろ本気で継続力をモノにする!』『Life Hacks PRESS vol.2』『LIVE HACKS! 今を大切にして成果を5倍にする「時間畑の法則」』、近著に『成功ハックス』がある。

筆者:佐々木正悟

佐々木
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心理学ジャーナリスト。専門は認知心理学。1973年北海道生まれ。1997年獨協大学卒業後、ドコモサービスに派遣社員として入社。2001年アヴィラ大学心理学科に留学。同大学卒業後、2004年ネバダ州立大学リノ校・実験心理科博士課程に移籍。2005年に帰国。著書に、『スピードハックス』『チームハックス』のほか『ブレインハックス』『一瞬で「やる気」がでる脳のつくり方』『やる気ハックス』などがある。「シゴタノ!−仕事を楽しくする研究日誌」にて「心理ハック」を連載中。ブログ「ライフハックス心理学」主宰。


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