「心配してほしい」――目的のため無意識になるうつ、抜け出す方法は?なぜ陥る? 「うつ」のメカニズム(1/2 ページ)

 慣れない部署異動でうつになる人。帰宅したとたん不安そうにする人。掲示板に執拗に書き込む人――。行動はバラバラですが、皆、無意識のうちに「目的を果たそう」という共通点があります。目的達成する別の手だてはないのでしょうか?

» 2008年08月25日 20時00分 公開
[平本あきお(構成:房野麻子),ITmedia]

 うつ症状や不安な状態になる人は、なぜそうなるか原因が分かれば、そこから抜け出す方法が分かるかもしれません。私はうつや不安を、次の5つのパターンに分けています。


 前回お話しした「考えすぎ」から自分を責め、うつに陥るパターンに続き、「目的達成のため」無意識のうちに陥るうつと、その脱却方法についてお話ししましょう。

「女の涙」に似てる? 目的のため、知らず知らずに陥るうつ

 本人も知らず知らずのうちに、何らかの目的を達成ために精神症状を作り出している時があります。

 新しい部署で不安そうにしていたら、「じゃあいいよ。お前また元の部署に戻っていいからさ」とか、体育の時間に具合悪くなると、「いいよ、体育は休んで」とか、会社ではバリバリ働いて、家に帰って憂うつそうにしていると、「じゃあいいわよ。私、自分で遊びに行くから」と言って、家族サービスをせずに済むとか、不安そうにしていると、家族が心配してくれて、みんなの気を引ける――というように、うつや不安になることで、本人も知らないうちに目的を達成していることがあります。

 実は、本人は全く悪気なくやっています。ただ、過去に「それをするとうまくいった」という成功経験が、本人の気が付かないうちに存在しているのです。女の人が涙を流すというのは、比較的多いパターンですね。「勝手に涙が出ちゃうんです」という人もいますが、別の場面で涙が出ない時もある。気が付かないうちにそうなっていて、意識していないのです。

「慣れない部署に異動でうつ」になるのも、あくまで無意識

 また、例えば、技術職から営業職に移動させられた人が、数カ月もうつ状態が続き、「やっぱりキミに営業は無理だから、技術に戻っていいよ」と言われると、徐々に調子がよくなるパターンもあります。これも、本人がわざとうつを使っているというよりは、知らず知らずのうちに、「技術職に戻りたい。営業職は受け入れがたい」ということを、うつという手段を使って抗議している可能性があります。

 本人はあくまで無意識です。例えば、フリーで仕事をしているけれど、すごく嫌いな仕事を受けなくてはならなくなったとします。本当なら断りたいけれど、仕事が全然ない時期で、お金に困っている。そうすると、どうしても受けざるを得ません。

 そうなると、その人はうつっぽくなります。「今、忙しくてできないですから」と、態度を選択できればいいんですが、例えば、ダンナさんが病気で働けないから、嫌な仕事でも受けて稼がなくてはいけない、というように、選択できない状態になるとうつになるのです。

ネットへの過剰な書き込み、認められたい気持ちの裏返し?

 ちなみに、うつではありませんが、ネットの掲示板への書き込みやブログの記事などに過剰反応して訴える人も、このタイプかもしれません。普段、自分の存在意義を証明できず、人を責めることで自分の存在意義を保ちたい、認められたいという無意識の目的があるのかもしれません。

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