新人記者は「ビジネス用ICレコーダー」をこう選ぶ仕事耕具(1/3 ページ)

取材やインタビューに使うため、ICレコーダーを購入することにした新人記者。最新のICレコーダーって、どんな製品があるんだろう。どんな基準で選べばいいんだろう。各メーカーから製品を借りて、試しに1週間ほど使ってみた。

» 2008年06月30日 19時15分 公開
[杉本吏,ITmedia]

 今年4月に入社したばかりの筆者も、近ごろ1人での取材が増えてきた。記者発表会などに出かけていくことも多いのだが、会場ではいつもあたふたしている。

 話を聞きながら写真を撮っていて重要な内容を聞き逃してしまったり、話の内容が専門的すぎて、分からない単語だらけだったり。穴だらけのメモで記事を書こうにも、「あれ、これって誰が話した内容だったっけ?」とPCを前にして固まってしまうこともしばしばだ。

 このままではまずい――と先輩記者に相談したところ、「そんなのICレコーダーで録っとけばいいじゃん。というか君、まだ買ってなかったの?」との返事が。最近は一般のビジネスパーソンでも、会議や講演の録音目的でICレコーダーを持ち歩く人が多いらしい。

 ――そういうわけで、早速自分に合ったICレコーダー選びを開始。とりあえず、各メーカーから実売価格が1万5000円〜3万円前後の製品を借りて、1週間ほど試しに使ってみた。今回借りたのはオリンパスの「Voice-Trek DS-60」「Voice-Trek V-61」、三洋電機の「ICR-PS380RM」、ソニーの「ICD-SX88」「ICD-UX80」、松下電器産業の「RR-US950」の6機種。試用して初めて見えてきた感想を交えながら、以下にICレコーダー選びの際に筆者が重視したポイントについて触れていこう。

上段左からオリンパスの「Voice-Trek DS-60」「Voice-Trek V-61」、三洋電機の「ICR-PS380RM」、下段左からソニーの「ICD-SX88」「ICD-UX80」、松下電器産業の「RR-US950」

メーカー 製品名 容量 録音形式 実売価格※ 関連記事
オリンパス Voice-Trek DS-60 2Gバイト WMA 2万9500円 2007年8月29日
Voice-Trek V-61 2Gバイト WMA 1万9500円 2007年3月14日
三洋電機 ICR-PS380RM 4Gバイト リニアPCM/MP3 3万2800円 -
ソニー ICD-SX88 2Gバイト MSV(LPEC) 2万1400円 2008年1月22日
ICD-UX80 2Gバイト MP3 1万5800円 2007年11月6日
松下電器産業 RR-US950 2Gバイト MP3 2万4800円 2008年1月23日
※大手家電量販店での実売価格(Biz.ID調べ)

ビジネス用途なら「最高音質モードで録音すれば、どれでもいい」

 ICレコーダー初心者の筆者にとって、最も気になるのはやはり音質だった。せっかく録音したのに、聞いてみたら何を言っているのか聞き取れなかった――では話にならない。「よし、しっかり聞き比べてやろう。少しでもいい音質のものを買おう!」と息巻いていたのだが、何機種かを試してみての感想は一転。「自分の使い方なら、音質で選ぶ必要はない」というものになっていた。

 今回比較した6機種は、どれも5〜6段階で音質のモード指定ができ、音質がよくなるほど録音可能時間は短くなる。容量は三洋のICR-PS380RMが4Gバイトで、残りの5機種が2Gバイト。2Gバイトの容量があれば、「最高音質モード」で録音しても30時間以上は録音できる。筆者の使用環境では、連続して録音するといってもせいぜい2時間程度だし、録音したファイルはPCに移動して管理するため、最高音質モード以外を使う必要を感じなかった。

 最高音質モードの録音ファイルは、どの機種であっても一定以上の音質が得られた。室内での取材や会議などであれば、話している内容が聞き取りづらいなどということはまずない。「できる限り高音質で録音してライブ音源を残したい」といったような使い方をするなら別だが、筆者は「ビジネス用途で、話の内容がはっきりと聞き取れればそれでいい」ため、それ以上の音質は特に重視しないことに決めた。

ローカットフィルターとズームマイク

本体のスイッチでズームマイクに切り替えられるRR-US950

 価格が2万円前後のICレコーダーであれば、低周波数のノイズだけを軽減する「ローカットフィルター機能」や、狙った方向だけを重点的に録音できる「ズームマイク(指向性マイク)機能」を搭載している製品がほとんどだ。

 ローカットフィルターは、エアコンの音やプロジェクタのファンノイズを抑えてクリアな録音ができる。オフィスであれば、フィルターを切っていても十分実用に耐え得る録音ができるが、駅の雑踏や休日の店先などで使用するとざわざわした雑音が抑えられ、はっきりと聞きやすくなる。街頭での使用が多い人はチェックしてみよう。

 ズームマイクは講演などで遠くの人の声を狙って録る場合に使う機能であり、会議など複数人の声を一度に録音したい場合には向いていない。冒頭にも書いたとおり、筆者は「複数人が同席する取材で、人の声を判別したい」というニーズがあるため、この機能はほとんど使わなかった。また、使うたびにメニューから設定を変えるのはなかなか面倒なため、ズームマイクを重視する人は、本体に切り替えスイッチが付いているソニーや松下の機種を選ぶのがいいだろう。


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