上半身は仕事、下半身はエクササイズ――「ながら」で時間を2倍使う：ヘルス＆フィットネスジャパン2008

梅雨が明ければ夏本番。体のラインが気になりだす季節だ。とはいってもフィットネスジムに通う時間はない――。そんなときは自然にエクササイズができるという、丸いバランスボールに座ってデスクワークしてみては？　より楽にエクササイズしたい人には、足付きタイプのボールもある。

　｢エクササイズには、なにも持たずにウォーキングするのが一番なんですよ｣

　エクササイズ関連商品を取り扱うプロアバンセの営業、松永直史さんは出店ブース内でそう話す。6月18日に東京ビッグサイトで始まったイベント｢ヘルス＆フィットネスジャパン2008｣でのことだ。来月予定している｢メタボリック特集｣に紹介する手軽なエクササイズグッズを探していた矢先だった。

　ブースには、同社が手がける業務用エクササイズマシーンや家庭用エクササイズグッズが展示されている。そんな中で営業担当者が口にする言葉とは、にわかに信じがたい。驚いて理由を聞いた。

　｢家庭で簡単にできそうなエクササイズグッズは、実は自己流に陥りやすいんです。間違った使い方はケガの原因になりますし、無意識に使いやすい筋肉ばかり使いがちで、姿勢が崩れる人もいます。たとえ家庭用の手軽な器具であっても、最初は正しく使える器具使用経験者に習った方がいいですね｣と、松永さんは説明する。その点、道具を使わないウォーキングなら安全というわけだ。

　ところがそんな中、｢間違った使い方ができない｣例外があるという。いわゆるバランスボールだ。

　使ったことはなくても、知っている人は多いだろう。椅子のように座れるビニール製のこのボールは、身近なフィットネスグッズとしてすっかり定着している。同社が扱っているのは米国のSPRI(スプライ）の｢Xercise Ball｣。

　もともと米国の小学校など教育機関で使われていた。座っているときのボールが弾む感覚やカラフルな見た目などが楽しさを誘発するのか、落ち着きのない子どもも、この“ボール状の椅子”ならちゃんと座るという。

　楽しいだけではないようだ。｢座るだけで勝手に体のバランスを取ってくれるから、正しい使い方しかできない｣。バランスを取るためには、大腿（だいたい）筋など筋肉を使う。だから自然に姿勢を正せる上、エクササイズになるというのだ。

　SPRIでは｢Xercise Ball｣のほか、足付きの｢The Ball with Legs｣も扱う。これはボールの底部に足が付いており、転がりにくいようになっている。そのため、足のないボールに比べてエクササイズ効果は低くなるが、バランスを取りづらい人などには向いている。気軽にエクササイズを始めるにはいいという。

　試しに座ってみたが、はずむような身体感覚が実に楽しい。仕事場で椅子として使用すれば、原稿執筆に行き詰まったときなどに、ちょっとした気分転換になりそうだ。とはいえ、座るだけで本当にバランス感覚を鍛えられるのだろうか。バランスボール暦半年。つい2カ月前まで銀色に輝く“ボール椅子”に座って仕事をしていた＠IT自分戦略研究所の千葉記者を直撃すると――。

　｢仕事用の椅子として使うIT系の会社は多いみたいですね。最近取材に行ったウノウでも座っている人を見かけましたよ。アドバイスとしては……体重によってもボールへの体の沈み具合が違ってくるので、購入するときは、座高と机の高さとのバランスに気を付けてください。また、なるべく前方に浅く座った方が筋肉を鍛えることができますよ。座り心地がいいからといって深く腰かけるほど、エクササイズにならない気がします｣

　仕事の椅子として購入の際は、机の高さとのバランスを考える。座るときは浅めに腰かける。この2つさえ守れば、本格的にエクササイズする時間がとれないビジネスパーソンも、ものぐさなビジネスパーソンも、気軽にエクササイズができるかもしれない。下半身はエクササイズし、上半身は自由に使う。｢ながらエクササイズ｣で時間を2倍に活用してみるのはいかがだろうか。

　さて、｢フィットネスから福祉、メタボ対策まで｣がキャッチフレーズの｢ヘルス＆フィットネスジャパン2008｣では、ほかにもさまざまな展示品が並んでいた。それらの紹介は、来月7月の｢メタボリックシンドローム特集｣で行う予定だ。