富士通研究所、紙文書も暗号化できる新技術

富士通研究所は、紙や電子データ内の情報を部分的に暗号化したり、暗号化した領域ごとに閲覧権限を設定できる技術を開発した。

» 2008年06月11日 07時00分 公開
[宮本真希,ITmedia]
画像 技術の概要

 富士通研究所は6月10日、紙や電子データ内の情報を部分的に暗号化したり、暗号化した領域ごとに閲覧権限を設定できる技術を開発したと発表した。印刷物を暗号・復号化する技術と、暗号化した領域ごとに閲覧権限を設定できる技術はそれぞれ世界初としている。

 暗号化ソフトを使って電子データの必要な部分だけを暗号化。暗号化した領域ごとに閲覧を許可する人を設定できる。公開範囲も領域ごとに設定でき、閲覧権限の異なる人が同じデータを共有可能。復号ソフトで読み取れば、閲覧が許可された部分だけ閲覧できる。


画像 暗号化したい部分を選択
画像 暗号化された画像
画像 暗号化された画像を印刷し、スキャナでPCに読み取って復号化することもできる

 暗号化したまま紙への印刷も可能。暗号化したデータを印刷すると、暗号部分を読めないように加工して出力。スキャナなどで取り込んでデータ化し、暗号ソフトで読み取れば、データと同様、閲覧権限のある部分だけ閲覧できる。

 印刷物からの復号は、画像をパズルのように区切って位置を入れ替える「画像スクランブル技術」や、同社の電子すかし技術を応用して開発した。

 同社画像・バイオメトリクス研究センターの伊藤隆主席研究員は「情報共有したいが、セキュリティも高めたい――相反する課題に対応する技術が必要だと考え、開発した」と話す。病院や金融機関、官公庁など、情報漏えい対策を進めながら情報共有も行う必要がある組織に訴求する。

 FAXや複合機に同技術を組み込むといったことも検討しており、富士通グループのPFUが2008年度中に製品化する予定だ。

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