第3回 「楽しさ一番、気付けばエコ」――参加型エコ成功の秘訣みんなで作る地球のあした、企業発“巻き込みエコ”最前線(1/2 ページ)

「100万人のキャンドルナイト」をご存知だろうか。年に2回、みんなが夜の数時間だけ電気を消し、ろうそくの明かりで過ごすエコイベントだ。国内から海外まで、個人法人を問わず毎年推定600万人以上が参加する同イベントに見る、参加型エコ成功の鍵とは?

» 2008年06月06日 22時55分 公開
[豊島美幸,ITmedia]

 6年目を迎える「100万人のキャンドルナイト」をご存知だろうか。2003年から始まった年2回行われるエコイベントで、みんなが夜の数時間だけ電気を消し、ろうそくの明かりで豊かな時間を過ごそうというものだ。日本国内の個人に企業、果ては海外まで――毎年推定600万人以上が参加する同イベントには、“巻き込みエコ”を通して企業ブランディングを成功に導く秘訣が隠れている。

2007年開催時の模様。増上寺の境内(左)と消灯前の東京タワー(右)。右写真はクリックすると消灯後の姿が見られる

「キャンドルナイトで大地を守る会、知りました」

 「100万人のキャンドルナイト」の事務局は、「大地を守る会」(以下、守る会)が務める。守る会は、「人と土壌を守るため、国産の有機野菜を作って食べよう」という主旨で、1975年に市民運動として発足。1977年に流通部門を法人化した。主な事業は国産有機野菜の個人宅配だ。発足から33年を経た今は、「ブランディングの時期です」と、事務局の大野由紀恵さんは話す。ブランディングには、まず名前を知ってもらわなければならない。そのためのアクションの1つが「100万人のキャンドルナイト」(以下、キャンドルナイト)というわけだ。

 キャンドルナイトの発端は、2001年にカナダで起こった「ボランタリーブラックナイト」というエコイベント。電気を消してろうそくの明かりで夜を過ごすというこのイベントに賛同し、東京のオーガニックカフェ「カフェスロー」が同じイベントを開催した。さらにカフェスローに賛同した守る会が、エコに賛同するほかの発起人たちと一緒に一般に呼びかけた。こうして2003年に全国規模のイベント、キャンドルナイトが始まった。環境省のデータによると、開始年にすでに500万人(推測)が参加。2005年には660万人を突破したという。

 積極的な企業参加も年々増えている。「キャンドルホルダー」と呼ばれる協賛企業の1つ、富士ゼロックスは、2007年には国内の事業所が海外5事業所に参加を呼びかけ、国内外で参加した。このとき従業員の家族が自主的にろうそく作りをするまでに、同社のエコ意識が高まった。また、守る会でいえば、「キャンドルナイトを知って、大地を守る会の存在を知りました」という就職希望学生が、ここ数年で増加したという。

 もちろんエコに関心のない人もいるだろう。しかし、少なくとも上記からは守る会のブランディング戦略が実を結んでいることが分かる。「私たちが考えている以上に、企業がエコ活動を行っているかを、皆さんよく見ているのかもしれません」と、大野さんは言う。

 なぜキャンドルナイトは、ここまで大きなムーブメントに発展したのだろう?

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