第5回 すぐにできる「簡易コーチング」今さら聞けないマネジメント&コーチングの基本(1/2 ページ)

マネジメントには「指示」「放任」「傾聴」「対話」の4タイプがあるというお話から、コーチングとティーチングをどう使い分けるかといった解説をしてきました。最終回の今回は、すぐに使える簡易的なコーチング法を紹介します。

» 2008年03月26日 16時16分 公開
[平本相武(構成:房野麻子),ITmedia]

 高度なコーチングスキルは時間をかけて学んでいただく必要がありますが、非常に簡単なコーチングの方法があります。以下の(1)〜(4)の4つの質問を部下に聞くだけです。

簡易コーチングシート

今日までを振り返って

  1. うまくいったことは?
  2. うまくいかなかったことは?
    今後どうなればいい?
  3. 今までうまくいっていることを、今後どう伸ばしていく?
  4. うまくいかなかったことから、何を学び、今後どう生かす?

 まず、例えば、先週から今日までを振り返って、うまくいったことでどんなことがあるかを聞いていきます。そして、なぜうまくいったのか、どんなふうにうまくいったのかを聞いてください。そのときに、くれぐれも「だろう? オレはそうだと思ったんだよ」という感情は挟まないでください。「なるほどね」と好奇心を持ち、「この人の中に答えがあるんだ」と思ってピュアな気持ちで聞いてください。

 次に、うまくいかなかったことを聞いていきます。ここを話してもらうには、うまくいったことをしっかり聞いておくことが大切です。そして、信頼関係がうまく築けていると話してくれます。信頼関係が築けていないと、「この上司にうまくいっていないことを言おうものなら、後で何を説教されるか分からない」と思って部下は話してくれません。また、いつもうまくいったことを否定するようなことを言っていると、部下はうまくいっていないことがあったとしても、「大丈夫です」とウソをつきます。

 うまくいっていないことに関しては、なぜうまくいっていないのか本人の解釈を聞きます。そのとき、「根性が足りなかったから」というようなことを言うかもしれません。「違うだろ」と思っても、そのときは「なるほど、根性が足りないからなんだね」と返してあげてください。数週間後になろうとも、「やっぱり根性じゃありませんでした」と、部下本人が気づかないといけません。明らかに違うと思ったら、「なるほど、キミは根性だと思うんだね。ところで、私の考えだとこうだと思うんだけど」と、私メッセージで伝えます。

 振り返ったら、次に今後はどうなればいいかを聞いていきます。「来週の面談までに、うまくいっていることをどんなふうに生かす?」「どうしてそうしたいと思う?」と聞いていきます。

 同様に、うまくいかなかったこともあるけれど、そこから何を学んだか、今後どんなふうに生かすのかを聞いていきます。「次回までに何をする?」と聞いて、必ずアクションまで引き出してください。例えば――。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ