第2回 情報量は多い方が覚えやすい新入社員がやってくる──専門知識を教える技術(3/3 ページ)

» 2008年02月28日 20時33分 公開
[開米瑞浩,ITmedia]
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失敗する詰め込み教育、成功する詰め込み教育

 ところが、現実にはこのような形で専門知識を構造化せずに教えているケースがよくあります。その中でも典型的なのが「個別事象丸暗記」型というもので、抽象度が低いためにひとつひとつは難易度が低く分かりやすそうに見える「個別事象」を、ひたすら覚えさせるというものです。

 そういう詰め込み教育には私も反対ですが、だからといってただ減らせばいいというものではありません。問題は単なる情報の「多い・少ない」ではないのです。重要なのはこの3層がしっくりとなじんでアタマに入るように知識を構造化することです。それができれば、一見「詰め込み」に見えるほどの情報量であっても、かえってよく記憶に残ります。その一例が「陰山メソッド」なのでしょう。

 ちなみに、「メカニズム・個別事象・統合概念」の3層構造は、ロジカルシンキングの「ロジックツリー」のような「概要・詳細」あるいは「抽象・具体」の関係ではありません。要するにロジカルシンキングだろ、とは思わないでください。

 ロジックツリーというのは非常に強力なツールではありますが、万能ではないのは当然で、とりわけ「専門知識を教え」ようとするときにはもっと複雑なチャート(図解)を必要とする場合が多いのです。そのあたりの事情を次回に詳しく書く予定です。

お知らせ1

 当連載でここまで扱ってきた「専門知識を教える技術」についての本が出版されました! 書名は『ITの専門知識を素人に教える技』(Amazon.co.jp)です。

お知らせ2

 8月22日(金)に、専門知識を教える集合研修の現場での「講師」としてのアクションに特化したセミナーを開催します。プレゼンテーションとは違う「専門知識を教える」ための問いかけ、間の取り方、言葉遣いといったティーチングのノウハウを、自ら考えながら身につけたい方はこの機会を逃さずご参加ください。

 「ITの専門知識を素人に教える技」出版記念セミナー(8/22) ご案内

筆者:開米瑞浩(かいまい みずひろ)

 

 IT技術者の業務経験を通して「読解力・図解力」スキルの再教育の必要性を認識し、2003年からその著述・教育業務を開始。2008年は、「専門知識を教える技術」をメインテーマにして研修・コンサルティングを実施中。近著に『図解 大人の「説明力!」』


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