死にものぐるいの“朝方知的創造時間”樋口健夫の「笑うアイデア、動かす発想」

1日にトータル1時間40分の「あなたの知的創造時間」を作ることが目標だ。まずは早朝。起きぬけは誰だって眠たい。どうやって時間を作ろうか――。

» 2008年02月01日 17時49分 公開
[樋口健夫,ITmedia]

 1日にトータル1時間40分の「あなたの知的創造時間」を作ることが目標だ。まずは早朝。どうやって時間を作ろうか――。

 起きぬけは誰だって眠たい。若ければ若いほど眠い。遅く寝るから眠い。それを分かった上でも、あえて言わなければならないと考えている。あなたの朝の時間がどれだけ重要かも理解してほしいのだ。

 朝に、ほんの少しでも知的創造時間を捻出すれば、自分の人生をユニークに変革し、充実させることができる。腕立て伏せをするように起き上がり、3倍の重さを感じる頭を洗面所に向かわせる力は、自己実現のための強烈な意志力だ。しかし、どんな強じんな意志力の持ち主だって、天使と悪魔の葛藤が起こる。こんな風に――。

 「なにも、大切な大切な朝の時間を使わなくてもいいじゃないか。昼だって夜だって時間はたくさんあるのに」と悪魔のささやき。「その通りだ。でもね、気持ちの持ちようで時間は充実したり、ダラダラしたりする。朝を短くても充実した知的創造時間にするには、気持ちを切り替えるんだ。朝の時間は“知的濃縮時間なんだ”ってね」と天使の声。

 葛藤は続く。「だけど眠い」「そこは若い体力と習慣化で、なんとか」「しかし……」「出張するとか、旅行するとかの場合は、朝早く起きるのを最優先するではないか。朝に自分のために考える時間を持つことは、人生の優先順位でもベストファイブに入るんだよ」

 なぜ、朝に知的創造時間を持つとよいのか――いくつか理由がある。

  1. 早朝に思考習慣を付ければ、朝から頭脳が1日中フル回転してくれる。
  2. 朝に思考でシャキッとすれば、段取りやアポにミスが減る。ウッカリが減るのだ。これも長い目で見ると非常に大きな差だ。
  3. 運(ツキ)もついて来る。朝の思考で仕事の重要な作戦を思い付いて実行したことは何度もあるが、良い結果に良い評価を受けると、当然ながら仕事の立場も良くなる。

 現在、多数の団塊世代の退職者が、家でゴロゴロし始めている。彼らの最大の気楽さは朝寝である。最初はストレスもゼロである。しかし、妻やほかの家族から見れば、朝いつまでも寝ていられると、たまらなく腹立たしくなってしまう。朝寝をしている人の大半が、時間と金をつぶすだけの生活になり、パワーがなくなり、どんどん退化してしまうのだ。年をとったら、朝はもっと早く起きれるはずではないか。どうしていつまでもダラダラ寝ているのだろう。

 こうした人たちは現役時代、朝の思考の時間を習慣化しなかったがために、退職後の朝寝という体たらくに陥る。二度寝、三度寝、さらにはトイレで片目つなぎ寝しながら、起きてくるのが11時近く。これでは残りの(起きている)人生は極めて短くなってしまう。何もできない。

 それゆえ、昼近くまでゆっくりと寝ることを楽しんでいる退職世代は、しばらくたつと家のなかでゴキブリ以下の扱いをされることになる。これが陰湿なストレスに変化。気力、体力も知力の「3力」もどんどん低下し、生きがいも目標もなくし、絶望的になってしまうのだ。

 これらの“絶望”団塊世代の多くが、朝の使い方を知らずに、朝利用を習慣化できないで、ただただ仕事一途に過ごしてきた人たちだ。もともと実力があったので自信だけは過剰に残っている。多少小銭を持っているから、さらに始末が悪い。ここではやや強調しすぎであることを許してほしいが、若い世代にこのようになってもらいたくないと、心から願って書いている。朝を活かしてほしい。

 ん、「朝が起きられない」だって!? そんな人は自分自身の最適睡眠時間を知り、オメザを研究してはいかがだろうか。

朝方思考の効能
思考レベル その日、一日の思考レベルが高まる。
ミスよけ 朝いちで確認すれば、アポミスや予定ミスを防げる。
気力レベル 朝からさまざまな計画と期待、夢を再確認できれば気力が強まる。
健康レベル 消化器系を安定させた後、落ち着いた時間を持てる。起きぬけの消化器対処系未解決通勤状態に陥ることもない。
充実感 朝から充実した時間を持てれば精神的にも満たされ、自分自身に自信を持てる。
知的蓄積 ほんの少しでも毎日積上げていけば、長期間に大きな知的蓄積の果実を得られる。筆者は安定して早朝に執筆する。数カ月間でも、膨大な執筆蓄積が可能だ。
落ち着いた時間 朝の落ち着いた時間を持ち、まわりの人たちに対する配慮を考えることができれば、自分の人間関係の安定化もできる。

今回の教訓

朝の思考時間も自己投資だ。


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著者紹介 樋口健夫(ひぐち・たけお)

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 1946年京都生まれ。大阪外大英語卒、三井物産入社。ナイジェリア(ヨルバ族名誉酋長に就任)、サウジアラビア、ベトナム駐在を経て、ネパール王国・カトマンドゥ事務所長を務め、2004年8月に三井物産を定年退職。在職中にアイデアマラソン発想法を考案。現在ノート数338冊、発想数26万3000個。現在、アイデアマラソン研究所長、大阪工業大学、筑波大学、電気通信大学、三重大学にて非常勤講師を務める。企業人材研修、全国小学校にネット利用のアイデアマラソンを提案中。著書に「金のアイデアを生む方法」(成美堂文庫)、「できる人のノート術」(PHP文庫)、「マラソンシステム」(日経BP社)、「稼ぐ人になるアイデアマラソン仕事術」(日科技連出版社)など。アイデアマラソンは、英語、タイ語、中国語、ヒンディ語、韓国語にて出版。「感動する科学体験100〜世界の不思議を楽しもう〜」(技術評論社)も監修した。「アイデアマラソン・スターター・キットfor airpen」といったグッズにも結実している。アイデアマラソンの公式サイトはこちら


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