やりくりキリキリ3分割――早朝40分を“濃縮時間”にするコツ樋口健夫の「笑うアイデア、動かす発想」

毎日40分でいいから早朝に自分の時間を創り出せれば、その日を制し、引いては人生を制することできる。この40分をいかに“濃縮時間”にするかが重要だ。

» 2008年01月24日 23時00分 公開
[樋口健夫,ITmedia]

 「早朝に1時間」とまでは言わない。毎日40分でいいから早朝に自分の時間を創り出せれば、その日を制し、引いては人生を制することが可能になってくる。

 過去2回にわたり、「いかに寝るか」「いかに起きるか」を説明したのは、もちろん時間通りに寝て、時間通りに起きることが目的であった。

 著者はすでに退職しているが、朝は6時半に起床する。少しでも寝ていたいのはよく分かるし、心から同情するが、もし多少でも早めに起きることができれば、早朝の40分を人生のための“濃縮時間”に指定して、できることを片っ端からやってしまおうではないか。

 なお、この濃縮時間の対象は、25歳前後から30代前半の独身者あるいは共働き夫婦を想定している。

“高速処理”の第1クール:00分〜05分(体内エンジン始動準備段階)

 前回のオメザで起きた後、テレビをつけてニュースを探す。布団を片づけるかベッドを整えるかして、顔を急速に洗い、歯を磨く。トイレにも素早く行っておく。トイレに長居は無用だが、その分時間を短くして回数を増やすことはアリだろう。

 この間、五感を研ぎ澄ます。テレビの音に耳を傾けつつ、新聞の一面を斜め読み。肝心のところを聞いたり読んだりしたら、リモコンで急ぎテレビを切る。ここでテレビに捕まったらもうおしまい。重要なポイントの1つだ。

 ただし重大ニュースが発生したなら、例外的に2分追加してもよし。ラジオに切り替えてもいいが、あまり聞き入らないように。知らない間に朝の時間が過ぎてしまう。携帯電話などが対応していれば、ワンセグでテレビを見るものいいだろう。濃縮時間後の通勤時に録画した番組を見るのもうまい時間の使い方になる。

第2クールは“落ち着いて”:05分〜10分(体内エンジン始動)

 ここで大切なことは、まず手帳やスケジューラーで今日の予定をちらっと見ること。「あ、今日はこんな予定があった」と気付くことだろう。この気付きによって、高速処理で熱くなった頭脳に冷静さを取り戻すのだ。

 少し落ち着いたらPCの電源を入れ、コーヒーあるいはお茶に口をつける。トースターのタイマーをセットして、トマト、リンゴ、バナナをかじって適度な刺激を与える。筆者の場合は、青汁を飲んでキュウリを丸かじり。納豆も食べる。

 おもむろに新聞の残りの記事も読む。面白そうな記事があってもこのタイミングではまだ読まない。さて、いかに遅いPCでもいい加減起動しているころだろう。コーヒーをこぼさないような場所に置き、ジャンクメールを消す。メールの回答は、できるだけ通勤時間に回す。

“集中処理”の第3クール:10分〜40分(知的30分)

 今までの10分間は、いわば体の準備を整えるための時間だった。この準備はすべて、第3クールの知的30分を早朝に創り出すためであある。この知的30分には、テレビもラジオもメールも一切見ない。

 もちろん30分もあれば体操やフィットネスも可能だが、ここでは脳の回転を上げて、知的活動に注力したい。このタイミングで頭を活動させれば、通勤時間や朝イチの仕事、さらにその日1日の知的生産性向上に大いに影響を及ぼすであろう。

 では、どんな知的活動を行えばよいだろうか。

 オススメは、短く思いついたことをノートに書くことである。まず、自分のための予定や発想を書くために、ノートかPCの文章記入画面を開く。内容は何でも構わない。早朝思考のために1冊のノートを手に入れよう。そのノートに、前日の日付を書き、極めて簡単な日記を書く。前日の話題でもいい。どこへ行って何をした。誰と会った、自分にとって大切だと思ったことを記入する。

 それだけでもいいが、これを継続させるために工夫も必要だ。インセンティブを高めるために筆者は“ポイント制度”を導入している。

 筆者はこうして過去20年間にわたって書いてきた。ちょうど7年目にポイント制度を導入し、1)発想を書いた、2)本を読んだ、3)友と会った、4)面白い映画を観た――などなど、多数のポイント項目を決めているのである。13年間でたまったポイントは4万6000ポイント。これがたまると、ヨメサンがごちゃごちゃ言っても、自分へのご褒美を買ったり、旅行に行ったりするのが樋口家の“しきたり”だ。

 さらに製品の工夫でも、コンセプトでも、その週の計画でも、なんでも構わない。とにかく何かを考えてノートに日付と分類の項目を決めて書きとめる。項目はできるだけ短く、できれば絵を描き加える。最低1つだが、いくつ書いても構わない。考えられるだけ書きとめる。雑誌や新聞の折り込み、書き留めてきた手帳からのメモなどをチェックして、発想を考えて書き込む。これはまさに筆者が23年間実行してきたアイデアマラソンそのものだったりする。

 もしあなたがブロガーであれば、この時間帯にブログの下書きを書くのもオススメだ。いいネタがあっても、数十分では完成しないかもしれない。途中までのものでも、下書きから見直しまで時間をとれば内容はすごくよくなる。下書きをもとに帰宅後に編集すればいいのだ。

出発前の第4クール:40分〜45分(出発前最終準備)

 すでに濃縮時間は終わった――となれば、速やかに自宅を出発する最終のステップに入る。財布、定期、携帯、読みかけ本、支払いのための振り込み票などを確認。家を出る直前にガス、電気、PCの電源などのすべてを安全確認してその後、施錠し、指さし発声確認をして、左手にICレコーダーを握りながら外に出るのだ。

“濃縮時間”を過ごすスケジュール
第1クール 00分〜05分 高速処理 とにかく素早く行動。エンジンに着火しろ
第2クール 05分〜10分 中速処理 スケジュールを確認して冷静に。メールもさらっと確認する(返信は通勤中に)
第3クール 10分〜40分 集中処理 知的活動のための30分。思いついたことなどをノートに取る。ブロガーだったら、ネタの下準備にあてるのもいいだろう
第4クール 40分〜45分 排熱処理 濃縮時間は終わった。速やかに出発する。忘れ物、戸締りに気を付けて、行ってらっしゃい!

今回の教訓

濃縮時間過ぎて、戸締り忘れるなよ――。


著者紹介 樋口健夫(ひぐち・たけお)

好評販売中の「ポケット・アイデアマラソン手帳'08」。1年間に1000個のアイデアを書きとめよう

 1946 年京都生まれ。大阪外大英語卒、三井物産入社。ナイジェリア(ヨルバ族名誉酋長に就任)、サウジアラビア、ベトナム駐在を経て、ネパール王国・カトマンドゥ事務所長を務め、2004年8月に三井物産を定年退職。在職中にアイデアマラソン発想法を考案。現在ノート数338冊、発想数26万3000個。現在、アイデアマラソン研究所長、大阪工業大学、筑波大学、電気通信大学、三重大学にて非常勤講師を務める。企業人材研修、全国小学校にネット利用のアイデアマラソンを提案中。著書に「金のアイデアを生む方法」(成美堂文庫)、「できる人のノート術」(PHP文庫)、「マラソンシステム」(日経BP社)、「稼ぐ人になるアイデアマラソン仕事術」(日科技連出版社)など。アイデアマラソンは、英語、タイ語、中国語、ヒンディ語、韓国語にて出版。「感動する科学体験100〜世界の不思議を楽しもう〜」(技術評論社)も監修した。「アイデアマラソン・スターター・キットfor airpen」といったグッズにも結実している。アイデアマラソンの公式サイトはこちら


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