ビジネスパーソンの快適早起きの知恵――自分の最適睡眠時間を知る樋口健夫の「笑うアイデア、動かす発想」

朝は起きづらい。そんなことは誰でも分かっている。「早く寝ること」なんて答えたら「早く寝られないから、困っているのだぞ」とひんしゅくを買いそうだ。自分自身の最適な睡眠時間を知ることから始めてはいかがだろうか。

» 2008年01月11日 00時00分 公開
[樋口健夫,ITmedia]

 朝は起きづらい。そんなことは誰でも分かっている。

 「朝起きられないのですが」という質問に、「早く寝なさい」なんて回答を書いたら「早く寝られないから、困っているのだぞ」とひんしゅくを買ってしまうのではないだろうか。

 早起きの問題は、深夜まで仕事するすべてのビジネスマンには切実な問題だ。とはいえ、「寝不足で起きられない」という人に聞きたい。果たして自分自身がどれだけ眠ったら寝不足なのか、または寝過ぎなのかをちゃんと認識しているのだろうか。

 筆者が早朝きちんと起きるようになったのは、自分自身の睡眠パターンを長年にわたって分析してから。もちろん睡眠パターンといっても、「○○睡眠」のような学術的研究ではなく、自分が眠りやすく起きやすい実際の睡眠時間なのだが、この時間を知ることが筆者にとっては重要だった。

 睡眠時間の計測は、なるべく自宅でやった方がよい。旅行先では気分が変わって眠りにも影響を与える。道程で疲れたり、温泉で心地よくなったり、普通ではない条件になってしまうものだ。それから、曜日は金曜日か土曜日がいい。次の日の仕事を意識しないようにするためである。もちろん目覚まし時計もかけない。土曜日から月曜日にかけての3連休であれば、金、土、日と3連続で計測できるので理想的である。

 以下に筆者が実験した計測方法をお伝えしよう。睡眠はあくまでも人それぞれだが、参考にできるところがあれば幸いだ。

睡眠時間を計測する準備
1 睡眠環境の設定 室内は遮光カーテンで暗くし、寒くなく、暑くない温度にする。寝る2〜3時間前には、お酒、コーヒー、紅茶、日本茶などの水分は摂らないようにする。寝る1時間前までに風呂も済ましておこう。そして頭を冷やす。夏はもちろん、冬場まで筆者はアイスノンのガチガチに2枚タオルで巻いて枕の上に置いて寝る。
2 睡眠開始時間の設定 午後10時、10時30分、11時、11時半、12時の5種類を想定して、その10分前に布団に入る。
3 寝具 もちろん寝具の良し悪しもあるだろうが、それも千差万別。筆者は普段使っている寝具を使った。

 布団に入ってからの尿意は安らかな睡眠をさまたげる。寝る前の2時間は水分を摂らないようにする。コーヒーや濃いお茶も寝る3時間以降は飲まないように心掛ける。ちなみにこの3時間を、筆者は「カフェイン効果限界時間」と呼んでいる。風呂も1時間前には済ませて、すっきりとしておく。

 枕元には、煎茶を入れたカップを置いておく。当然冷めるが気にしない。朝起きた時、乾いたのどを潤すのだ。さらに保冷枕「アイスノン」を冷やしてタオルに巻いて、頭の下に置いておく。アイスノンがない場合は、スーパーなどでもらった冷却剤を凍らせて、ジップロックに入れたものをタオルで巻くといい。筆者は頭を冷やして寝るとよく眠れる。寝つきの悪い人も試してみるといいだろう。

 寝間着は、きつすぎず、緩すぎないものを選んだ。足も冷やさないなど、細かいことでも注意した。

 寝床に入った後からいろいろ思いつくこともあるので、ICレコーダーやポケット・アイデアマラソン手帳などを置いている。現役時代や長い海外駐在時代から、電話は24時間対応としてきたので、コードレス電話も枕元に置いている。

 さて、いよいよ布団に入るわけだが、すぐには眠れない。そこで、枕元に置いた照明スタンドを付けて軽く読書する。面白すぎない単行本を選び、仰向けになって本を読む。文庫や新書は、持ちやすいので長く読んでしまうので要注意だ。片手で持つには、ちと重い単行本を読む。選んだ本が面白すぎたら、面白すぎない本に切り替えるぐらいの機転を利かせてもいい。

 それでも、つい面白すぎる本を選んでしまうことがある。面白すぎたら、寝られなくなるのは当たり前だ。哲学書や「今から始めよう微分方程式」的な数学の入門書などが理想的か。面白いのは、寝る前に脳の話を読んでいると、脳が寝たくなることだった。

樋口選「眠る前のお薦め書籍」
最悪の事故が起こるまで人は何をしていたのか ジェームズ・R・チャイルズ
眼の誕生――カンブリア紀大進化の謎を解く アンドリュー・パーカー
脳ってすごい!―絵で見る脳の科学 R・オーンスタインほか
Mind Hacks―実験で知る脳と心のシステム トム・スタッフォード

 仰向けで本を読むのは、本を腕で支えながら読書すると、そのうち疲れてきて眠気を誘うからだ。その後、ほんのかすかでも眠気の徴候を感じたら、すぐに本を横に置いて眠る。本の端で目を突かないように気をつけること(筆者はこれでケガをしたこともある)。そして両手を胸の上で軽く組み、天井を向いて大きく6回深呼吸をし、眠りに落ちるのを待つ。

 なかなか眠れないときは明日の予定を考えることにしているが、きっちりした予定や早朝の予定を考えるとますます眠れなくなるから要注意だ。翌朝5時半に起きてゴルフに行くというような予定は考えないようにしよう。

 仮に11時に寝たとして、翌朝5時45分に目を覚ましたら、そのまま布団から出る。ここが一番大切。ここまでの時間を計測することで連続睡眠可能時間を測定できるわけだ。筆者は少なくとも5回以上繰り返すことをお勧めする。すると、6時間半だったり、7時間半だったり、と「目を覚ますパターン」が分かってくる。

 計画的に睡眠を開始してみれば、自分の目覚まし時間が、ほぼ一定だと分かるのではないか。であれば、それ以上の睡眠は寝過ぎだし、それ以下であれば寝不足になる。これを把握することが睡眠の基本情報である。

 次回は、気持ちよく起きるための“樋口流アイテム”をご紹介しよう。来週まで、ひとまずおやすみなさい。

今回の教訓

敵を知り、己を知れば百戦あやうからず――。


著者紹介 樋口健夫(ひぐち・たけお)

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 1946年京都生まれ。大阪外大英語卒、三井物産入社。ナイジェリア(ヨルバ族名誉酋長に就任)、サウジアラビア、ベトナム駐在を経て、ネパール王国・カトマンドゥ事務所長を務め、2004年8月に三井物産を定年退職。在職中にアイデアマラソン発想法を考案。現在ノート数338冊、発想数26万3000個。現在、アイデアマラソン研究所長、大阪工業大学、筑波大学、電気通信大学、三重大学にて非常勤講師を務める。企業人材研修、全国小学校にネット利用のアイデアマラソンを提案中。著書に「金のアイデアを生む方法」(成美堂文庫)、「できる人のノート術」(PHP文庫)、「マラソンシステム」(日経BP社)、「稼ぐ人になるアイデアマラソン仕事術」(日科技連出版社)など。アイデアマラソンは、英語、タイ語、中国語、ヒンディ語、韓国語にて出版。「感動する科学体験100〜世界の不思議を楽しもう〜」(技術評論社)も監修した。「アイデアマラソン・スターター・キットfor airpen」といったグッズにも結実している。アイデアマラソンの公式サイトはこちら


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