迷宮丸の内は今日もほほえむ〜子羊記者の“メエ”信初め〜Biz.ID Weekly Top10

今年もタメになる記事を書こうと意気込む新春の編集部。手始めに「先週のトップ10」に見る仕事術を総括するつもりが、仕事にたどりつく以前になぜか仕事場にたどりつけなかったてんまつ記に……。

» 2008年01月08日 23時37分 公開
[豊島美幸,ITmedia]

 いやもう、本当にあきれてしまった。自分自身に。なぜなら今朝、毎日勤めるはずの丸の内にある当社ビルにたどりつけず、図らずも迷子になってしまったからだ。

 「まさか」「あるわけない」──。

 ここでそう思われたあなた。あなたが心底うらやましい。うらやましさを越し、しっとごころすら芽生えてしまう。なぜなら筆者はひどい方向音痴だからだ。

 年初め。この言葉がもたらす、新鮮な高揚感をお分かりいただけるだろうか。誰もがそうであるように筆者もまた、新年特有のまっさらな気持ちで地下鉄の勤務先最寄り駅に降りたった。そして降りる出口を気分で変えてみた。ところがこれが間違いの元……。地上を出ると丸の内の見知らぬ風景が眼下に広がっているではないか。丸の内に慣れていない身にとっては、まさに迷路の都市。整然と並ぶビル群が、逆にどれも同じに見えてしまう。いったいどこに目指すビルがあるのやら──。筆者は途方に暮れる。だがそんな焦燥をあざわらうかのように、真っ青な空はどこまでも青く、日差しは陽気に降り注ぐ。

 さて、ここであなたならどうするだろうか?

 仕事の効率を優先させるなら、まだやり直せるこの時点で地下に戻り、“正しい”出口に戻るのが無難で賢明と即断するかもしれない。そもそもそう判断するくらいなら、はなから下手な冒険などしないだろうが……。しかし仕事術はおろか、人生術の修行が足りない筆者は、ここでさらなる賭けに出てしまう。

 道はつながっている。ならば必ず目的のビルに着くはず。第一せっかく新ルートを開拓できるチャンス。ここで引き下がってはもったいないじゃないか。

 今までこの手の冒険で数々の失敗を重ねているにもかかわらず無謀にもそう判断し、丸の内のビルの間の道を一歩、また一歩と踏みだした。愚かな冒険者がグルグルグルグル……。旋回すること20分。長かった。あの光景を述懐している今でも、あれだけ回っておいて、よくぞ童話に出てくる虎たちのようにバターにならずに済んだものだと、不思議な感慨にとらわれてしまうほど。

 持ち前の冒険心。これを発揮するのに適したシチュエーションももちろんある。だが今回は、適さないところに使ってしまったがゆえの大失態。当然の結果なのだ。

 この苦い経験から記者の身体に刻み込まれた、今年最初の“メエ”信。それは自分の特性と、それを発揮するのに適したシチュエーションをじゅうぶん見極めたうえで、なにごとも推し進めなければならないということ。適材適所だ。ともかくも基本のきの字に気づかされた、迷える子羊記者、新年1日目の穏やかで厳しい冬の朝であった。

 いずれにせよ皆様がクライアント先などを初訪問する際は、くれぐれも的確な判断のもとに行動されることを願ってやまない。

 と、ここまで読んでしまったあなた。心よりお礼申し上げる。

 当サイトは、あなたがいかに快適に効率よく仕事を推し進められるかの道しるべ。今週のトップ10をさっと読むだけで、この1年の“仕事術”の動向が分かるかもしれない。もし初めて当サイトに訪れたのなら、手始めにこのトップ10をゆるく読むと、新しいなにかを発見できるだろう。

 そんな諸先輩の記者に混じり、本年より仲間入りさせていただくことになったのが筆者である。その素顔はひとさまをナビゲートできるどころか、上記のごとく導いてもらわねば己の勤め先にすら着けない、おぼつかない人間。

 このような筆者ではあるが、今日の陽光のように暖かくも厳しく見守っていただけるよう、末永くよろしくお願い申し上げたい。

追記:地上からはたどりつけず、結局地下に戻って“正しい”出口から無事出社できたのでご安心を。大遅刻したのは言うまでもないが……。

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