2つ目は書き出す方法です。紙に大きく、感情の「感」、思考の「思」、行動の「行」、結末の「結」と書いて、それぞれの部分に出来事を、順序を問わず書き出していきます。そのうちにスッキリしてきます。
実際に私がカウンセリングをするときは、椅子を3つか4つ用意して、移動しながらしゃべる方法をとります。正直、これが一番効果があります。
という感じです。
ほとんどの場合は、ステップ2をやって、自分を落ち込ませていた出来事や感情に気づいただけで楽になります。しかし、2〜3割は、「これをやらなきゃスッキリしない」という行動が出てきます。
例えば、私が20代のころの例を紹介しましょう。
どうも昨日から気持ちが滅入る。具体的に、いつから滅入っているのだろうと考えてみよう。今朝、起きたときにはもう滅入っていた。昨日の朝はなんともなかった。昨日の午後も滅入っていなかった。
いつからかな、昨日、寝るあたりからだ。何があったかな。そういえば昨日、友だちと久しぶりに電話で話した。電話を始めたときはどうだったか。いや、滅入ってなかった。途中から、電話を切るあたりから気持ちが滅入ってきた。切る前、どんな話をしていたかな。
4W1Hで自分自身に聞いていきます。昨日の夜、1時間、友達と電話で楽しく話していたんだけど、切る前に、「バカじゃん、お前。お前にできっこないよ。はっはっはっ」みたいに笑われた。そのあたりから気が滅入りだした。
そして、「感情」「思考」「行動」「結末」を問いかけていきます。
ここで、「なんだ、あんな風に言われたから気が滅入っていたんだ」と分かって楽になる場合と、「やっぱり、友だちとはいえ、あんなふうに言われると、冗談だとは分かっていても嫌な感じする」となる場合とがあります。このように楽にならない場合はどうするか。この私の例では、「今日もう一度電話をして、責めるのではなくて、自分の気持ちを伝えておこう」ということになりました。そこで、相手を責めずに、冷静に話をしました。
「昨日、電話でいろいろ楽しかったね。ちょっと1つだけ気になることがあったんで、言っていいかな」
「何?」
「いや。絶対、悪気がないってわかっているんだけど、『バカだな◯、お前にできっこないよ』って言われたときさ、ちょっとショックでさ。お前にはもうちょっとサポートしてほしかったんだ。でも、そんな言われ方したのが、ちょっとね、気になっちゃったから、一応、伝えたいと思って電話したんだ」
と冷静に伝えます。そうすると向こうも「ごめん、ごめん。悪気はなかったんだよ、ホント。オレはお前が絶対できると思ったから、冗談で反対に言っちゃったんだよ」
こう言ってくれると、「ああ、やっぱりそうだよね。ありがとう」ということで、スッと楽になります。
ほとんどの場合は気が付いて終わりますが、2〜3割は、それに対してアクションを起こします。そのアクションが、「テメー! あんな言い方しやがって!」というのではダメですね。そんなことをすると、向こうも「オレだって、悪気はなかったんだよっ!(怒)」みたいになっちゃうので、その言い方はコミュニケーションスキルを活用して、冷静で相手を傷つけないアサーティブな言い方にすることが必要です(「あなたメッセージ」よりも「わたしメッセージ」の記事参照)。
人間は思考、感情、行動ですごく気持ちが振り回されるので、これを明確化していくだけで簡単なセルフカウンセリングができます。この方法で、たいていの小さな不安感は解消されます。もちろん、病気のうつ病には対応できませんが、一般的な軽い不安感だったら、これを1人でやっても楽になれます。実際、私も自分でやっています。
次回は、“不安”と“恐怖”の違いについて。そしてステップ1、2に続く、ステップ3について紹介します。
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