“究極の会議”をやってみた(2/2 ページ)

» 2007年10月24日 16時18分 公開
[鈴木健,ITmedia]
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会議についての1問1答

 ビジネスパーソンの皆さんは、会議に対する不満を何かしら持っているといっても過言ではありません。日頃の問題点の解決を、究極の会議法ではどう考えるのか、参加者の皆さんとディスカッションしてみました。

【質問】ゴールを明確化するというのを言葉でいうのは簡単だが、ノウハウは?

 ゴールを決めるといっても、どういうゴールを設定するのがよいのか悩ましいところです。そもそもゴールとは何でしょうか? ゴールとは「そこまで達成したら会議を終了してもよいというところ」です。そのため、より具体的なゴールにしましょう。たとえば、「〜について議論する」のはゴールではありません。「〜の課題を10個リストアップする」のがゴールです。

 また、時間内に終わるゴールにしましょう。もし議論が終わらないのであれば、ゴールをより細かいものにブレイクダウンしてもよいでしょう。ゴールのレベルが高すぎると、必要以上に会議時間が長くなり、議論が迷走してしまいます。


【質問】トピックの間で行き来があったが、そのコントロールの仕方は?

 究極の会議のプラクティスに「一度に1つのトピック」という手法があります。しかし実際の体験会議中では、トピックの間で行き来がありました。これは、「このトピックをそのまま話していてもなかなか決まらない感じだな」というときに、ほかのトピックを話すことによって状況を打開しようというものです。

 会議の最初に設定した「トピックの優先順位」が間違っていると、こうしたことが起きてしまいます。最初に決めたトピック順序に縛られずに、議論が打開できないときは他のトピックを先に議論するといいでしょう。

【質問】これだけ効率がよく仕事が進むと、会議前にToDoの報告も終わり、結論も既に出てしまい、逆に会議が必要なくなるのではないか?

 究極の会議の最終目標は、会議時間をゼロにすることなので、会議がなくなるとしたらそれはそれでいいことです。次回の会議までにToDoが終わっていて、結論も全部出ているのが真の究極の会議なのです。ただし、実際には、仕事をしていくと問題がどんどん出ていくので、ゼロになることはほとんどありません。

【質問】ToDoがペンディングの状態のまま何度も会議が繰り返されて、行き詰まってしまうことがあるが、この打開策は?

 どのToDoを、誰が担当でいつまでにやらなくてはいけないかを常に考えている人(プロジェクトマネージャー)が1人いることが重要です。プロジェクトマネージャーは会議前にToDoのアドバイスや整理をしてしまいましょう。

 ToDoが滞っているのは、そのToDoが担当者にとって重過ぎるとか、具体的にどこから手をつけていいか分からない場合が多いです。担当者を変えるか、ToDoをより細かいToDoにブレイクダウンするとよいでしょう。

【質問】ToDo確認で会議時間が終わってしまうことが多い

 いわゆる報告会議というスタイルだと、会議がToDo確認だけになってしまいます。ToDo確認は担当者と確認者の1対1で、会議前に終わらせておくようにします。全員が一緒に議論しないといけないToDoは少ないはずですが、そうしたToDoについて長々と会議中に議論すると、ほかの参加者の会議参加意欲が落ちてしまいます。1対1では解決できず、煮詰まったときに、会議で参加者全員を巻き込んで話すのはよいことです。

 また、会議冒頭のToDo確認で、長い議論が始まってしまうことも多いですが、会議時間が計算できなくなりますので、「後でトピックとして話しましょう」としてToDo確認の時間は最小限にしましょう。

 参加者からは、ToDo確認は「できなかったという事実だけ確認して、理由を追及しない」「言いやすい雰囲気をつくって、淡々と確認していく」というような解決策が出ました。

【質問】議事録エディタのような専用のツールを使わないとどうなるのか

 筆者が実際にホワイトボードやエディタでやっていたときには、決まったToDoを管理ツールに入力する時間がないという問題が発生しました。専用ツールを使うと、事前事後の準備が相当楽になります。

 しかし、議事録ドリブンは、WordやExcelでも可能です。その具体的なやり方は書籍『究極の会議』に書いてあるので読んでみてください。

【質問】プロジェクタを用意できない場合どうすればいいの?

 6人までであれば、液晶ディスプレイで議事録ドリブン会議ができます。3人ならノートPCを持った書記を間に挟んで、3人横並びですることも可能です。残念ながら、8人以上になると液晶ディスプレイでは難しいので、プロジェクタか薄型テレビを購入してもらいましょう。最近は価格も安くなり、6万円くらいの価格帯から売っているので、なんとか予算を工面してもらってみてはいかがでしょうか。

【質問】プロジェクタを買ったり、専用ツールを買ったりする場合、どう説得すればいいか?

 会議にかかるコストは大変なものです。オフィスワーカーの会議時間は仕事時間の20%から25%といわれています。10人のチームでは、月に200万円近くを会議のために使っていることになります。このコストを20%削減できれば、それだけで40万円のお金が浮きます。これでプロジェクタが買えますね。

 実際には議事録ドリブンで会議をすると会議時間が半分くらいになります。筆者は、これによって100万円程度の経費が削減できると見積もっています。

【質問】トピックの立て方のときに、何分までという切り方はあるのか?

 これはとてもよい質問でした。1つのトピックは最大で10分くらいまでにしたほうがいいと思います。30分もかかるトピックは、トピックの単位が荒すぎるので、3つ以上のトピックに分割したほうがいいでしょう。そうでないと、議論が錯綜してしまいます。

 1トピック最大10分を目安にしましょう。

【質問】会議に参加するモチベーションが低い人がいるが、どうしたらいいか?

 会議に対するモチベーションよりも、仕事に対するモチベーション全体を上げることが重要です。会議以外で、まずモチベーションを上げることが大事ではないでしょうか。会議では最低限モチベーションを下げないようにすることはできます。

 参加者からは、「その人が中心になって発言できる場所」必ず会議中に作るといいという意見がありました。これは納得ですね。

 また「どこまでやったか数値で示すとモチベーションが上がるのではないか。会議で議事録がアウトプットになるだけだと、繰り返しな感じがするので、数値で示してあげたい」という意見もありました。これは、“やっつけた”ToDoの数だけいいことがあるようにするなど、仕事の中にゲーム感覚を入れていくという方法があります。


 さて、究極の会議にご興味をもった方は書籍『究極の会議』も参考にしてください。

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