“旧ソ連の発明法則”でアイデア出し──「智慧カード」仕事耕具

「TRIZ」とは、旧ソ連海軍の特許審議官が40万件の特許情報を分析し、発明法則をまとめた技術開発理論。この理論をカードにしたアイデア支援ツールが「智慧カード」である。

» 2007年09月13日 23時01分 公開
[鷹木創,ITmedia]

 宮城県仙台市のベンチャー企業であるデュナミスは、技術開発理論「TRIZ(トゥリーズ)」をベースに開発したカードツール「智慧(ちえ)カード」を9月14日に発売する。価格は6500円。同社が販売するブレインストーミング支援ツール「ブレスター」(3月20日の記事参照)とのセット販売(8900円)も行う。

 「TRIZ」とは、旧ソ連海軍のG.アルトシューラー特許審議官が40万件の特許情報を分析し、発明の法則をまとめた技術開発理論。ロシア語の「Teoriya(Theory:理論)」「Resheniya(Solving:解決)」「Izobretatelskikh(Inventive:発明的)」「Zadatch(Problem:問題)」の頭文字から命名された。1940年代から考案されていたが旧ソ連が西側諸国への流出を恐れたとも言われ、そのためか1980年代以降に米国やヨーロッパなどで研究が始まった。国内では学校法人の産業能率大学総合研究所などでも研究している。

 TRIZでは、発明上の全問題は「技術的矛盾」を含んでいることに着目。この矛盾とは、ある技術システムのパラメータAを改善しようとすると、別のパラメーターBが悪化するといったケースを指し、AもBも一度に改善するのは現実的には難しい。そこでTRIZでは、両パラメータを同時に解決するために、縦横39項目ずつの表で表わした「技術的矛盾マトリックス」ツールと、矛盾を取り除くための「技術的ブレークスルーの40パターン」を考案。マトリックスの縦と横が交差する部分に該当するパターンを記載し、項目ごとに矛盾を解決する方法を一覧できるようになっている。

 例えば、物体は軽くすれば強度は弱まり、強度を強めれば重くなることが多い。この「物体の重さ」と「強度」の項目もマトリックスの縦と横に入っており、その交差する部分には「非機械的なシステムで機械的なシステムを交換する」「高価で耐久性のある物の代わりに、経済的で寿命の短い物を使う」「機械的振動」「複合的な物質」といった4つの技術的ブレークスルーが書かれている。このブレークスルーをヒントにすると、いいアイデアが産まれる──というわけだ。

 デュナミスが発売する智慧カードでは、TRIZ理論の一部である「技術的ブレークスルーの40パターン」を意訳。シンプルな文章とイラストをレイアウトした40枚のカードセットとなっている。開発にはブレスト支援ツール「ブレスター」開発チームも協力したという。


ブレスターとも組み合わせて利用できる

 同社では「若い技術者が、現場で手軽に解決策のアイデア出しができるような活用フローを開発した。ブレスターと組み合わせれば、技術版ブレインストーミングのカードゲームとしても活用できる」としている。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ