デスクサイドに置けるビジネスプリンタの着目点あなたのグループでも導入できる──賢く選ぶビジネスプリンタ

SOHOオフィスへ、あなたの部、課へ、ビジネスプリンタを導入してみませんか? 家庭向けプリンタとは、必要な機能もニーズも異なるビジネスプリンタ導入のポイントを探ります。

» 2007年09月02日 23時00分 公開
[ITmedia]

 オフィスに必須の機器──といえば、忘れてはならないのがプリンタだ。ただし年賀状や写真の印刷など家庭用のプリンタとは、求められるスペックは違ってくる。

 コストという観点はもちろんだが、導入後、不満をなくし、仕事の効率、クオリティを向上させるためには、ビジネスプリンタはどう選ぶべきなのか。予算30万円までの製品を、10人程度のSOHO、グループで導入することを前提に、何をポイントにすべきかを明らかにしていこう。

最初の調査が肝心

 「まず、プリンタを導入しようとしている部署に何人いるか? をチェックし、さらにその人たちに印刷を行う頻度、枚数、用紙サイズのアンケートを取ります。そうすることで、導入すべきプリンタの印刷速度や対応用紙サイズなどをある程度絞り込むことができます」

 プリンタに詳しい編集ライターの小川夏樹さんはこのように話す。まずは利用者に調査を行い、ニーズを把握するのが先決だ。

 例えばA4サイズのビジネス文書を頻繁に印刷する人が多いのならば、A4対応のモノクロレーザーがターゲット。「予算の範囲内でなるべく高速な製品を選択するとよい」(小川さん)

 また、ビジネスフローなど大きなサイズの用紙を印刷するような人の多い部署であれば、A3対応のモノクロレーザーを選択するといった具合だ。

A4対応/A3対応、そしてカラーかモノクロか

 調査結果を踏まえて、まず決断しなくてはいけないのが印刷可能な用紙サイズだ。ビジネスプリンタはA4用紙まで印刷可能な製品と、A3用紙まで印刷できるものに大別されるが、この違いが大きく価格に表れてくるからだ。

 カラーかモノクロかも同様に、製品価格帯が大きく変わってくる。選択のポイントは頻度だ。「カラーが必要かどうかという分岐点は、Webページやプレゼンテーション、写真印刷、などのカラー出力を行う頻度をチェックします。頻度が少ないのであれば無理してカラーレーザーを導入するよりもモノクロ機のオプション類(増設トレーやLANなど)を増設したほうが効果的である場合も多いのです」(小川さん)

 カラー出力の頻度が低いのであれば、インクジェットを別途用意したほうが利便性が向上する場合もある。アンケートから、一気に大量のカラー文書を印刷するかどうかを確認したい。この用紙サイズとカラー/モノクロが決まれば、選択肢はかなり絞られる。

最も重視したい印刷スピード

 ビジネスプリンタを選ぶ上で、最も重視したいのが印刷スピード。個人向けのインクジェットプリンタとの大きな違いが出る部分である。部や課などグループごとに専用のプリンタを導入するのも、すぐに印刷した紙を手に取りたいのが理由であることが多いからだ。

 「印刷速度は安い製品でも重要です。この点はあまり妥協したくないですね。A4モノクロの場合で毎分20枚以上の速度であれば、不満が出ることはないと思います」

 下図に各社の主要ビジネスプリンタを、モノクロの印刷スピードと、用紙サイズ、カラー/モノクロの違いでマッピングしてみた。

 これを見るとA4モノクロ機はだいたい10万円までの価格帯に、A4カラー機は10万から20万円までに収まることが分かる。A3モノクロ機は10万から30万円近くまで広いが、印刷スピードが上がるにつれて高くなる。A3カラー機は全体的に高スペックで価格帯も15万円以上となるが、印刷スピードも基本的に速い。

 またカラー印刷対応のレーザープリンタについては、機種によってスピードが大きく異なることも押さえておきたい。「カラー機の場合はタンデム方式か4サイクル方式かでカラーの印刷速度が異なります(タンデム方式のほうが高速)」。これは、4色分のドラムを持つタンデム方式に対して、4サイクル方式は1つのドラムを4色で使い回すからだ。カラーとモノクロでスピードがほとんど変わらない機種と、大きく異なる機種の違いはここにある。

 カラープリンタの場合も、印刷方式によって多少の違いがある。「モノクロの場合は、印刷方式はあまり重要ではありませんが、ウオームアップが高速な製品をなるべく選択するようにしたいですね。また複合機の場合、コピー機ベース(間接静電転写方式)かレーザーベース(半導体レーザー+乾式電子写真方式)かをチェックするとよいでしょう。レーザーベースのほうが高速な製品が多く見られます」

実は気にしたいウオームアップスピード

 せっかく高速なプリンタを選んだのに、実際に使う際にはストレスを感じてしまう──。その原因になり得るのがウオームアップ速度だ。電源を入れてから印刷可能になるまでの一連の処理をウオームアップと呼ぶ。

 「ウオームアップ速度は、実は印刷速度以上に気になる点でしょう。PC側で印刷を行ってもウオームアップに時間がかかってしまい、トータル(ウオームアップ+実際の印刷)での印刷速度が遅くなってしまうような場合、相当のストレスを感じてしまいます」

デスク脇に設置するなら──静音性

 利便性やセキュリティを考えると、席の近くにプリンタを置きたいもの。部や課でプリンタを導入する理由もそこにある。そんな時気になるのが“音”だ。

 「ウオームアップや印刷時の音は大規模事業所などではそれほど気になりません。ただし単一部署やSOHOなどでは、なるべく静かであることも重要になってきます。オンデマンド定着方式(キヤノンなど)を採用する製品などはウオームアップの音が静かなのが特徴ですので、そうした製品を選択するのも手です」

複合機かどうか

 プリンタだけでなくスキャナやFAX機能も備えた複合機が、ビジネスの現場でも増えてきている。

 「確かに複合機は便利ですが、30万円までの複合機を考えると、100万円を超える複合機とは違ってほとんどシングルタスクでの処理になってしまいます。つまり印刷と同時にFAX送信やスキャンをすることができません。1日の中で印刷とFAXの送受信が同じような頻度であった場合など、不便であることも多く、むしろFAXはFAX、スキャナはスキャナを別途用意するほうが便利なこともあります」

 先のアンケートの結果にもよるが、できるだけスペースを取りたくない、かつFAXやスキャナの利用頻度が少ないのであれば複合機は魅力的。ただし本格的に各機能を使おうと思うのならば、100万円を超える複合機を検討するか、個別にFAXやスキャナを用意することも考えたほうがよい。

設置面積と給紙枚数の関係

 デスクサイドに置くなら、コンパクトさは重要。ただし小さければ小さいほど良いというわけではなく、トレードオフも発生する。

 「A4対応機の場合、コンパクトで軽量なほど良いのですが、コンパクトな製品は、給紙枚数が少ないこともあります。印刷する量に応じて考えましょう。大量給紙が可能かどうかは、基本的に本体サイズとトレードオフの関係にあります」

 グループで使うプリンタだけに、補充の手間やストレスも大きいのだ。標準トレイになるべく多くセットできることがまずは大事だが、増設トレイなどが用意されているか、手差しトレイやマルチトレイが用意されているかも確認したい。

非常に気になるランニングコストの考え方

 プリンタを導入した後に気にかかるのはランニングコスト。基本的には各社が出している数字を元に考えよう。

 「カラー印刷のランニングコストはCMYのトナー分余計にかかるということと、カラー対応機はモノクロレーザーよりもBk(黒)のトナーサイズが小さいことが多いということを念頭にしておかないといけません」

 モノクロ印刷ニーズが高いのにカラー機を選択すると、トナーを頻繁に取り換えなくてはいけなくなる場合もあるということだ。また、カラー機ならランニングコストが高いというわけでもなく、使った色の分だけ費用がかかる。カラーにするかモノクロにするかは、ランニングコストも含めて考えたい。


 ほかにもオプション類(LANや増設トレイ、大容量トナーなど)が豊富であることは言うまでもなく、確認しておきたいポイント。また、メンテナンスなどの保守サービス(年間契約や複数コース)などが充実していることも重要になる。

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