PCの画面を“録画”する3つの便利ツールデジタルワークスタイルの視点

動画は直接的に説明できて便利ですが、必ずしもあなた自身が写っている必要はありません。自分たちのWebサイトを紹介したり、オンラインサービスの解説をしたいだけであれば、PCの画面のみを録画すればいいわけです。そんな「スクリーンキャスト」を行うためのツールをいくつか紹介します。

» 2007年08月31日 19時27分 公開
[徳力基彦,ITmedia]

 前回は、動画を手軽に撮影するためのWebカメラを紹介しました(8月22日の記事参照)。このほかにも三洋電機の「Xacti」シリーズのようなMPEGムービーを使ったり(8月30日の記事参照)、カシオの「EXILIM」の新製品のようにデジタルカメラで撮影する方法もあります(8月28日の記事参照)。携帯電話でアップロードする方もいるかもしれません。

 ですが、何もWebカメラやデジタルビデオカメラを購入しなくても、動画を“撮影”する方法があります。よく考えてみてください。確かに動画はテキストよりも直接的に説明できて便利です。ですが、必ずしもあなた自身が写っている必要はあるのでしょうか。もし、自分たちのWebサイトを紹介したり、オンラインサービスの解説をしたいだけであれば、PCの画面のみを録画すればいいわけです。

 PCの画面を録画した動画──それが「スクリーンキャスト」です。静止画を前提としているスクリーンショットの動画版と思えば分かりやすいでしょう。スクリーンキャストであれば特別な機器がなくても、ソフトウェアだけで今すぐ試すことができます。そこで今回は、手軽にスクリーンキャストを行うためのツールをいくつか紹介したいと思います。

スクリーンキャストを手軽に作成するための便利ツール

  • 「Jing Project」でスクリーンキャストをFlashムービーに
  • 「Manycam」ならストリーミング配信も
  • 「Screencast-O-Matic」ならブラウザだけで

「Jing Project」でスクリーンキャストをFlashムービーに

 まず、お手軽なスクリーンキャストツールとしてご紹介したいのが、この7月にダウンロード公開を開始したばかりの「Jing Project」です。

 こちらは英語のみのサービスになりますが、使い方は非常に簡単なので、インストールしてすぐに使い始めることができると思います。ソフトウェアをインストールすると、黄色い半円形のメニューアイコンがPCの画面に常時表示されるようになり、あとは「Capture」を選択して、スクリーンキャストをしたいウィンドウを選択するだけ。

 Flashベースで、画質もきれいなスクリーンキャストを作成することができます。ソフトウェアをインストールしなければいけない点は面倒ですが、Windows XPやVistaで利用できるバージョンのほか、MacOS X 10.4.9以降で利用できるバージョンもあります。なお、Windows版の利用には.net Framwork 3.0が必要です。

 提供元のTechSmithは有料スクリーンキャプチャソフトも販売していますから、もっと高機能なものがほしい方はそちらを検討するのも良いでしょう。

Jing Project

「ManyCam」ならストリーミング配信も

 専用のスクリーンキャストアプリではないのですが、ちょっと面白い利用法もできてお勧めなのが「ManyCam」というソフト。Windows Vista/XP/2000のほか、Windows Server 2003に対応しています。

 ManyCamでは、ストリーミング配信中の動画にアバターを設定したり、エフェクトをかけたりできます。つまり、以前紹介したロジクールやマイクロソフトのWebカメラに付属しているソフトウェアと同じようなエフェクトをどんなWebカメラでも利用できるわけです。

 特筆すべきは、Webカメラで撮影している映像ではなく、デスクトップの映像を配信対象に選択できる機能。この機能を使うと「Ustream.tv」などのストリーミング配信サービスに自分のデスクトップを動画配信できるのです(8月15日の記事参照)。

 たいていのストリーミング配信サービスには、配信した動画をアーカイブする機能がありますから、これを使えば自分のデスクトップ動画を好きなだけストリーミング配信サービスに保管することができます。

 例えばUstream.tvとManyCamを組み合わせれば、たくさんのスクリーンキャストをUstream.tv上に保管できます。動画はファイルサイズが気になりますが、この方法であればそうした問題も回避できるわけです。

ManyCam。[Source]タブで[Desktop]を選択しよう

「Screencast-O-Matic」ならブラウザだけでスクリーンキャスト

 スクリーンキャストはしてみたいけれど、ソフトウェアのインストールはしたくないという方にお勧めなのが「Screencast-O-Matic」です。

 上記でご紹介した2つのサービスはソフトウェアのインストールが必要ですが、このScreencast-O-Maticは、Webブラウザだけで利用することができるスクリーンキャストサービス。環境によってはJavaアプレット(Java 1.5.x以上が必要)のインストールが必要になりますが、それさえインストールされていれば、ブラウザだけでスクリーンキャストを利用することができます。

 ちなみに、対応ブラウザはWindows Vista上でのInternet Explorer(IE)7.0/Firefox 2.0、Windows XP SP2上でのIE6/IE7/Firefox 2.0/Opera 9、MacOS X上でのSafari 2.0.4/Firefox 2.0です。

 録画したスクリーンキャストをそのままScreencast-O-Maticのサイトに公開し、YouTubeのように動画をブログに貼り付けることも可能ですから、とにかく手軽にスクリーンキャストを作成したいという方は試してみるといいでしょう。

Screencast-O-Matic

スクリーンキャストに便利なツール

ツール名 利用料 対応OS 備考
Jing Project 無料 Windows Vista/XP
MacOS X 10.4.9以降
Windows版では.net Framwork 3.0が必要
ManyCam 無料 Windows Vista/XP/2000、Windows Server 2003
Screencast-O-Matic 無料 Windows Vista(IE7/Firefox 2)
Windows XP SP2(IE6/IE7/Firefox 2.0/Opera 9)
MacOS X(Safari 2.0.4/Firefox 2)
Javaアプレット(Java 1.5.x以上が必要)のインストールが必要

 PCの画面といえど動画をキャプチャするとなれば、少しハードルが高く感じるかもしれません。ですが今回紹介したソフトやサービスを利用することで、比較的簡単に録画できるのではないでしょうか。

 写真やテキストの説明よりも動画の方が分かりやすいケースは少なくありません。スクリーンキャストであれば、特別な機器を買わずに手軽に動画作成を試すこともできますので、チャレンジしてみるのもいいでしょう。

筆者プロフィール 徳力基彦(とくりき・もとひこ)

 NTT、ITコンサルを経て、2002年にアリエル・ネットワークに入社。情報共有ソフトウェアの企画や、コンサルティング業務に従事。2006年からは、ブログネットワークのアジャイルメディア・ネットワーク(AMN)設立時からブロガーの1人として運営に参画する。2007年7月にAMNの取締役に就任。最新のネットツールや仕事術に関する複数の執筆・講演活動も行っている。

 個人でも「ワークスタイル・メモ」と「tokuriki.com」など、複数のブログを運営するなど幅広い活動を行う。著書に「デジタル・ワークスタイル」「アルファブロガー」などがある。


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