ネットで情報収集する時間を節約するには?【解決編】シゴトハック研究所

仕事で調べなくてはいけない情報。ネットを使えば情報収集は容易になりましたが、無駄な時間をかけてしまうことも多いもの。その対策法の1つは、“ヒューリスティックス”をうまく使うというものです。

» 2007年08月31日 10時39分 公開
[大橋悦夫,ITmedia]

今回の課題

 ネットで情報収集する時間を節約するには?

 コツ:お互いの調べ物を交換する


 業務上の必要からネットで調べ物をすることは少なくないでしょう。何についてどのようなことを知りたいのかが明確になっている場合であっても、ネットには情報が豊富にありすぎるために、関連情報を際限なく掘り下げてしまい、「気づいたら2時間も経っていた!」などといったことが起こりがちです。今回は、こういった時間の無駄づかいを未然に防ぐ方法について考えてみます。

同僚とお互いの調べ物を取り替えてみる

 その方法とは、調べ物を同僚と交換するというものです。自分のために情報を収集することになると、どうしても「可能な限り完全に調べ上げて誰にも何もいわせたくない」と変に力が入ったり、あるいは、どこまで調べても「まだつっこみどころが多いのでは?」といった不安に駆られたりしがちです。

 そこで、同僚と調べ物を交換するわけです。他人の調べ物ならば、もっと妥当なところでうまく力を抜くことができるからです。

 このことは、買い物をするときのことを考えると分かりやすいでしょう。例えば1台のPCが欲しいと思ったとき、購入可能なすべてのPCについて、詳細なスペックを徹底的に調べ上げていくのでは、時間がいくらあっても足りません。

 自分のPCとなるとどうしても「買う以上はベストなものにしなければ!」と力んでしまうために、十分な時間をかけて情報を収集しようとするのです。それでもなお、「もっといいPCが、もっと安い価格で購入できるのではないだろうか…?」といった不安を払拭しきれないのです。

 それが、他人のための買い物であれば、慎重になり万全を期そうとはするかもしれませんが、ほどほどのところでキリをつけるでしょう。お金を払うのも自分ではありませんし、購入したPCを使うのも自分ではないからです。いい意味で無責任になることができるわけです。

隣の人に聞いてみるのも1つの方法(ヒューリスティックス)

 このように、自分で過剰な努力をする代わりに、コストパフォーマンスのいい妥当な選択をするために、他人の知恵や知識を拝借する戦略を、「ヒューリスティックス」といいます。

 例えば、引っ越ししたての町で風邪を引いてしまったとき、近所の噂を頼りに、比較的評判がいいとおぼしきお医者さんを選んだりするのは「ヒューリスティック」のよくある例です。

 「近所の噂」が絶対に正しいなどとはもちろんいえません。でも、例えばネットを駆使して、町のすべてのお医者さんについて徹底的に調べ尽くすのは、風邪を治すという目的に対してはコストがかかりすぎます。絶対にうまくいくとは限らない方法でも、うまくいけば努力や時間を大幅に節約できるというのが、「ヒューリスティックス」の根本にある考え方なのです。

 そういう意味では、調べ物における究極の「ヒューリスティックス」は、実は同僚に直接尋ねることでしょう。膨大な時間を費やして、やっとの思いでインターネットから目当ての情報を探り当てたとしても、それを隣に座っている同僚が「あぁ、それなら知ってるよ」などと言われたのでは、げんなりしてしまうからです。

 従って、知らないことや分からないことを1人で抱え込むのは、決してコストパフォーマンスのいい方法とはいえないのです。

 今回の「調べ物」のように、「どうにも時間がかかってしまって困る」といったタスクを抱えているのであれば、試しに同僚に次のような質問をしてみてください。

  • あなたはこのタスクを終えるにどれぐらいの時間がかかりますか?
  • あなたはこのタスクにどのように取り組みますか?
  • あなたが苦手としているタスクはありますか?

 最初の質問は、目安としてどの程度の時間をかけていいものなのかどうかを知るための質問です。もちろん、たった1人の同僚に聞くだけでは心もとないですから、複数の人の意見に耳を傾ける方がいいのですが、いずれにしても「これは絶対に30分で終えないといけない」と自分で自分を追い込む前に知っておきたい情報といえます。

 次の質問は、もしかすると実はもっと簡単な方法があって、それを知らないばかりに苦労しているのかもしれない──という意外な発見を期待してのものです。もちろん、そういった幸運はめったにないかもしれませんが、同僚のやり方には少なからず学ぶべきことはあるものですから、聞いてみる価値はあるでしょう。

 最後の質問は、相手が苦手としているタスクが自分では得意だ、という場合に、お互いに苦手としているタスクを交換する余地を見いだすための打診になります。

 今回ご紹介したシゴトハックは、一言でいえば「まずは人に聞いてみる」という非常にシンプルなものですが、ポイントとなるのはそこで交わされる質問です。自分1人でうんうん唸っていても何も思いつかなかったのが、人に何かしら質問をしてもらい、これに答えていくことで、あれほど苦労していたのが嘘のように、思ってもみなかったようなアイデアがするすると引き出されてくるという経験をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。

 情報収集の時間を節約しようとするなら、検索エンジンより先に、身近にいる人に質問を投げかけてみるのも1つの方法です。

筆者:大橋悦夫

1974年、東京生まれ。ブログ「シゴタノ!仕事を楽しくする研究日誌」主宰。学生時代よりビジネス書を読みあさり、システム手帳の使い方やスケジュール管理の方法、情報整理のノウハウなどの仕事術を実践を通して研究。その後、ソフトウェアエンジニア、テクニカルライター、専門学校講師などを経て、現在は仕事のスピードアップ・効率アップのためのセミナーや研修を手がける。デジタリハリウッド講師。著書に『「手帳ブログ」のススメ』(翔泳社)『スピードハックス 仕事のスピードをいきなり3倍にする技術』『チームハックス 仕事のパフォーマンスを3倍に上げる技術』『そろそろ本気で継続力をモノにする!』、近著に『Life Hacks PRESS vol.2』『LIVE HACKS! 今を大切にして成果を5倍にする「時間畑の法則」』がある。


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