アイデア発想から情報の“見える化”ツールへ──MindManager7

マインドマップ作成ソフトは数あるが、PC内に溢れるシゴトのファイルをビジュアルに管理できる“情報管理ツール”として活用できるのがMindManagerの特徴だ。

» 2007年08月21日 22時23分 公開
[斎藤健二,ITmedia]
国内でMindManagerのエバンジェリスト的な役割を担うシンプル・ビジョンの渡邉安夫氏

 あふれる情報をスマートにマネジメントしたい──。毎日メールでやってくる数々のファイル、数字を管理するExcelファイル。おびただしい数の情報に埋もれるビジネスパーソンにとって、情報のマネジメントは日課の1つだ。

 自分で作成したファイルでさえ、どれが何のファイルで、どこに最新版があるのかを管理するには標準のエクスプローラでは力不足。ファイル名を工夫したり、フォルダで管理しても追いつかないのが実情だろう。

 こんな情報の散乱を、ビジュアルに管理できるツール。それが「MindManager」だ。

 8月21日にバージョン7がリリースされたMindManagerは(8月8日の記事参照)、「もともとマインドマップ作成をベースにはしている。しかし現在、情報やアイデアを関連づけて整理、統合、共有するビジネスツールへと進化してきた」。国内でMindManagerのエバンジェリスト的な役割を担うシンプル・ビジョンの渡邉安夫氏は、そう説明する。

ビジュアルな情報マネジメントツールへ

 「例えばプロジェクトマネジメント。頭では分かっていても、プロジェクトの進捗を見える形にするのは、これまで非常に難しかった」(渡邉氏)

 MindManagerでは、Officeファイルのサムネイルや各種ファイル、ネットのURLなどをマップに貼り付けて、それぞれの関連性をビジュアルに見ることができる。貼り付けたファイル──例えばExcelならば指定した部分のセルがサムネイル的に表示されるのだ。ちょうど、マインドマップの項目の1つがExcelの表になったイメージである。

MindManager上でまとめられた「セールスダッシュボード」。四半期ごとの進捗数字をまとめたExlceシートが、それぞれの関係を図示したまま、ビジュアルに配置されている。それぞれの表は画像ではなく、ファイルの中身をリアルタイムに反映したサムネイルだ
こちらはプロジェクトの進捗をまとめたもの。各項目には、優先順位や進捗状況を表すマーカーを付けたりできる。マーカーによってフィルタをかけて表示することもできるようになったため、例えば重要事項の進捗だけ表示する──といったこともできる

 これにより、単なるマインドマップ作成ソフトから各種の情報をマネジメントする道具への進化を遂げたわけだ。「1枚のマップの中で、全体を俯瞰して把握する」──。こんなことが実行できるツールになったわけである。

 ただし進化途中の点もある。例えば単なるファイルリンクではなく、ファイルの中身を動的に反映できるのはExcelとOutlookのみ。また、Lite版ではこの機能は盛り込まれておらず、Pro版が必要だ。このようにビジュアル化した俯瞰情報はチームで共有したいものだが、現在のところは各個人での利用が前提となっている。

 とはいえ、PC内にあふれる重要情報が、関連づけられ、ビジュアルに把握できるというメリットは、多くの情報を扱うビジネスパーソンが無意識のうちに求めていたものだ。「ファイル同士の関係が切れてしまっているから、求めるファイルを見つけるのに検索に頼るしかないのが現在のビジネスパーソンの現状。これらのファイル同士をうまくつなげてあげるのがMindManager」(渡邉氏)

 数多くのファイルの関係をビジュアルでまとめ俯瞰したいというビジネスパーソンは試してみる価値がありそうだ。

マインドマップ作成ソフトとしてのMindManager

 マインドマップとは、トニー・ブザン氏が発明した思考のためのツールだ(2006年11月27日の記事参照)。中央にキーワードを置き、そこから放射状にアイデアを追記していく。基本は紙の上に、手書きでビジュアルに“脳神経の構造に適した形で思考するためのツール”とうたわれており、個人の創造性や記憶力を高めるために使われてきた。

 MindManagerは、PC上でマインドマップを描くことができるツールだ。描いたマインドマップを構造化された文書としてPowerPointやWordファイルに書き出せるなど、Officeとの連携も容易。そして、キーボードから直感的に操作できる点は、他のソフトを大きく引き離す点だ。

 例えば、ある項目の子項目を書きたい場合は、[Insert]キーを押せば子項目が作成され、入力できるようになる。そのまま続けて[Insert]キーを押せば兄弟項目を追加できる。いったん[Enter]キーを押せば、その項目の子項目が入力できるようになる。こうした、実際に使い込んでいく中で使いやすいと思えるような工夫がされているところが、素直に好感が持てるところだ。


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