遠くのイベントでも“参加”できる「バーチャル参加法」デジタルワークスタイルの視点

イベントやセミナーに参加したいけど、地方に住んでいたり、時間の都合がつかなかったりなかなか参加できない。そんな方でも「リアルタイムに」「後から」「ほかの作業と平行しながら」参加できる方法を紹介しよう。

» 2007年08月08日 14時40分 公開
[徳力基彦,ITmedia]

 これまで、イベントやセミナーに参加する方法を紹介してきました(7月25日の記事参照)が、日本の場合、大抵のイベントは関東、特に東京で開催するため、首都圏以外からの参加が難しいケースも多いです。それに首都圏に住んではいるものの、仕事が忙しかったり、夜中の業務でアフターファイブのイベントには参加できないケースも少なくありません。

 もちろん、イベントに参加した人のブログ記事を後から読めば、ある程度イベントの内容を把握することはできますが、やはり文字になってしまうとイベントの雰囲気や熱気を感じるのは難しいところです。

 だからといって諦める必要はありません。そんなイベントに参加したくても参加できない人が、イベントを疑似体験する手段がいくつかあるのです。

遠くのイベントでも“参加”できる「バーチャル参加法」

  • ストリーミング配信で、リアルタイムに“参加”する
  • アーカイブ動画で、後から“参加”する
  • ポッドキャスティングで、ほかの作業と平行しながら“参加”する

ストリーミング配信でリアルタイムに“参加”する

 距離の関係で参加できないイベントに参加する方法として有効なのが、最近徐々に注目を増しているストリーミング配信サービスを活用しているイベントにオンラインで参加してみることです。

 ストリーミング配信であれば、実際のイベントが開催中にリアルタイムにそのイベントの様子を確認できます。

 例えば先日「ブログを書いている人向けお勧めイベント」でご紹介した「Websig24/7」の分科会として開催された「WOMマーケティング分科会」では、ストリーミング配信が実施されていますし、東京MXTVで実施された「Twitter Night」でもストリーミング配信を試していました。また「RTCカンファレンス」でも何度かストリーミング配信を実施したことがあります。

 イベント会場のインターネット環境にもよりますが、まだまだ実際のイベント状況をリアルタイムで配信するイベントの数は少ないのが現状です。イー・モバイルなどのモバイルブロードバンドサービスが普及すれば、会場に回線設備がなくともイベントの様子をストリーミング配信する事例が増えていくかもしれませんね。

アーカイブ動画で、後から“参加”する

 ストリーミング配信がイベントの様子をリアルタイムに閲覧できるのに対して、いつでもで見られるのが動画アーカイブを公開しているイベントです。

 アーカイブされた動画の場合、リアルタイムにイベントに参加できるわけではありません。イベントへの参加感が若干薄れてはしまいますが、その分自分の好きな時間に視聴できるというメリットがあります。

 イベントに参加したものの「話がよく分からなかった」「聞き漏らした」というありがちな失敗も、アーカイブが用意されていれば、気軽に聞きなおすことができるのもメリットです。

 動画に対するニーズの問題か、永遠に残るという精神的敷居のためか、動画アーカイブをしているイベントはまだまだ数が少ないのが現状ですが、例えば先ほどWebsig24/7の分科会として紹介したWOM勉強会は過去のプレゼンの動画をブログに掲載していますし、筆者が所属しているAMNでも記者会見の模様を動画共有サイトにアップしています。

 最近は、動画を撮影しながらそのまま動画共有サイトにアップすることもできるようになっていますので、今後はこういったケースが増えていくのは間違いないでしょう。

ポッドキャスティングで、ほかの作業と平行しながら“参加”する

 スライドのないパネルディスカッションのように、音声が中心のイベントであれば意外に使えるのがポッドキャストです。音声だけでは話し手の表情やジェスチャーを見ることはできませんが、ある程度声のトーンで雰囲気は把握することができますし、音声であれば歩いているときや電車の中などでも気軽に聞くことができます。

 特に説明が長くなる部分。動画であれば、似たような画面を集中して見るのは難しいかもしれませんが、音声だけであればほかの作業と併行して聞き流すことも可能です。

 最近、時事通信社が主催した「爆発するソーシャルメディア」のパネルディスカッションも、時事通信の湯川鶴章記者が運営している「湯川鶴章のIT潮流」でポッドキャストの配信をしていますし、「UNIVERSAL Conference」というポッドキャスティングでは、銀座のアップルストアで毎月開催されている「Web Business Shuffle 2.0」の模様が配信されています。

 配信する側も、ビデオ録画は設備の準備が大変ですが、音声の録音だけであれば比較的手軽に実施できます。今後はますます増えるのではないでしょうか。

■動画・音声を配信するイベント一覧

イベント名 配信方法 アーカイブの有無
WOM勉強会 ストリーミング/ダウンロード ダウンロードコンテンツはアーカイブ有
RTCカンファレンス ストリーミング
AMN ダウンロード(動画共有サイト利用)
湯川鶴章のIT潮流 ダウンロード
UNIVERSAL Conference ダウンロード

 以上のように、遠隔地からでもイベントの雰囲気を体験する方法はいくつもあります。もし自分が興味があるけど参加できないイベントが上記の手段を提供していない場合には、思い切って主催者に頼んでみましょう。もしかしたら音声のポッドキャストぐらいは準備してくれるかもしれません。せっかく時間や距離の壁を越えられるインターネット時代ですから、「自分はどうせ参加できないから」と諦めずに、いろいろなイベントに“参加”してみましょう。

筆者プロフィール 徳力基彦(とくりき・もとひこ)

 NTT、ITコンサルを経て、2002年にアリエル・ネットワークに入社。情報共有ソフトウェアの企画や、コンサルティング業務に従事。2006年からは、ブログネットワークのアジャイルメディア・ネットワーク(AMN)設立時からブロガーの1人として運営に参画する。2007年7月にAMNの取締役に就任。最新のネットツールや仕事術に関する複数の執筆・講演活動も行っている。

 個人でも「ワークスタイル・メモ」と「tokuriki.com」など、複数のブログを運営するなど幅広い活動を行う。著書に「デジタル・ワークスタイル」「アルファブロガー」などがある。


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