統合オンラインサービス「Windows Live」はソフトとの連携を強化し、シングルサインオン化で利便性を高める。MSNはターゲットを明確に定めて広告事業を拡大する。
「われわれの強みであるソフトとサービスを組み合わせる」――マイクロソフトは「Windows Live」「MSN」を中心としたネット戦略を加速させる。Windows Liveは、オンラインサービスとソフトをシームレスに利用できるようにし、各サービスのIDを統合して利便性を高める。MSNでは動画などリッチコンテンツを増やして集客しつつ、広告配信を強化する。
メールサービス「Hotmail」やブログ「Spaces」、メッセンジャーなどが利用できる統合オンラインサービス「Windows Live」は今秋にリニューアル。各サービスでばらばらに発行していたIDを統合し、シームレスに利用できるようにする。
Hotmailの容量は、現在の2Gバイトから、8月にも倍以上に増やし、アンチスパム機能を強化する。Outlook Express後継のメールソフト「Windows Live Mail」も秋にリリース。Gmailなど他社のWebメールも統合管理できるようにし、ソフトとオンラインサービスの垣根をなくす。
画像を簡易にアップロードできる写真共有サービス「Windows Live Photo Gallery」や、オンラインストレージサービス「Windows Live SkyDrive」の正式版も秋に開始。オフラインのデータとオンラインサービスの融合を進める。
MSNは来年1月にリニューアルし、ターゲットを「25〜45歳の都会派のユーザー」と明確化。動画を含むエンターテインメント系コンテンツを充実させて「ポータルメディア」にし、ユーザーの滞在時間、広告収入を増やしていく戦略だ。
「Silverlightや、マウスオンで検索できる新技術も活用し、新しいメディアエクスペリエンスを提供する」とMSNエグゼクティブプロデューサーのショーン・チュウ氏は述べる。
ニュースコンテンツは10月1日、「MSN毎日インタラクティブ」から「MSN産経ニュース」にリニューアル。「MSN産経ニュースは“ウェブファースト”を掲げ、Webを編集の中心にする」(チュウ氏)という。
雑誌やイベントと連携したコンテンツも強化する。「ただ大量に持って来るのではなく、選び抜かれたものを提供し動画サービスにも力を入れる。『ここなら見つかる』と感じてもらいたい」(チュウ氏)
MSNビデオは来春にリニューアル。来年中には動画投稿サイト「Soapbox on MSN Video」も正式公開し、動画への取り組みを加速する。
広告ビジネスは、米本社が5月に「MS史上最大の投資」(同社の笹本裕常務)で買収した広告ネットワークの米aQuantiveとともに拡大させ、ターゲティング広告、動画広告、Xbox向けの広告配信などを行っていく。
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