「1人ハック」から「チームハック」へ【解決編】シゴトハック研究所

2007年上半期の連載を振り返り、トピックを再確認するとともに、自分という“他人”を思い通りに動かす方法を考えます。

» 2007年07月06日 13時53分 公開
[大橋悦夫,ITmedia]

今回の課題

 チームで力を合わせるためのポイントは?

 コツ:「一人ハック」のスキーマを応用する


 早いもので、今年も半分が終わりました。1月に昨年の下半期を振り返りましたが、そこから浮かび上がってきたテーマは、「自分にとってしっくり来るハックを見つけるには?」でした(1月19日の記事参照)。では、今年上半期は何がテーマだったのでしょうか?

タイトル コツ
仕事のレパートリーを広げるには? ツールに合わせて自分を“調節”する
みんなで毎日1つシゴトハックを考える習慣を定着させるには? 「1日1つ」を厳守する
どうしても先送りせざるをえない時のうまい先送りの方法は? 先送りを許した上で“敵”の裏をかく
集めた情報を 「あとで」「確実に」活かすには? 読み返さざるを得ない仕組みをつくる
仕事の取りかかりを早くするには? 自分を“ポジティブ”に甘やかす
「やっつけ仕事」しないようにするには? スケジュールに“山”と“谷”を作る
一日の仕事の見通しを正確に知るには? リミットとリソースの両面から考える
今日の教訓を明日に活かすには? 作業記録を正確に残す
作業記録を有効に活用するには? 自分にとっての「現実ワーク」を知る
環境の変化をチャンスに変えるには? 「マイパターン」を定期的に見直す
仕事の基本をうまく伝えるには? 疑似体験のための材料を提供する
仕事の中断をうまく活かすには? 「集中タイム」を同期させる
数年後の自分の仕事をイメージするには? 「ドシテ」と「ソレデ」で掘り下げる
後悔しない長期休暇を過ごすには? 目に見える成果が残ること1つだけに絞る
「連休明けシンドローム」を克服するには? 普段の「環境」がリセットされるタイミングを利用する
シゴトハックを思いつくためのコツは?(1) 「原則」をあぶり出す
シゴトハックを思いつくためのコツは?(2) 思わずやる気が出てくるような「仕掛け」を組み込んでおく
実践!シゴトハック:使途不明時間をなくす 遠くにあるゴールを目の前の果実に置き換える
実践!シゴトハック:自分で立てた予定を守る(1) 「相方」と手綱を握り合う
実践!シゴトハック:自分で立てた予定を守る(2) お互いの予定と実績を見せ合う
実践!シゴトハック:自分で立てた予定を守る(3) 「やって当然」を持ち上げる
実践!シゴトハック:自分で立てた予定を守る(4) 逃れられない制約を組み込む

 以上、全部で22本ありますが(解決編のみ)、それぞれの回の「コツ」は以下の3点に集約することができます。

  • 作業記録を通して「自分」を知る
  • 「自分」を動かす方法を知る
  • ペアでの仕事を通して、お互いの「自分」を知る

 これらをさらにひとまとめにすれば、

  • 人を動かす

 ということになります。

「自分」を思い通りに動かすために

 「人を動かす」における「人」には、自分自身も含まれています。自分のやる気を引き出して仕事に向かわせた上で、自分にとって一番しっくりと来る方法でその仕事に取り組む、という場合、自分で自分を動かしていることになるわけです。

 例えば、次の3つのコツは、いずれも自分を動かすための“手綱”をいかにコントロールするかというシゴトハックです。

  • 読み返さざるを得ない仕組みを作る
  • 自分を“ポジティブ”に甘やかす
  • 自分にとっての「現実ワーク」を知る

 これらを実践するには、その前提として「自分が何に関心を持っているのか」あるいは、「どのようなことを避けたいと思っているのか」を知る必要があります。そのための手段が作業記録です。NozbeSlimTimerといった作業記録に活用できるオンラインツールをご紹介しましたが、その行き着く先には、自分を思い通りに動かせるようになる、というゴールがあるわけです。

 記録を振り返って「へぇ〜、こんなに時間がかかっているのか」といった事実を知ることは大切ですが、さらに一歩進んで、「もっと短時間でできるようにするには?」あるいは「同じ時間でもより納得のいくような成果を出すには?」といった自問自答を行うことで、よりよく自分を動かすことができるようになるでしょう。それが、

  • 「マイパターン」を定期的に見直す

 でご紹介(3月30日の記事参照)したシゴトハックです。

「1人ハック」から「チームハック」へ

 このように自分を思い通りに動かす方法や考え方を「1人ハック」と呼ぶことにします。1人ハックは、自分1人が仕事を効率よくスピーディーに片づけるためのものですから、おのずと次のような壁にぶつかることになるでしょう。

  • 1人でやっている時には効率よくできるのにチームになるとうまくいかない
  • 部下に依頼した仕事が期日どおりに上がってこない
  • 締め切り間際に急な変更を上司から告げられる

 いずれも「1人ハック」の枠の外で起こる問題だといえます。

 そもそも仕事は1人で行うものではありません。筆者のように文章を書くという、一見すると1人でもできそうな仕事であっても、編集者や校正者をはじめとする多くの人が関わって成り立っています。同様に、多くのビジネスパーソンもまた、上司や同僚、後輩、あるいは協力会社など複数の関係者の中で仕事を行っているはずです。つまり、規模の差こそあれチームで仕事をしているわけです。

 そこで、必要になるのが、「チームの中の自分がうまくできる」という視点に立った、いわば「チームハック」です。つまり枠を広げるわけです。とはいえ、この視点は特に新しいものではないでしょう。例えば、「1人ハック」においては、自問自答を行うことは、時間軸で隔てられた複数の「自分」たちによる共同作業といえます。あるいは、作業記録に残っている記録上の「自分」から現在の「自分」に業務の引き継ぎをスムーズに行うことも、やはり共同作業です。

 このように「1人ハック」の中に既にあるチーム的なスキーマは「チームハックス」にも応用できる部分が少なくないのです。

 「チームハック」を始める上では、まず、チームメンバー同士で、お互いの「1人ハック」を伝え合うことから始めるといいでしょう。これについては、次回詳しくご紹介します。

筆者:大橋悦夫

仕事を楽しくする研究日誌「シゴタノ!」管理人。日々の仕事を楽しくするためのヒントやアイデアを毎日紹介するほか「言葉にこだわるエンジニア」をモットーに、Webサイト構築・運営、システム企画・開発、各種執筆・セミナーなど幅広く活動中。近著に『スピードハックス 仕事のスピードをいきなり3倍にする技術』『「手帳ブログ」のススメ』がある。


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