Googleでも“立ち読み”可能に――書籍検索が国内で開始

インターネット上で立ち読み感覚で利用できるGoogleブック検索が、国内でも始まった。通常のWeb検索では書籍の中身まではなかなか検索できない。どの本に載っていたっけ――という悩みも解消できる?

» 2007年07月05日 17時23分 公開
[鷹木創,ITmedia]

 この言葉、どの本に載っていたっけ? と悩むことはないだろうか。通常のWeb検索では書籍の中身まではなかなか検索できない。7月5日、Googleが発表した「Googleブック検索」では、一部ではあるが日本語の書籍の全文検索が可能になる。

 Googleブック検索は、2004年秋に英語圏で公開した「Google Book Search」の日本語版。Googleでは、国内大手十数社をはじめとする出版社とがパートナーシップ契約を結んで、日本語の書籍をデジタル化。書籍の中身を検索できるようにした。なお、一部書籍の中身を検索できるサービスは、2005年11月にAmazon.co.jpでも開始していた(2005年11月の記事参照)。こちらはスタート当初、和書洋書合わせて13万冊が対象だった。

パブリックドメインの出版物は全文表示

 世界中の書籍100万タイトル以上をデータベース化。日本国内の書籍のインデックス数は明らかにしなかったが、「現在のところ、(100万タイトルのうち)数%にとどまる」という。対応言語は、日本語のほか英語、フランス語、ドイツ語など10言語。英語版などでは大学などの図書館データベースとも連携していたが、国内の図書館とは現在のところ提携関係はないという。

1万社を超える出版社、25の図書館とパートナーシップを結んだという

 検索結果は、キーワードとの関連性が高い順に表示する。詳細は明らかにしていないが、Web検索のページランクとは別の検索技術を活用しているという。表示方法は「全文表示」「部分表示」「スニペット(抜粋)表示」「プレビューなし」の4つ。いずれも右クリックメニューの利用制限を設定できるほか、出版社の申し出があれば、インデックスから外すことも可能だ。

 全文表示と部分表示では、検索キーワードにあたるページを表示し、キーワードの前後から読めるようになっている。全文表示は、パブリックドメインの出版物や出版社などの著作権者から許可を得た書籍が対象。PDFファイルとしてダウンロードすることもできる。部分表示は、Googleがパートナーシップを結んだ出版社の書籍が対象で、書籍の一部が読めるようになっている。現実の書店に置き換えれば、立ち読みにあたるといえそうだ。

 部分表示する比率は出版社が決められる。Googleでは「最低でも、全体の20%を出版社にお願いしている」としており、出版社によってはほとんど全文に近い形で公開している場合もあるという。部分表示時は、検索キーワードによって読める範囲が異なる。例えば、「グーグル」と「ITmedia」でヒットする書籍が20%の部分表示だった場合、全体の20%のうち、グーグルというキーワード含むページと、ITmediaを含むページでは読める範囲が異なってくるわけだ。また、検索では絶対にヒットしないページを設定することも可能だ。

部分表示

英語版では15%以上のコンバージョンレートを記録

プレビューなしは著者名、出版社、発行年、ISBNの表示にとどまる

 スニペット表示は、パートナーシップを結んでいない出版社の書籍が対象だ。Googleによれば「全文をインデックスしているが、抜粋のみしか表示しないようにしている」という。プレビューなし表示は、Googleによるインデックス作業が完了していない書籍。著者名、出版社、発行年、ISBNの表示にとどまる。

 各表示とも、右側に書籍の発行元出版社のほか、Amazon.co.jp、紀伊国屋書店Book Web、楽天ブックス、セブンアンドワイといったオンライン書店へのリンクを用意。オンライン書店の選定基準は「アクセス数、ユーザー数が多いことだ」。また、画面下部にGoogle AdSenseによるテキスト広告も表示できる。なお、Googleは出版物の電子データを受け付けるほか、書籍の現物を1枚1枚スキャンすることも可能だという。

 「部分表示は書籍のプロモーションに最適で、英語版では15%以上のコンバージョンレートを記録した出版社もあった」(Google)。その一方、「オンラインと現実の書店で“共食い”が発生するのでは」との危惧を抱く出版社も少なくない。Googleでは「アクセスが何回あったか、購入に至ったのか、広告収入はいくらだったなどを表示するレビュー機能があるので、書籍をネット上でブラウジングできるようにすることと、書店で販売することは違うということを理解してもらった」という。Googleでは「発見ツールとしての威力」を強調。書店に置かれなくなった古い出版物の掘り起こしなどでの利用を見込む。

画面右にはAmazon.co.jp、紀伊国屋書店Book Web、楽天ブックス、セブンアンドワイといったオンライン書店へのリンクを用意
部分表示では画面下部にテキスト広告

出版社とコ・ブランドの検索ページも設定できる

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