仕事中に避けられない「眠気」――9つのシーン別対策樋口健夫の「笑うアイデア、動かす発想」

新入社員の中には、学生時代と同じようにガバっと机に伏せて寝てしまったり、不埒にもいびきをかいたりする豪傑がいる。居眠りばかりしていると上司の評価も下がる。社会人としての眠気防止防衛策をいくつか紹介しよう。

» 2007年06月07日 13時17分 公開
[樋口健夫,ITmedia]

 筆者が車を運転しなくなった唯一の理由は、中長距離を走る時に眠くなることだ。生死が関わる交通事故の怖さもあるし、運転している間は本も読めない、ノートも書けない。そう考えると、絶対に飛行機か列車がいい。

 長距離バスもできるだけ乗らない。バスの運転手も必ず眠くなると信じているからだ。例えばスキーバス。帰りのバスは乗っている客全員がぐっすりと寝ているが、バスの運転手だって実は猛烈に眠いのだ。どうしても長距離バスに乗るときは、運転手の後ろに陣取って居眠りしているかどうかを見張るのが、筆者の“サバイバル術”だった。

「むちゃくちゃ眠い」を防ぐ9つの対策

 ところが眠くなるのは車の中だけではない。会社でもむちゃくちゃ眠いのだ。

 長年働いてきて分かった真理は「誰でも仕事中に眠くなる」ということ。部長も眠い。課長も眠い。主任も新人もみな眠い。眠たくない人はいない。水曜日あたりの午後2時15分ころ、周りの人たちを見てごらん。

 「へ? みんなちゃんと目を開けているって?」。そう、ベテランになると目を開けていても寝ているのだ。これを「おさかな眠り」と命名した。実践するにあたり注意すべきことがある。ペンで目を突くなよ。

 社会人に慣れていない新人の中は、学生時代と同じようにガバっと机に伏せて寝てしまったり、不埒にもいびきをかいたりする豪傑がいる。居眠りだと思われると、上司の評価や同僚の評判がグッと下がる恐れがある。社会人としての眠気防止防衛策をいくつか紹介しよう。

時間 対策
前日 まず、毎晩遅くまで飲み歩かない。現実的には難しいだろうが言っておく
出社前 朝のシャワーはサッと出ること。長風呂だと午前中いっぱい体が重い
通勤時 電車通勤の場合、どんなに長く座れても20分以上眠らない。それ以上眠ると余計に眠くなるだけ。後は、読書をするといい
出社時 机の中のブラックチョコ、眠気飛ばしガムは“標準装備”。なくなっていたら補給を忘れずに
昼休み 【最重要】1時間の昼休みだったら、そのうち15分は仮眠を取ること。その場合にはハンカチを顔に掛けておき、よだれ、大口、いびきを防ぐこと
昼食 昼にたくさん食べないこと。飲まないこと
午後 午後になっても眠さが取れない場合は、同じように眠いはずの上司に質問をすること。同期と打ち合わせをすること。眠くて死にそうな上司に話し掛けると、“命の恩人”と感謝されることもあるが、間違っても「先輩、眠そうですね」と茶化してはいけない。声の掛け方は気を遣おう。
例:「済みません。昨日のご指示の内容なんですが、もう一度ご説明いただけませんか。何だったら、特別会議室(我々ビジネスパーソン用語では、休憩室あるいは喫茶室のこと)で、コーヒーでもどうですか。たまには私がおごります、先輩」
会議中 会議の時の最大の眠気防止は、必死に議事録を取ること。会議で部長が寝てても、マネをしたり起こしたら駄目。まして大学の大講義室よろしくガバッと突っ伏して夢を見ていたら、もうこれは“死刑台”直行のエレベーターだ
どうしても眠い場合 トイレに行って10分だけ寝ること。

 トイレで仮眠する場合、タニタのバイブレーション機能付きキッチンタイマーか、携帯電話の振動機能で必ず起きる。まさかトイレで1時間ねばってはいけない。ちなみに、トイレの仮眠では顔に直接手を当てないようにしよう。手形が真っ赤にばっちりと残るような不始末は避けたい。トイレから出るときも注意だ。携帯電話を握って出てはならない。トイレでデイトレードに熱中する“トイレーダー”と間違われる。

 さて、無事トイレから出たら、顔を洗って気持ちを引き締めよう。冷たい水は目覚まし効果も抜群だ。ブラックチョコを食べて、コーヒーを2杯(缶コーヒーだったら2缶)買ったら、部屋に戻る。コーヒーの1杯は、日ごろお世話になっている女性、同期の女性、それらが居なければ、上司に持っていくのである。


 前述した「おさかな眠り」や「トイレでの10分眠り」のほか、「電車のつり革眠り」「ドアの横によっかかり眠り」「喫茶店での15分を眠り」――と仮眠メニューをマスターすれば完璧。各仮眠法の詳細は省くが、すでに習得し、熟練している諸氏もいるはず。わが家では父親である筆者と子供が一緒に勉強する。その勉強ルールでは15分だけ仮眠を取る権利を定めているのだ。本当は、会社でも従業員が15分だけ寝られる権利を与えられると効率が3割ほどアップするのだが。

今回の教訓

“日本版シエスタ”――。上司に提案すると返って喜ばれるかもしれない。


著者紹介 樋口健夫(ひぐち・たけお)

1946年京都生まれ。大阪外大英語卒、三井物産入社。ナイジェリア(ヨルバ族名誉酋長に就任)、サウジアラビア、ベトナム駐在を経て、ネパール王国・カトマンドゥ事務所長を務め、2004年8月に三井物産を定年退職。在職中にアイデアマラソン発想法を考案。現在ノート数338冊、発想数26万3000個。現在、アイデアマラソン研究所長、大阪工業大学、筑波大学、電気通信大学、三重大学にて非常勤講師を務める。企業人材研修、全国小学校にネット利用のアイデアマラソンを提案中。著書に「金のアイデアを生む方法」(成美堂文庫)、「できる人のノート術」(PHP文庫)、「マラソンシステム」(日経BP社)、「稼ぐ人になるアイデアマラソン仕事術」(日科技連出版社)など。アイデアマラソンは、英語、タイ語、中国語、ヒンディ語、韓国語にて出版。「アイデアマラソン・スターター・キットfor airpen」といったグッズにも結実している。アイデアマラソンの公式サイトはこちら


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