「連休明けシンドローム」を克服するには?【解決編】シゴトハック研究所

連休明けは普段より気分も足取りも重いもの。しかし普段のリズムが途切れたことを利用して、新しい仕事に取りかかる方法もあります。

» 2007年05月11日 20時26分 公開
[大橋悦夫,ITmedia]

今回の課題

 「連休明けシンドローム」を克服するには?

 コツ:普段の「環境」がリセットされるタイミングを利用する


 連休明けというのは、通常の週明けよりも気分も足取りも重く感じられるものです。これは、平日に仕事をするという「負荷」から離れた状態が長く続いたためといえます。

 毎日ジムでのトレーニングを欠かさなかった人が、しばらく休んでしまうと、ジムに行くのが億劫になってしまうことに似ています。逆にいえば、毎日繰り返していることというのは、さほど気合いを入れなくても勢いに乗ってできてしまいます。同様に、平日5日間仕事をして、土日2日間を休むという一定のリズムを刻んでいれば、さほど負担には感じられないわけです。

 とはいえ、連休などによって、リズミカルに繰り返していたことが一時的に中断されることによって、初めて気づけることもあります。

溜まった仕事を改めてじっくり眺めてみる

 普段の週明けに比べると、連休明けには仕事が溜まっているということが少なくないでしょう。そのため、連休明けは溜まった仕事やメールの整理に明け暮れることになるのですが、この時は、連休前のリズムが途切れている状態ですので、以下の2つのことを感じるのではないでしょうか。

  1. 連休前のリズムが取り戻せない焦り
  2. 連休によってリセットされたことによる空白感

 目の前に積み上がった仕事を目にすると、どうしても焦りが先行してしまいます。しかし、無意識に刻んできたリズムが途切れているということに目を向けてみると、これから新たなリズムを作り出す余地があることに気づくでしょう。

 締め切りが迫っている仕事があれば、それに対応する必要がありますが、それほど緊急でなければ以下のようなことを実践してみます。

 ・タスクリストなどで、自分が抱えている仕事をじっくりと眺める

 新しい仕事よりも普段からやり慣れている仕事の方が手をつけやすいものです。それゆえ、リズムに乗っている時というのは、なかなか新しい仕事に取りかかれない、ということがあります。そこで、リズムが途切れたことによって生まれた空白を利用して、抱えている仕事のうち連休前にずっと先送りにしてきた仕事から先に手をつけるようにするのです。

 久しぶりに目にするタスクリストは、毎日のように眺めていた時とは違い、少なからず新鮮に映ることもこの後押しになります。

 なお、この作業は、いったん自分の席を離れて、カフェや会議室にこもって取り組む方がいいでしょう。中断のない、まとまった時間をかけて抱えている仕事を棚卸しすることによって、「まだ何かやっていないことがあったような気がする」という漠然とした不安から解放されるはずです。

空腹時の一時的な「脳力」アップを活用する

 休暇中というのは、仕事のリズムが途切れるのに加えて、食生活も変化しがちです。外食や間食が増えるなど、つい食べ過ぎてしまうため、それが「どうもいつもの調子が出ない」といった“症状”となって現れることがあるのです。

 米イェール大学のホーバス博士の実験によると、空腹時の方が記憶力がアップする、との結果が出ているそうです(※)。このことを利用して、特に連休明けはランチをごく軽めに済ませて、先にご紹介したような「タスクの棚卸し」に時間を回すようにすると、より効率よく進めることができるかもしれません。

※胃が空っぽになったときに放出されるグレリンという生体物質が脳内の「海馬」に到達するとシナプスが30%増え、シナプス活動の変化率が増大する(『脳はなにかと言い訳する』より抜粋)

 逆に満腹状態では、ついリラックスしてしまい、やる気が減衰するということがありますから、これは感覚的にもうなずけるところでしょう。

 ちなみに、人の体には呼吸や消化などの自分ではコントロールできない(不随意)機能を制御する自律神経系と、コントロールができる体性神経系(随意神経系)とがありますが、このうち自律神経系はさらに交感神経系と副交感神経系の2つの神経系で構成されています。

 この2つの神経系は、状況に応じてどちらか一方が優勢になって機能しています。それぞれの役割は大まかには以下の通りです。

  1. 交感神経系 =ストレスに対処するために血圧や心拍数を上げる
  2. 副交感神経系=体を休め、回復させるために血圧や心拍数を下げる

 血圧や心拍数以外にも、内臓器官への血液量や、瞳孔のコントロールなども司るのですが、端的にいえば、交感神経系が優勢になっている時は「仕事に集中して取り組んでいる時」であり、逆に副交感神経系が優勢な時は「食後などリラックスしている時」ということになります。

 満腹時にやる気が起きないのは、副交感神経が優勢になっているから、といえるわけです。

普段の「環境」がリセットされるタイミングを利用する

 以前の記事で、環境の変化によって、何らかのきっかけを得ることを、「環境ドリブン」という言葉でご紹介しましたが(3月30日の記事参照)、連休明けというのも1つの「環境の変化」といえるでしょう。

 それゆえ、連休という断絶によってそれまでの「環境」がリセットされたタイミングを利用して、新たな習慣を始めるためのきっかけにするといいでしょう。

筆者:大橋悦夫

仕事を楽しくする研究日誌「シゴタノ!」管理人。日々の仕事を楽しくするためのヒントやアイデアを毎日紹介するほか「言葉にこだわるエンジニア」をモットーに、Webサイト構築・運営、システム企画・開発、各種執筆・セミナーなど幅広く活動中。近著に『スピードハックス 仕事のスピードをいきなり3倍にする技術』『「手帳ブログ」のススメ』がある。


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