ブラウザでリアルタイムチャットができるサービス3連発デジタルワークスタイルの視点

プロジェクトやグループのコミュニケーションに活用できるインスタントメッセンジャーですが、IMを業務で利用することを禁止している企業もあります。どうしても利用したいときは、どうしたらいいのでしょうか。

» 2007年05月09日 12時56分 公開
[徳力基彦ITmedia]

 プロジェクトやグループのコミュニケーションに活用できるSkypeなどのインスタントメッセンジャー(IM)ですが、そもそもIMを業務で利用することを禁止している企業もあります。SkypeのようなIMソフトのインストールや、IMの通信を遮断するようなシステム設定になっていて、Skypeを利用することができないという方も少なくないでしょう。

 もちろん、まずは管理者に許可を取るべきです。ただ、管理者に許可を取ったとしても、すぐにシステムの設定が変更されるとは限りません。そこで、今回はそんな場合でも利用することができる、Webブラウザベースのチャットサービスをご紹介したいと思います。

ブラウザベースで利用することができるチャットサービス

  • メッセンジャーとチャットできる「Gmailチャット」
  • 企業向けグループチャットを実現する「フレッシュミーティング」
  • 大人数でリアルタイムチャットができる「Lingr」

メッセンジャーとチャットできる「Gmailチャット」

 まず1つ目は、GoogleのWebメールサービス「Gmail」で利用できるチャット機能です(2006年5月の記事参照)。Googleには、Google TalkというSkypeと似たクライアント型IMソフトがありますが、このGoogle Talkのチャット機能を、Gmailの画面からも利用できるのです。

 使い方も簡単で、Gmailの画面の左側の「クイックコンタクト」にチャット相手を追加して、そこに表示されている他のメンバーの名前にマウスオーバーしてチャットボタンを選択するだけ。右下にチャットボックスが表示されチャットを開始することができるようになります。

左の「クイックコンタクト」で相手を選択し、右下のボックスでチャットする

 現在のところGmailチャットでは、Skypeのようなグループチャットは利用できませんが、相手がオフラインのときにもメッセージを送ることができるので、1対1のインスタントメッセンジャーとして活用することができます。Google Talkを使っている人とも、ブラウザでチャットができるのもメリットといえるでしょう。

企業向けグループチャットを実現する「フレッシュミーティング」

 続いて紹介するのは、サーバインストール型Web会議システムの「フレッシュミーティング」です。こちらのサービスは、GmailチャットのようにIMソフトとは連携していませんが、企業向けのチャットシステムとして開発されていますので、本格的に業務でメッセンジャーのメリットをフル活用したいという人にお勧めです。

 チャットができるだけでなく、ファイルを添付できたり、議事録が残せたり、携帯電話からも利用できたりと機能も多彩。誰かが新しい発言をすると通知される発言通知機能も実装されているので、インスタントメッセンジャー的にリアルタイムにチャットする使い方も可能です。

個人用ページ
ミーティングの様子

 ただ、このフレッシュミーティングはサーバインストール型で、法人ユーザーの場合は10ユーザー版が8万3790円からと有料になりますので、サーバ環境がない方や経済的にハードルが高いかもしれません。そんな方は、米国の「Campfire」という企業向けグループチャットのASPサービスを使う手もあります。英語版のみの提供ですが、興味のある方は試してみるのもいいでしょう。

大人数でリアルタイムチャットができるLingr

 最後に紹介するのは、HTTPを使って擬似的にサーバからのプッシュ配信を実現する技術「Comet」を活用した「Lingr」です。Cometを利用すれば、サーバやネットワークへの負荷を抑えつつ情報の更新をすぐにブラウザに反映できるので、ブラウザによる大人数でのリアルタイムチャットを実現できるのです。

 Lingrは現在のところ英語版しかないのですが、開発元がインフォテリアという日本の企業の米国子会社インフォテリアUSAが開発しているため、日本人利用者も多数いるサービスです。

 このサービスは基本的に、インターネット上の掲示板としてオープンに利用するのが主流の使い方ですが、チャットルームを開設するときにパスワードで保護をかけることができるため、プライベートなチャットルームも作成することができます。

 Lingrではすでに「ウェブ進化論」で有名な梅田望夫さんと150名同時チャットを実現するなど、各種イベントで大人数でのリアルタイムチャットに耐えた実績もあります(1月25日の記事参照)。準備に手間がかからないので、急に大勢でリアルタイムチャットを実現したくなったときなどに利用してみるといいでしょう。


 チャットというと、まだまだ遊びで使うIMのイメージが強いかもしれませんが、インターネット上には業務にも使えるチャットサービスが日々生まれてきています。ブラウザで利用できるIMも徐々に増加しているようです。

 今回は紹介しませんでしたが、マイクロソフトのメッセンジャーでも「MSN Web Messenger」がありますし(2004年11月の記事参照)、Biz.IDの過去記事でも「meebo」などのブラウザで使えるメッセンジャーサービスを紹介しています(2006年7月の記事参照)。

 IMには即時性というメールとはまた違った特徴があります。プロジェクトやグループのコミュニケーションにぜひ活用してみてください。

筆者プロフィール 徳力基彦(とくりき・もとひこ)

NTT、ITコンサルを経て、現在はアリエル・ネットワーク株式会社プロダクト・マネジメント室マネージャ。ビジネスパーソンの生産性向上のためのソフトウェアの企画・開発やコンサルティング業務に従事するほか、グループウェアやブログ、仕事術などに関する執筆・講演活動を行っている。ブログは「ワークスタイル・メモ」と「tokuriki.com


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