単に「塗る」だけでは脳は活性化しない──三菱鉛筆が川島教授と検証

「脳の活性化」させるツールとして注目を集める「塗り絵」。三菱鉛筆と東北大学の川島教授による検証の結果、単に「塗る」だけでは脳が活性化しないことが分かったという。

» 2007年04月13日 19時50分 公開
[鷹木創ITmedia]

 「脳の活性化」させるツールとして塗り絵が注目を集めている。三菱鉛筆によれば、現在80社以上、200種類以上の塗り絵本が出版されているという。とはいえ、これまでは塗り絵が本当に脳を活性化させるのかどうか、科学的な検証例が少なかった。そこで、三菱鉛筆では、ニンテンドーDS用ソフト「脳を鍛える大人のDSトレーニング」などで有名な東北大学加齢医学研究所の川島隆太教授と協力して、塗り絵の効果を科学機器で測定・検証した。

 脳の活性化とは、“脳の中の脳”とも呼ばれる前頭前野の機能向上を目指すこと。前頭前野では創造力や記憶力のほか、感情の制御、行動の抑制を司る。また、集団でのコミュニケーションにも関連があるとされ、高度な精神活動を司っているという。

 検証の結果、いわゆる色鉛筆で単に「塗り絵」をする行為自体には、個人差にもあり、必ずしも前頭前野を活性化させる行為とはいえないことが分かった。一方、ぼかしなどの技法や配色、色の濃淡に工夫することで、大きく脳が活性化することが分かったという。特に、鉛筆によるデッサンのように、1色だけで塗り分けるというテクニックを用いると脳がさらに活性化する。鉛筆で絵に濃淡を付ける細かい作業が脳の活性化に“効く”――というわけだ。

 こうした検証結果を受けて、三菱鉛筆では川島教授監修の塗り絵セット「脳芸教室〜大人の塗り絵」を4月23日に発売する。12色の色鉛筆に加え、2H/H/F/2B/4Bといった5種類の鉛筆も加えた。「濃淡を付けて塗るには、上達すれば鉛筆1本でもできるが、入門者ではなかなか1本では描ききれない。濃さの違う鉛筆を用意することで入門者も濃淡を付けやすくした」(三菱鉛筆)。塗り絵学習用のテキストブックとDVDも付属し、濃淡の付け方を解説する。1セット3675円。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ