第3回 リラクゼーションのテクニック──呼吸、言葉、飲食、対人リラクゼーションの7種の技法(1/2 ページ)

7つの切り口からリラクゼーションの技法を具体的に紹介する最終回。今回は、呼吸法、言葉、人や動物と接する、飲食の4種類を紹介する。

» 2007年04月10日 14時56分 公開
[平本相武(構成:房野麻子),ITmedia]

リラクゼーションの技法
  連載タイトル
1 ストレスとは何か? を知る
2 リラクゼーションのテクニック──身体・感情・感覚
3 リラクゼーションのテクニック──呼吸、言葉、飲食、対人

 リラクゼーションの技法、4つ目は「呼吸法」です。呼吸法にはさまざまなものがあって、お腹を膨らませたり引っ込めたりする腹式呼吸法もあれば、気功も一種の呼吸法ですし、ヨガもそうです。これら全部を誌面でご紹介するのはさすがに難しいので、興味があったら個人的にやってほしいと思います。ここでは、誰でも簡単にやりやすい「カウント呼吸法」と「呼吸観照法」をご紹介します。

 カウント呼吸法とは、1カウントで息を吸って、4カウント息を止めて、2カウントで息を吐く、という方法です。もしくは、4カウント息を吸って、16カウント止めて、8カウントで吐く、でもいいでしょう。呼吸で酸素を大量に取り入れると、心理的にリラクゼーションになるばかりでなく、代謝が促進されて免疫力が高まると言われています。

 4カウントで息を止めるのが苦しい場合は、最初は2カウントから始めてみてください。つまり、1−2−2で呼吸します。止める時間が長いのは、身体の中に入れた酸素が体内中に流れていく時間を長くするためです。その次に吐く時間が長い。これは、息を吐ききった方が、次にたくさん酸素を取り込めるからです。ですから吐く方に意識を向けてください。吐ききったら、吸わないでおこうと思っても入ってきますよね。吸う方に意識を向けると、吸う努力で終わってしまいがちです。吐ききったときは自然に入ってきます。このカウント呼吸法を朝10回、夜10回やってみてください。

 もし、このカウント呼吸法を本格的にやりたいのであれば、メトロノームを用意してやるといいでしょう。最近のメトロノームには小さいカード式のものがあり、イヤホンも使えます。例えば、人にはそれぞれ、自分の心臓の鼓動よりもやや遅いくらいのちょうどいいリズムがあるのですが、メトロノームを使うとリズムを取りやすくなります。もちろん、うざったいなら使う必要はありません。

 次に呼吸観照法です。これは、ただ自分の呼吸を見守ることです。例えば、普段、鼻で呼吸しているとしたら、鼻の穴から空気が入ってきて、出て行くのを、ただ意識するだけです。呼吸を意識するとリラックスします。

 

 呼吸というのは、呼吸器系の病気がない限り、意識するのに最も安全なものなのです。病気がない限り、呼吸は生まれて死ぬまでしていますよね。24時間、生まれてから死ぬまでやっている動作で意識が向けやすいものなのです。例えば、心臓の鼓動を感じてくださいといわれても、ちょっとよく分からないですね。心臓はもちろん動いていますが、呼吸よりは分かりにくい。

 脈を取ると落ち着くという人もいて、それも同じことです。つまりフィードバック効果です。人間は、その状況がリアルタイムでどういう状況になっているのか、フィードバックできると自然と適正な状態になるという本能的な能力があります。脈をとっているだけで、ゆっくりしようと意識せずとも自然に適正に戻ります。ただ、脈よりも呼吸のほうが分かりやすいでしょうね。

 頭の中の考えやイメージに意識を向けると、ポジティブになるときもあればネガティブになるときもあります。楽しく明るい未来を考えるとポジティブになるけれど、「ああなったらどうしよう」と、失敗した未来を考えるとネガティブになりますね。イメージや考えは、ポジティブとネガティブどちらにも動く可能性があります。ところが呼吸や脈は、意識を向けると必ずそこにある。だから安心していられます。脈を測っているうちに、だんだん興奮してくるなんてありませんよね。これはフィードバックし続けているからです。

 ちょっとやってみてください。特別な姿勢をする必要はありません。普段、呼吸している方法で、ただ鼻の穴(口で呼吸する場合は口)から空気が入ってきて(息を吸う)、鼻の穴(口)から空気が出て行く(息を吐く)。ただそれを意識するだけです。

 深くゆっくりとした呼吸にする必要はありません。ただ、呼吸に意識を向けるだけでいいのです。「ゆっくりしなきゃ、ゆっくりしなきゃ」と思うと、かえって興奮してゆっくりにならないことがあります。ただ、呼吸を意識するだけでいいのです。

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