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» 2007年04月06日 19時45分 UPDATE

町役場で使うSkype――「チャットはメールより使いやすい」

沖縄県北谷町は町営施設のPC53台にSkypeを導入し、通話やチャット、ファイル転送に使っている。ITリテラシーの高くない利用者からは「メールよりSkypeチャットの方が使いやすい」という声も聞かれるという。実現までの道のりを同町の情報政策課が説明した。

[吉田有子,ITmedia]

 P2Pのソフトウェアであることから、企業によっては会社のPCへのインストールを禁止されるなど“悪役”扱いされてしまうこともあるSkype。しかし、沖縄にはSkypeを業務に導入した地方自治体がある。職員はPCリテラシーの高い人ばかりではない。一体どのように導入したのだろうか。

yy_skype01.jpg 沖縄県北谷町情報政策課情報政策係の伊波興勇氏

 沖縄県北谷(ちゃたん)町は、町役場をはじめとして、生涯学習センター、幼稚園、小中学校、公民館など町営施設にあるPC計53台にSkypeを導入し、通話やチャット、ファイル転送に利用している。4月6日に都内で行われたSkypeビジネスセミナーで、同町情報政策課情報政策係の伊波興勇係長が導入と運用の様子を紹介した。

 北谷町は那覇市から北へ約16キロメートルの位置にある。町面積の半分以上を嘉手納飛行場などの米軍関連施設が占め、中日ドラゴンズのキャンプ地、北谷球場もある。人口は約2万7000人。

 2005年6月、総務省が支援する地域イントラネット基盤施設整備事業によって、北谷町役場をはじめとする町内施設が光ファイバーによる地域イントラネットで結ばれた。このとき、IP電話の導入も検討したが、高機能なIP電話は専門的な知識が必要でコストがかかることが難点だった。

 そこで、無料かつ操作の容易なSkypeはどうかと、2005年8月に導入の検討を開始した。2006年9月にSkypeの導入試験を開始し、11月からは本格的に運用している。初期投資には約70万円かかったが、これによって町営施設間の通話料は無料になった。このほか、災害時に電話以外の通信方法を確保できたという利点もある。

yy_skype02.jpg 北谷町のSkypeシステム構成図

「Officede for Skype」を使ってセキュリティの問題を解決

 検討の過程で、伊波氏は家庭にもSkypeを導入してみた。四国に住んでいる娘とSkypeで話し、ビデオ通話も楽しんだ。「妻はこれが本当に無料なのか、と心配していました」と話す。一方、伊波氏が心配していたのはセキュリティだ。

 セキュリティの問題は、ゼッタテクノロジーの「Officede for Skype」を導入して集中管理することで解決した。Officede for Skypeは、管理者がSkypeの一部機能を禁止したり、通話やチャットの履歴をログに残したりできるソフトウェア。禁止できる機能としてはチャットやファイルの送受信、許可したSkype ID以外との通話やチャット、SkypeInやSkypeOutなどがある。

 北谷町では、現在のところ、町役場や生涯学習センターなどの町の施設を結ぶ“内線電話”としてSkypeを使い、料金が発生する外部への通話は禁止している。町の施設どうしならチャットやファイル送信も許可した。さらに、Skypeを集中して管理するため、Officede for Skypeを使って同じバージョンに揃えている。

yy_skype03.jpg 通話中に音声が途切れるトラブルがあり、Skypeのバージョンアップによって対応したところ、利用者の満足度が向上した

 現在はSkypeのバージョン2.5を使っており、バージョン3.1を検証中だ。検証のポイントは、マニュアルの改訂につながる操作性の変化の確認、追加された機能で業務に無関係なものをブロックできるかどうか、などだ。このほか、離れた場所にあるSkypeに障害が起こった場合は「RealVNC」というソフトウェアを使って対応している。

電話機タイプのSkypeフォンを採用し、マニュアルを徹底整備

yy_skype04.jpg 北谷町で利用している「サイバースピーカーW」

 町の施設なので「特に地域の公民館などでは、年配でPCにあまり詳しくない人が使うことが多い」と伊波氏は話す。そこで、Skypeでの通話にはイヤフォンやヘッドフォンにマイクが付いたタイプではなく、電話機タイプのものをPCに接続して使うことにした。

 数種類の機器を検討して採用したのは「サイバースピーカーW」だ。選定の理由は(1)質感がしっかりしていて、軽すぎず重すぎない(2)受話器の上げ下げに連動してSkypeが動作し、受話器ボタンで操作が完結する(3)検討した機器の中では最も音質が良い(4)スピーカーフォンとしてハンズフリーでも使える――の4つ。

 このほか、Skypeの使い方を周知するために半日間の説明会を行い、「基礎編」「応用編」に分けてSkypeの使い方を徹底的に説明するマニュアルも作った。

yy_skype05.jpg サイバースピーカーWに対する満足度
yy_skype06.jpg 「基礎編」「応用編」に分かれてSkypeの使い方が並ぶマニュアル
yy_skype07.jpg Skypeでよく利用する機能と業務効率化について

 このようにSkypeを使いやすく導入することに努めた結果、全体の半分強の人はSkypeでは通話をよく使い、約3割の人はチャットをよく利用しているという。また、PCリテラシーの低い人にとっては意外にも「チャットがより好まれている」ことが分かった。「リテラシーの低い人にとっては、メールソフトを立ち上げ、送り先のメールアドレスを入力することさえ負担になる。PCに常駐し、クリックするだけで相手とチャットできるSkypeはメールより使いやすいようだ」と指摘する。チャット機能は、伝言メモの代わりにもよく利用されているという。

Skypeは業務を効率化し、住民を待たせない

 また、Skypeは業務の効率化にも役立った。Skypeでよく利用する機能として16%は「ファイル転送」と答えているが、これが資料のやり取りを簡素化するのに役立っている。例えば、児童館のお知らせをWebサイトに掲載するさい、Web作成の知識が十分ではない児童館の職員に、情報政策課の職員がSkype通話やチャット、ファイル転送機能を活用して助言をしている。以前なら同じことをするのに電話を使っていたが、その場合は数少ない電話回線を占有してしまうという問題があった。町役場へのSkype導入によって、児童館に電話で問い合わせをする住民も待たされずにすむ――というわけだ。

 今後の計画としては、Skypeの導入台数をさらに拡大すること、出先機関や小中学校とのビデオ通話などがある。さらに、内線電話としてだけではなく、外部への通話にもSkypeを使うことも検討中だ。

yy_skype08.jpg 「Skypeは業務で利用できますか?」という質問に、96%が「利用できる」と答えた
yy_skype09.jpg 北谷町のSkype利用率と操作性に対する満足度

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