“なめて”しまったねじを何とか回すグッズ

大きさの合わないドライバーでねじをむりやり回していると、ねじの溝が潰れ、いわゆる“ねじをなめた”状態になってしまう。しかし、なめてしまったねじを回すためのドライバーや、ねじの溝の摩擦力を増やす液が販売されている。

» 2007年03月27日 20時58分 公開
[吉田有子ITmedia]

 ある日、筆者は会社で使っているPCのメモリを増設することにした。使っているThinkPadの裏ぶたを外すために本体をひっくり返し、ドライバーでねじを回したが、なかなかうまく回ってくれない。力をこめて回しているうちに、3つのねじ頭にある溝がドライバーで削られ、つぶれてしまった。

 このようにねじの溝を潰してしまった状態は「ねじをなめた」と呼ばれる。ドライバーの大きさが合っていないのに無理やり回してしまった場合に起こりやすい。こうなってしまうと、そのままねじを回すことは難しい。

“なめて”しまったねじ。もとは十字に切り込みが入っていたが、内側が削れ、ねじの溝が潰れてしまっている

 しかし、あきらめるのはまだ早い。こんな場合に役立つグッズが各社から発売されている。

ねじに溝を作るドライバー「エアロビクス・2」

 まず、トーコマの「エアロビクス・2」は「つぶれたねじも回せる」とうたっているドライバーだ。ネジの上に立てて上端からハンマーで叩くことで、ドライバーの先をねじに食い込ませて新しい溝を作る。叩いたハンマーの力をドライバーの先まで効率よく伝達するために、ドライバーの軸はハンドル内まで貫通しているのだという。「一般のドライバーは、軸が奥まで貫通していないので力がうまく伝わらないため、ねじに溝を作れない」(トーコマ)

トーコマの「エアロビクス・2」。写真左の手前にある赤い部分をハンマーで叩くことでねじ穴に溝を作る。ハンマーは別売りだ

 ねじの上にエアロビクス・2を立てて、PCを心配しながらハンマーで軽く叩いた。そのあと、ねじを回すと、ちゃんと外すことができた。1本目クリア!

ねじ穴に塗る「摩擦増強液」2種類を使ってみた

 ねじ穴に塗るタイプの「摩擦増強液」もある。なめたねじ穴に摩擦を生じさせることで、ドライバーとかみ合って回しやすくするものだ。今回は、コニシの「ネジやま救助隊 ネジはずし」と兼古製作所の「ANEXネジすべり止め液」を利用した。両者とも細かい粒が入っている粘体で、色は真っ黒。

コニシの「ネジやま救助隊 ネジはずし」(左)と兼古製作所の「ANEX ネジすべり止め液」。機能的にはほぼ同じ。チューブからしぼり出した様子は粒の入った歯磨き粉のようだが、もちろんこれで歯を磨いてはいけない

 2つのねじ穴に、ネジやま救助隊 ネジはずしとANEX ネジすべり止め液を塗り、一般的なドライバーで回してみた。増強液の中の粒がドライバーに引っ掛かり、「ジャリッ、ジャリッ」という音を立てながらネジが回る。これも外すことができて、2、3本目をクリア! 最後は摩擦増強液をティッシュペーパーやボロ布でふき取れば終わりだ。

ネジやま救助隊 ネジはずしをねじの上にしぼり出す
ねじの頭部分に摩擦増強液を塗った状態で、ドライバーで回す
こんなになめたねじでも外すことができた

 このほか、摩擦増強液をつけてエアロビクス・2を使う“2本立て”も試してみた。摩擦増強液をつけずにエアロビクス・2を回した場合と比べて、摩擦感があり回しやすくなった。摩擦増強液をつけて同じくらいの大きさの一般のドライバーで回した場合に比べても、“引っ掛かり感”がある。どちらか片方だけを使ってみても難しい場合には、両方使ってみるのもいいかもしれない。

ねじの頭に摩擦増強液を塗った状態で、エアロビクス・2で回してみる

ねじを横から挟んで回す「小ねじバイス」

 このほか、今回はねじの形状が合わないため利用しなかったが、回したいねじの形状によってはスリーピークス技研の「小ねじバイス」も有効だろう。これはねじを横から挟んで回すものだ。ねじ頭の部分に厚みがあり、つかんで回せる場合なら役立ちそうだ。

スリーピークス技研の「小ねじバイス」。今回のようにねじ頭部分に厚みがないと、横から挟んで回すのは難しい

今回の記事で使ったもの
製品名 発売元 実売価格
エアロビクス・2 トーコマ 803円
ネジやま救助隊 ネジはずし コニシ 650円
ANEX ネジすべり止め液 兼古製作所 472円
小ねじバイス スリーピークス技研 1669円

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