ビジネスパーソンがブログを書くときに気をつけたい4つの問題(1/2 ページ)

働きながらブログを書く――。ブロガーの多くは、ブログだけでは食べてはいけない。仕事をしながら書いている人が大部分を占める。そんなブロガーが考えておかなければならないこととは何か。

» 2007年03月23日 23時37分 公開
[鷹木創,ITmedia]

 誰でも自分のブログを公開できるようになった今、ビジネスパーソンとブログの付き合い方にも注目が集まっている。匿名で書くべきか、実名で書くべきか、会社名、肩書きは書くべきか、書かざるべきか――。3月23日、都内で開催された情報通信政策フォーラム(ICPF)のシンポジウム「参加型メディアの可能性」で、アルファブロガーらが議論した。

手前から佐々木俊尚氏、小飼弾氏、磯崎哲也氏、原淳二郎氏、池田信夫氏

匿名のメリット、実名のメリット

 匿名実名問題は、インターネットの世界で長らく議論されてきた。特に話題に上るのは、2ちゃんねるのような匿名掲示板などだ。司会を務めた池田信夫ICPF理事は、「匿名に隠れて中傷するのは卑怯ではないか」と話を振る。

 パネリストの1人でジャーナリストの佐々木俊尚氏は「匿名問題には2つの側面がある」という。つまり、卑怯だという側面以外に、書いているのが社長や大学教授、フリーターでも構わない、内容勝負の側面もあるというのである。

ジャーナリストの佐々木氏

 ブログ「isologue」の磯崎哲也氏は日米を比較した。日本に比べて、米国であれば個人事業主のブロガーが多いという。「起業するとき、日本だと経理や何やらとスタッフを雇わなければならない。米国だと各個人事業主をパートタイムで雇える」。米国の個人事業主であれば発言=アピールとなるから、自然と実名で活動するようになる。反対に、企業や組織のしがらみで口を閉ざしがちな日本のサラリーマンは匿名で活動するようになった、というわけだ。

 今回参加したパネリストは、ブログで自分たちをアピールできる人がほとんど。実名も公表している。だが、一般ブロガーの中には、記事を書くことによって自分だけでなく、家族や会社に塁が及ぶことを懸念し、匿名性を支持する向きもある。これに対して、ブログ「404 Blog Not Found」の小飼弾氏は「個人情報は昔からプロが調べればあっという間に分かること。個人情報の秘密なんてなかった」と、そもそも完全な匿名性の存在に疑問を呈す。

 「単に2ちゃんねるに書かれるだけのリスクならばそのリスクは負えばいい。米国だったら撃ち殺されたり、家に火を付けられることもあった。(それに比べれば)実は、大したリスクはない。いいじゃないですか、悪口を書かれるくらい」(小飼氏)。佐々木氏も「実名をポジティブに利用するか、怖いと思うかだけの問題だ。まっとうに活動していれば、日本であれば殺されたりはしない」と指摘する。

 小飼氏は「ポジティブなフィードバックは匿名だと起きない。実名であれば、個人にポジティブなフィードバックが帰ってくる」という。企業に属している場合は実名公表はなかなか難しいかもしれないが、個人のアピールにメリットを考える場合は、米国の例からも実名で活動するほうがいい場合もありそうだ。

実名での活動が増えると……

 もし今後、実名での活動が増えてくれば、「子供の名付け方」が変わるという興味深い考察もあった。「変わった名前と平凡な名前の2種類に大別されるようになるのではないか」(佐々木氏)。

 自分自身の名前で検索したことがある人は少なくないだろう。こうした“エゴサーチ”を行うとき、鈴木一朗といった平凡な名前であれば野球選手の「イチロー」より検索上位に表示されることはまず難しい。もし、子供に企業や組織に依存せずに生きて欲しいと願う親であれば今後、検索上位にヒットしやすい珍しい名前を付けるようになるし、反対に平凡でもささやかな幸せをと願う親は検索上位に現れないような名前をつけるようになる、というのだ。まさに、検索技術のような先端技術が「人間社会の関係性を変える可能性がある」(佐々木氏)のである。

 一方、「怖いのは、デジタル情報は腐らないこと」と小飼氏。一度公開されてしまった情報は簡単には消すことができない。「しかし、上書きのようなこともできる」という。種明かしは、Googleのページランクを上げること。“上書き”したいページよりもページランクの高いWebページを作成すれば、同じキーワードで検索した場合に検索順位が変動する。自然とそちらにアクセスするようになるわけだ。

ブログ「404 Blog Not Found」の小飼氏

 もっとも、ページランクが高いWebページを作るのはそれほど簡単ではない。小飼氏は「少なくとも作成者自身が1次ソースを持っているような分野をテーマに作ること」などとコツを紹介した。完全な対策ではないかもしれないが、面白い手法かもしれない。

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