第2回 相手を説得する──「人の評判タイプ」と「自分の納得タイプ」平本メソッド 行動の指針(1/2 ページ)

相手を説得する方法として、前回は「向かうタイプ」か「避けるタイプ」かを見極めて、説得方法を変えるやりかたを紹介しました。今回は、「人の評判タイプ/自分の納得タイプ」それぞれのタイプに合わせたアプローチを紹介します。

» 2007年02月16日 12時20分 公開
[平本相武(構成:房野麻子),ITmedia]

平本メソッド 行動の指針
  連載タイトル
1 心の動きに合った会話で相手を説得する
2 相手を説得する──「人の評判タイプ」と「自分の納得タイプ」
3 相手を説得する──「自分のためタイプ」と「人のためタイプ」
4 相手を説得する──「賛成タイプ」と「反対タイプ」
5 相手を説得する──「可能性タイプ」と「必要性タイプ」
6 相手を説得する──「1人でタイプ」と「誰かとタイプ」

 モノを買う場合、人の評判を参考にする方は多いはずです。例えば、クルマを買うとき、「お知り合いの方で、このクルマを購入された方、どなたかいますか?」「田中さんが、この○○がいいって、言っていましたよ」「そういえば、木村さんもこの○○に乗ってます」「ウチの近所の人が、みんな○○がいいって言っているんですよ」「クルマ雑誌でも、○○の評価は高かったんですよ」というような会話をしますよね。

 「有名なAさんも、○○がいいって言っていましたよ」ということもあります。この場合には、知名度の高い人や影響力の強い人の言葉であるほど、聞いた人(「人の評判タイプ」の人の場合)はその気になります。つまり、「人の評判タイプ」の人は、他人の意見や評判でモチベーションが上がるタイプです。

 「人の評判タイプ」の人たちは、モノを買うときの理由として、「みんながいいって言っているから」「評判がいいから」「最近売れているから」「ランキングに入っているから」などといった言い方をします。「ベストセラーだから」というと、買う気になります。「今や常識ですよ」などと言われると、自分でははっきりわからないけれど、「常識なんだ。常識だから自分もそれにしなきゃ」と考えるわけです。

 クルマを買うときでも、「これは、今やスタンダードですよ」「みんな、こっちの方向ですよ。B社やC社も、これを追いかけてきているんですよ」といわれると、「B社やC社もこれを目指してきているんだったら、じゃあ……」という感じで、技術や性能のことをよくわかっていなくても、買う気になります。

 女性だと、「今、六本木ヒルズでは、これを持っているのが当たり前ですよ」「ここでは、この靴を履いてないと、ちょっとおかしいですよ」って言われると弱い人、いませんか? 「ここでは、みんなブーツを履いているのか」と思うと、「私も履かなきゃ」って思うのですね。

 一般的には、このようなセールストークがオーソドックスな方法です。ところが、「私には関係ない」「AさんやBさんの意見なんか関係ない」「六本木ヒルズで何が流行っていようが関係ない」という人もいます。こういう人は「私が納得するかどうか」に基づいて物事に対応する人で、「自分の納得タイプ」の人です。

タイプ別アプローチ方法

 クルマを売る場合を考えてみてみましょう。「人の評判タイプ」の人には、「ご存知の方で、このクルマをもっている人や購入した人がいますか?」と聞いてみましょう。

店員 「この○○、お知り合いの方で誰か、買った方いらっしゃいますか?」

お客 「実は、同じ町内の山田さんが買ったんですよ」

店員 「何て言ってました?」

お客 「結構、いいって言ってました」

店員 「そうですか」


 このように進めていくと、お客さん自身が、自分で自分をその気にさせていることになりますね。この後に、「そうですか。山田さんが乗っていらっしゃるんですね。実は、ウチもこのブランドのファンの方が大勢いらっしゃっていて、○○がいいっておっしゃる方が多いんですよ」というと駄目押しになります。

 ところが「自分の納得タイプ」の人は、人がこう言っています、ということを聞いても表情が変わらなかったり、「いや、私には関係ない」と、頑なになってきます。

 この場合は、「周りでなんと言おうと、Aさんはこのクルマの良さ、ご存知ですよね」という感じでアプローチします。

店員 「Aさん、この○○の、どういうところ気に入ってらっしゃいますか?」

お客 「□□と△△が気に入ってます」

店員 「そうですか! じゃあ、もう私がご説明するまでもないです。よくご存知ですね」


 「自分の納得タイプ」の人に売りたい場合のコツは、店員が、お客さんよりも知っている、という口調にならないようにすることです。アナタにはかないません、アナタのほうが、この良さを知っている、という姿勢で対応することです。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ