段ボールを開くと、紙でできたクッション材が針のように広がる「ハニカムBOX」。送り手はそのまま品物を入れて送ることができ、受け手はクッション材ごとリサイクルに出せる。
段ボールに荷物を詰めるときに必要になるクッション材。たいていは“プチプチ”などと呼ばれるビニール製のクッション材にくるんで入れる。しかし、受け取ったプチプチの処分は難しい。かさばる上にリサイクルもできないからだ。
山中商事が開発した「ハニカムBOX」は、ハニカム構造の紙でできたクッション材を段ボールと一体化した製品だ。広げると紙製のクッションが針のように立ち上がり、品物を押し込むと紙が品物の形に変型して固定できる。クッション材を探したり量を調整する必要もなく、簡単に梱包が可能だ。
このクッション材は、紙を折り重ねて積層した紙細工の一種で「でんぐり」と呼ばれる。伝統的な紙製品を、クッション材として応用してできあがったのがこの製品だ。「愛媛県の東予地区の交流会でこのアイデアが生まれた。最初は子供の遊び道具から始まって、実用化にたどりついた」
大きなメリットはリサイクル性の高さだ。残念ながらハニカムBOX自体は再利用不可能だが、クッション材も含めて紙でできているため、受け取った側は段ボールとともにリサイクルに出せる。また「でんぐり」を使った構造は意外としっかりしており、入れた品物が中空で固定され動かない安心感もある。でんぐりの紙自体も、オプションで8色が用意され、「受け取った側がびっくりする」効果も狙った。
でんぐりを段ボールに貼り付ける作業は現在手作業となっており、価格はかさむ。一番小さい開口部がB6サイズ程度の大きさのもので350円程度と、通常の段ボールの10倍以上の価格なのがネックだ。「今後出荷数が増えれば価格は下げられる。企業用途以外にパーソナルギフトの発送用として評価されている」(山中商事)
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